○八幡浜市における再生可能エネルギー発電事業と地域との共生に関する条例
令和2年3月23日
条例第10号
(目的)
第1条 この条例は、再生可能エネルギー発電事業が生活環境、景観その他自然環境に及ぼす影響を鑑み、事業者による再生可能エネルギー発電施設の設置及び管理について基本的かつ必要な事項を定めることにより、発電事業と地域との紛争をあらかじめ防止し、市の環境保全と市民の安全な生活に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 市の生活環境、景観その他自然環境は、市民の長年にわたる努力により形成されてきたものであることに鑑み、すべての市民のかけがえのない財産として、現在及び将来にわたり市民がその恵沢を享受することができるよう、市民の意思を尊重し、その保全及び活用が図られなければならない。
(1) 発電施設 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第3項に規定する再生可能エネルギー発電設備をいう。
(2) 発電事業 発電施設を設置し、発電を行う事業をいう。
(3) 事業区域 発電事業の用に供する土地の区域をいう。
(4) 事業者 発電事業を行う者をいう。
(5) 関係者 発電事業に伴って、生活環境等に一定の影響を受ける可能性を有する者をいう。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、市内における発電事業の実施に当たり、関係法令及びこの条例を遵守し、災害を防止し、生活環境、景観その他自然環境に十分配慮し、並びに関係者と良好な関係を保たなければならない。
2 事業者は、市内に発電施設を設置するに当たり、発電施設が地域環境に及ぼす影響を考慮し、発電事業と地域との共生を図るために必要な措置を講じなければならない。
3 事業者は、発電事業と地域との共生に支障を生じさせないよう発電施設の適切な管理に努めなければならない。
(抑制区域)
第7条 市長は、災害の防止、良好な自然環境等の保全及び発電事業と地域との共生を図るため、事業者に対し、次条に規定する区域(以下「抑制区域」という。)を事業区域に含めないよう求めることができる。
(抑制区域の指定)
第8条 抑制区域は、次のとおりとする。
(1) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項の地すべり防止区域として指定された区域
(2) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の急傾斜地崩壊危険区域として指定された区域
(3) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第1項の土砂災害警戒区域又は同法第9条第1項の土砂災害特別警戒区域として指定された区域
(4) 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)第28条第1項の鳥獣保護区として指定された区域
(5) 農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)第8条第2項第1号の農用地区域として定められた区域
(6) 森林法(昭和26年法律第249号)第25条の保安林として指定された区域
(7) 河川法(昭和39年法律第167号)第6条第1項各号に規定する河川区域に該当する区域又は同法第54条第1項の河川保全区域として指定された区域
(8) 砂防法(明治30年法律第29号)第2条の規定により国土交通大臣が指定した土地の区域
(9) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第92条第1項に規定する埋蔵文化財を包蔵する土地の区域
(10) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第9条第1項から第8項までに規定する各種の住居専用地域又は住居地域に該当する区域
(11) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める区域
(適用対象)
第9条 この条例の適用を受ける発電事業は、次の各号のいずれかに該当するものとする。ただし、建築物の屋根又は屋上で行う事業にあっては、この限りでない。
(1) 事業区域の合計面積(既に完成し、若しくは施工しているものと一体的に発電事業を行う場合、既に当該事業区域の隣地に他の発電施設が設置されている場合又は排水施設等の関連施設を他の発電事業と共有する場合にあっては、その合計面積)が500平方メートル以上である発電事業
(2) 発電設備の高さが13メートル以上である発電事業
(事前協議等)
第10条 事業者は、発電事業を行おうとする場合は、あらかじめ市長と協議しなければならない。
2 事業者は、規則で定める日までに市長に届け出て、第13条第1項の規定による同意を得なければならない。
3 事業者は、前項の同意を得た後でなければ発電事業の工事に着手してはならない。
(地元地区等への説明)
第11条 事業者は、発電施設の設置に伴い、当該設置場所を包含する地区(以下「地元地区」という。)に対して発電事業の内容等に係る説明会を開催し、前条第2項の規定による届出を行う前に地元地区を代表する者(地元地区が2以上あるときにあっては、当該地元地区を代表する者全て。以下同じ。)の同意を得なければならない。
2 事業者は、前項の規定により説明会を行ったときは、規則で定めるところにより、その結果を市長に報告しなければならない。
(審査等の手続)
第12条 市長は、第10条第2項の規定による届出があった場合は、審査を実施し、必要に応じて八幡浜市環境審議会の意見を聞かなければならない。
2 前項の八幡浜市環境審議会における手続は、八幡浜市環境審議会条例(平成17年条例第161号)の規定による。
(同意等の通知)
第13条 市長は、前条第1項に規定する審査等の手続を経て、発電事業の同意に係る可否を決定し、事業者に通知するものとする。
2 市長は、必要に応じて前項に規定する通知に意見を付することができる。
(工事着手等の届出)
第14条 事業者は、発電事業の工事を着手し、完了し、中止し、又は再開した場合は、速やかに市長に届け出るとともに、地元地区を代表する者に通知しなければならない。
(工事完了の確認)
第15条 市長は、前条の規定による工事の完了に係る届出があったときは、確認を行うものとする。
(廃止の届出)
第17条 事業者は、発電施設を廃止しようとするときは、規則で定めるところにより、その旨を市長に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出を行った事業者は、発電施設の解体、撤去及び廃棄その他規則で定める措置を講じなければならない。
(立入調査等)
第18条 市長は、この条例の施行に関し必要な限度において、職員に事業者の事務所、事業所若しくは事業区域に立ち入り、若しくは調査をさせ、又は関係者に質問をさせることができる。
(指導、助言及び勧告)
第19条 市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、事業者に対して、指導、助言又は勧告を行うものとする。
(1) 正当な理由なく、第5条の規定を遵守しないとき。
(4) 前3号に定めるもののほか、市長が必要と認めるとき。
2 事業者は、前項の指導、助言又は勧告に対する処理の状況を、速やかに市長に報告しなければならない。
(公表)
第20条 市長は、事業者が正当な理由なく前条第1項の勧告に応じないときは、当該事業者の名称及び所在地並びに当該勧告内容を公表するものとする。
(委任)
第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和2年4月1日から施行する。ただし、第4項の規定は、公布の日から施行する。
(準備行為)
4 この条例の施行に関し必要な行為は、施行日前においても、この条例の規定の例により行うことができる。