記事番号: 1-590
公開日 2022年09月16日
地籍調査とは
地籍調査とは、一筆ごとの土地について、地番・地目・所有者を確認のうえ、境界及び土地に関する測量を行い、その結果を地図及び簿冊として作成することをいいます。現代においても、法務局に備え付けられている地図の約半分は、明治時代の地租改正によって作られた地図(公図)をもとにしたもので、土地の境界が不明確であったり、測量も不正確であったりする場合もあるのが実態です。地籍調査により作成された『地籍簿』『地籍図』は、その写しが法務局に送付され、法務局において地籍簿をもとに土地登記簿が書き改められ、地籍図が 不動産登記法第14条の地図として備え付けられます。地籍調査の成果は、個人の土地取引から公的機関による地域の整備まで、およそ土地に関するあらゆる行為のための基礎データとなるものです。
地籍調査の利点
地籍調査の結果は、土地に関するあらゆる施策の基礎資料として利用できます。具体的には次のとおりです。
- 土地の位置、境界の明確化
- 土地境界をめぐるトラブルの未然防止
- 土地取引の円滑化
- 土地登記手続きの円滑化
- 公共事業の円滑化
- 災害の復旧の迅速化
地籍調査の進め方
地籍調査の進め方や実施時期は下表のとおりです。
地籍調査の進め方 | 実施時期 |
1.住民への説明会 調査に先立って、住民への説明会を公民館・市役所等で行います。 |
1年目 5月~6月ごろ |
2.一筆地調査 一筆ごとの土地について、関係者立会のもとに、所有者・地番・地目・境界等の調査を実施します。 境界をはさんだ土地所有者の方々に、双方合意の上で土地の境界を確認し、筆界杭を打ちます。 |
1年目 7月~9月ごろ |
3.地籍測量 一筆地調査の時に打った筆界杭に基づいて、一筆ごとの正確な測量を行います。 ※ 測量は委託業者が行います。 |
1年目 7月~2月ごろ |
4.仮閲覧 土地所有者(土地管理者)が名寄帳(案)と地籍測量を行い作成した地籍図(案)を閲覧します。 閲覧の結果誤りがあれば、訂正を行います。閲覧は公民館、市役所等で行います。 |
1年目 3月ごろ |
5.地積測定 一筆ごとの面積を計算します。 ※ 面積の計算は委託業者が行います。 |
2年目 7月~10月ごろ |
6.本閲覧 土地所有者(土地管理者)が名寄帳(案)・地籍図(案)の最終閲覧を行います。ここで一筆ごとの新地積を確認し、地籍調査の最終的な成果となります。閲覧は公民館、市役所等で行います。 |
2年目 12月~1月ごろ |
7.認証 最終の成果の地籍図及び地籍簿を都道府県知事に認証請求を行います。認証されると、地籍調査の成果であることが公に認められます。 |
2年目 3月~6月ごろ |
8.法務局への送付 最終の成果(地籍簿と地籍図)の写しを法務局に送付します。 法務局では、地籍簿をもとに登記簿を修正します。 また、それまで法務局にあった地図の代わりに、地籍図を法務局備え付け、正式な地図とします。(不動産登記法第14条地図) 以後、法務局では地籍調査の成果を不動産登記の資料として活用します。 |
3年目 7月~12月ごろ |
地籍調査は、住民説明会から法務局への登記完了まで、概ね2年半の期間を要します。
地籍調査Q&A
Q1.土地の一部を売却したいが、面積や境界がわからないので、地籍調査をしてもらえますか?
A1.地籍調査は実施計画をたて、その計画に基づき調査区域を決定して行っているため、分筆や地積更正等を必要とする土地だけを対象に地籍調査を実施することはできません。
Q2.地籍調査において、いわゆる民・民境界について市が決めてくれますか?
A2.地籍調査は、隣接土地所有者同士で決めた境界を確認し調査を行うもので、市が民・民境界を決定することはできません。予め関係者で協議して境界を決めておく必要があります。
Q3.一筆地調査の立会は、必ず行かなければならないのですか?
A3.境界の立会が行われない場合には、その土地について「筆界未定」となり、その旨が土地登記簿に記載されます。筆界未定になると、地籍調査後に土地の境界確定を行おうとする場合の費用は、個人負担になりますので、ご注意ください。
Q4.一筆地調査の立会に行けない場合はどうすればよいのですか?
A4.どうしても立会に出席できない場合には、委任状を作成し、代理人に立会して頂くようお願いします。
Q5.立会における交通費や立会経費はでるのですか?
A5.地籍調査は、みなさんの財産である土地の地籍を明確にするため行われることから、交通費や立会経費を支給する制度はありません。ただし、調査に必要となる測量の費用についての個人負担はありません。