記事番号: 1-2944
公開日 2023年03月22日
更新日 2023年03月22日
地中熱利用システムは、その構造が一目でわかるようになっている太陽光発電や風力発電などと異なり、最大の特徴となる地中熱交換器が地中に埋没されているうえに、地中熱ヒートポンプも一般的には機械室の中に設置されるため、その全体をイメージするのが難しいといった課題があります。
そのため、今回の事業では少しでも地中熱利用について理解してもらえるように、以下の工夫を行っています。
見える化モニター (1Fロビー) |
システム全体のイメージ図、空調運転状況や地中温度、 外気温、消費電力量、COPをリアルタイム表示(写真1,2) |
見える化ヒートポンプ (1F階段ホール) |
実際の運転時の稼働音やサイズ感を実物してもらうために 1Fロビー系の地中熱ヒートポンプを意図的に室内に見える化展示(写真3) |
3F機械室内 |
サブアリーナ系の地中熱ヒートポンプや熱源水・冷温水ポンプなどの 配管に識別表示を設置(写真4,5) |
公園駐車場 |
地中熱交換器が埋まっている位置には、間隔や配置が分かるように 地表部分に鋲を設置(写真6) |
建物裏側 |
地中熱交換器につながる熱源水配管が1F室内の地中熱ヒートポンプと 3F機械室に接続(写真7) |
スポーツセンターロビーの壁面に設置しているモニターには、地中熱システム全体のイメージイラストや1Fロビー系と2Fサブアリーナ系のそれぞれの地中熱ヒートポンプの運転状況、地中温度や外気温、消費電力量、COP(サブアリーナ系のみ)などをリアルタイムで表示しています。
※COP・・・消費電力量に対してどれだけの熱量を作り出したかを表示するもので熱効率の指標。
詳しくは、「12.地中熱ヒートポンプについて(その2)」に掲載しています。
「12.地中熱ヒートポンプについて(その2)」で説明したとおり、地中熱ヒートポンプは一般的なエアコンでいうと室外機にあたるものですが、地中熱利用の場合は室内に設置することができるため、市民スポーツセンターのように海に近い場所などでは、機器を塩害から守り寿命を長くすることが可能となります。
また、地中熱ヒートポンプの実物を直接見る機会はほとんどないことから、これから導入を検討している人が運転中の稼働音やサイズなどを実感できるように、あえて機械室などではなく、室内の目につく場所に設置しています。地中熱ヒートポンプは地中の熱交換器と配管でつながっており、水を循環させて熱のやりとりを行う熱源水配管をガラス越しに見ることができる場所に設置しています。
3F機械室にはサブアリーナ系の冷暖房を行う機器類を設置しています。ここに設置している地中熱ヒートポンプは、建物の外側からつながっている配管を通じて地中熱交換器と水循環で熱のやりとりをしています(熱源水)。また、空調機(エアーハンドリング・ユニット)側とも、水循環で熱のやりとりをしています(冷温水)。
水を循環するために、熱源水側と冷温水側にそれぞれ2台のポンプがヒートポンプと連動しながら動いています。
これらの配管には標識を設置して、配管を水が循環していく様子が分かるようにしています。
今回の導入では、隣接する公園駐車場の地下に地中熱交換器を設置していますが、工事完了後は元の駐車場に戻っているため、地中にある熱交換器を直接見ることができません。そのため、地中熱交換器がある位置には、間隔や配置が分かるように地表部分に鋲を設置することで配置状況をイメージしてもらうようにしています。(BH2-9 = ボアホール2列目の9番目)
地中熱交換器と熱のやりとりする熱源水の配管は、写真のように地中から建物の中へつながっており、1Fの機器類は外からもガラス越しに見ることができます。また、この場所にはモニターへ表示する外気温センサーも設置しています。通常のエアコンの室外機部分を室内に入れることができるため、地中熱ヒートポンプの特徴の一つとして、塩害などの影響が少なくなることや建物の外観をすっきりとさせるなどのメリットがあります。
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