記事番号: 1-2901
公開日 2023年02月21日
地中熱利用システムでは、地中熱交換器と同様に重要な部分として地中熱ヒートポンプが挙げられます。地中熱ヒートポンプの役割は、地中と建物との間で熱エネルギーのやりとりを行うことです。また、具体的な特徴としては、一年中安定している地中の熱エネルギーを、電気の力で汲み上げたり吐き出したりすることができるという点です。
市民スポーツセンターでは、冷暖房を行う対象ごとに各2台(1Fロビー系統と2Fサブアリーナ系統)の地中熱ヒートポンプを設置しています。
ヒートポンプの仕組みは、私たちの身近なところでも多く使われています。例えば、家庭やオフィスに設置されているエアコンもヒートポンプの仕組みが利用されており、それ以外にも、各家庭の台所にある冷蔵庫や、お風呂のお湯を沸かすエコキュートにも利用されています。
次に、地中熱を利用したヒートポンプ冷暖房空調システム(以下、地中熱源ヒートポンプエアコン)と一般的な家庭用エアコン(空気熱源ヒートポンプエアコン)との違いについて説明します。
一般的なエアコンは、建物の外の空気(外気)と熱のやりとりをして建物の中の空気を暖めたり冷やしたりしています。一方で地中熱源ヒートポンプエアコンでは、地中と熱のやりとりをすることで建物の中の空気を暖めたり冷やしたりしています。両者の違いは、熱のやりとりをする相手が、空気(外気)なのか、地中なのかという2つの点です。この違いが同じヒートポンプの仕組みを使っていても、大きな省エネルギー効果の差がでる最大の理由です。
さらに、この2つの点の違いについて詳しく説明します。
当たり前のことですが、空気(外気)は、季節や天気、時間帯によって大きく変化します。特に四季のある日本では、真夏は40℃近くになり、冬は氷点下になる地域も珍しくありません。また、太陽の影響を大きく受けていたために、日没から夜明けにかけては温度が下がり、日中は温度が上がるなど一日を通じて目まぐるしく変化していきます。そのほか、雨や風などの天気の状況により変化することもあります。
その一方で地中は、地表から10メートル以上の深い位置になると、季節や天気などの外気の影響をほぼ受けず、時間帯を問わず、年間を通じてほぼ一定です。一般的には、この地中の温度は、その地域の年間平均気温とほぼ同じであると言われています。このように地中の温度が安定していることが、地中熱システムが高い省エネルギー効果を発揮すると言われている最大のポイントと言えます。
この理由について、ヒートポンプの仕組みも含めて次の記事で具体的に説明します。
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