公開日 2014年09月05日
〔井上和浩君登壇〕
○井上和浩君
私は、地域住民の日常の生活においてかかわりが深く、また市民一人一人にとって身近な諸問題の中より、次の大綱2点につき質問通告書に従って質問をいたします。
大綱1、地域住民の健康管理と特定健診について。
少子・高齢化の進展は一段と加速して、地方にあっては医療過疎、医療の貧困という現実に直面をしていると思われる背景にあって、地域住民の健康を管理するという視点から従来老人保健法に従って実施されていた生活習慣病健診に変わって今年4月から始まった特定健診の取り組みと現状につき質問をしてみたいと思います。
市町ごとに事情は異なると思われますが、当市では旧制度においては、加入をしている保険が国民保険、社会保険に関係なく生活習慣病健診、節目健診、一般健診など対象となる年代の住民は申し込みをすることにより自由に健康診断を受けることができた。しかし、新しい制度のもとでは、受診に対して問題点が幾つか上げられている。そのことが原因で、いわゆる特定健診の実施に伴い受診者は制度の変更がよくわからないままに多くの住民は健診サービスが低下したという印象を持っている。旧制度においては、国保、健保にかかわらず自治体から健診の案内がされていて、それぞれ個人個人の意思に従って健診を受けることができた。スタートした新制度では、社保本人は事業所で受診しますが、社保家族の健診は健保組合から配布される受診券をみずから申請をする。その上、受診券を持参をして集団健診または個別健診を受けることとなった。そのことが対象者に周知徹底されていないので、集団健診会場で受診券の持参のあるなしが原因で、受け付けの時点で門前払いなど混乱の原因となっていると聞いている。このことは、国保部門と健保部門の十分な調整がされていないとも考えられるが、地域住民にとってはそんなことは関係なく、できるだけ簡単な手順で健康診断が受けられ、しかも自分の現在の健康状態がより手軽に正確にチェックできることを期待しているはずであります。
当市においても、住民の高齢化は急速な勢いで進展をしております。住民個々の健康管理意識をさらに高めるためにスタートした特定健診制度における実施内容、方法、手順など、住民にわかりやすく、根気強く広報していくことが予防医学の観点から見て大切であると私は思います。
以上、述べましたことにより、新制度における地域住民の健康診断の今後の対応に対し、期待も含めて以下の点につき質問をいたします。
1、新制度につき受診者から戸惑いの声や問い合わせはないか。
2、新制度の変更が受診者によく理解されていないと思われるが、今後の取り組みについて。
3、新制度はスタートしたばかりですが、現段階での受診率の状況と今後の受診率の見通しについて。
4、旧制度においての受診率と特定健診の受診率の比較の見通しは。
5、メタボ健診の健診項目が中心になったことで、これまで健診時にあわせて実施してきた健診内容やがん検診などそのメニューが貧弱になっていないか、お尋ねをいたします。
大綱2、市営住宅の管理と入居の状況について。
公営住宅は市民の要望にこたえてできた日常生活の支援手段の一つであり、生活の安定と社会福祉の増進を図ることを目的として設置されたものであると理解をしております。すなわち、市営住宅は住宅に困っている方が安い家賃で借りられるように建設をした公共施設であります。現在八幡浜市の公営住宅の中には、長年の歴史を経ていて傷みの目立つ住宅も多くあると聞いております。管理に当たる行政にあっては、地方における財政事情や、ほか多くの目に見えない問題を抱え、できればこのことに触れたくないであろうことも一定理解ができます。
他方、一般市民はというと、市営住宅条例に沿った入居資格者公募での現在の倍率は高過ぎて、抽せんに漏れて入居することができず本当に困っている市民の声を聞くことがあります。資料によると、現在の応募倍率は約6倍と、やはりこの倍率では困窮する入居希望者は毎回多数出ることが想像できます。
来年度より公営住宅法施行令が改正されることに伴い、八幡浜市市営住宅の制度も社会環境や高齢者世帯の増加などにあわせて制度の見直し、変更がされるということで、さらに応募者の倍率が上昇するのではないか、その結果としてさらに多数の入居希望者が入居できなくなるのではないかと心配をしているところです。改正の本来の目的は、住宅困窮者に対し公平、的確に公営住宅を供給するため必要な見通しをすることにあります。
以上のことを踏まえて、以下のことにつき質問をいたします。
1、現在の空き部屋の状況から見て、耐用年数の問題もあると思われるが、速やかに改修し、募集はあきがあり次第に行い、効率のよい回転をすべきと思うが、現況はどのようになっているのか。
2、入居者登録制度を採用することで入居希望者の現状を把握することができると思われるが、その考えはないか。
3、入居収入基準の改正により入居倍率はどのような予測をされているのか、また住民に対するサービスはどのような変化が期待できるか。
以上で私の質問を終わります。
○議長(上田竹則君)
市長。
○市長(高橋英吾君)
井上議員御質問の大綱2、市営住宅の管理と入居状況についてお答えをいたします。
1点目の空き部屋修繕の件ですが、11月末現在の市営住宅の空き部屋は、政策空き家を除き約40戸でございます。中には修繕に100万円を超すと予測される箇所もあります。以前は不定期で、空き状況によって募集で年二、三回でしたが、数年前に大山議員の指摘により、現在のところ新規入居者の募集を年平均約4回行っており、1回の募集につき4戸から5戸の募集をしております。
平成19年度実績で見ますと、年4回、19戸の募集を行い、修繕費は1戸当たり平均51万円でございました。募集前修繕は住宅の建設年度、入居者の居住期間に比例して修繕費を要します。中には老朽化著しい箇所や使用状況の悪い箇所には100万円単位の修繕費を要した場合もございました。
しかしながら、公営住宅法の目的である健康で文化的な生活を営むに足り得る住宅とするため、募集する前に空き部屋を修繕しなければなりませんので、修繕費の年間予算を勘案しながら修繕を行い、募集しているのが現状でございます。
今年度は、現在3回目、12月の入居者を募集しているところでございますが、平成20年11月末現在で14戸の募集に1戸当たり平均53万円の修繕費を要しております。また、通常の維持管理にも修繕費用も要するため、予算との兼ね合いを考慮し、必然的に比較的建設年度の新しい住宅の修繕を優先し、募集しているのが現状であります。
また、その住宅への入居希望が多いのも事実です。今後、昨年度策定したストック総合計画により、年度ごとの退去者数にもよりますが、年間募集目標を16戸とし、今後10年間で160戸の募集を行う予定であります。
2点目の入居者登録制度についてでありますが、他県のその制度を採用している自治体に問い合わせたところ、市営住宅が66戸の規模で1戸の募集に30倍の応募があり、募集案内について直接登録者にお知らせするもので、登録順に入居できるという制度ではありません。入居については公開抽せんにより決定されております。県内ではそういう制度を採用されているところは聞き及んでおりませんが、当市では、先ほども述べたとおり、年平均4回といった定期的な募集を続けていくことで入居希望者の皆様に定着していくものと思われます。
なお、現在のところ、抽せんに漏れた方についてはそれ以降の同じ団地の抽せん会ごとに直接お知らせをしております。今後は、漏れた方全員に団地を問わず募集ごとにお知らせしていくことを検討していきたいと思います。
3点目の入居収入基準の改正についてでありますが、公営住宅法施行令の一部が改正されたことに伴い、市営住宅に入居できる条件や家賃制度が平成21年4月から改定されます。今年度募集までの入居収入基準は月収20万円以下でございますが、来年度よりは月収15万8,000円以下となります。
入居倍率の予測でございますが、過去3年間の応募者をこの基準に照らし合わせますと1割未満の応募者の減少が見込まれ、より低所得の方が当選しやすくなると予測されます。
その他の問題に関しては担当課長より答弁をさせます。
○議長(上田竹則君)
市民課長。
○市民課長(柏木幸雄君)
井上議員の大綱1、地域住民の健康管理と特定健診について5点の質問がございました。まとめて回答をいたします。
まず、特定健診の義務化についての背景について御説明をいたします。
高齢化の進展等に伴いまして疾病構造が変化をし、疾病全体に占める脳血管疾患、糖尿病、がん等の生活習慣病の割合が増加し、国民医療費の3割を占める状況にございます。この状況を踏まえて、生活習慣病予防を総合的に推進するため、高齢者の医療の確保に関する法律において、20年度から医療保険者には40歳から74歳までの方を対象に新たに予防を重視した医療費適正化の方策として特定健診及び特定保健指導を実施することが法律により義務化されたところでございます。
今年3月に当市におきましても、特定健康診査等を効果的、効率的に実施するため特定健康診査等実施計画を策定いたしまして、実施に係る基本的事項、成果目標に関する事項を定めております。
20年度の具体的な実施といたしましては、県下国保保険者の代表である松山市が県の医師会、財団法人愛媛県総合保健協会、愛媛県厚生農協連と集合契約を締結をいたしまして、これに基づき当市の国保といたしましては、保健センターとの連携を図り、八幡浜市医師会、JA西宇和農協に協力をいただき、6月よりJA本店及び各支店、公民館など24カ所で順次スタートし、来年2月には終える予定でございます。
御質問の1点目の戸惑いや問い合わせについては、送付された受診券が何かわからず紛失された方が多くいたこと、また集団健診の会場に行ったのに受診券がなく特定健診を受けることができない方や、事業所から受診券が来ないなどの問い合わせがございました。
2点目の制度改正周知の取り組みにつきましては、5月の広報に折り込みチラシ、受診券の送付と受診申し込みの御案内を初め、機会あるごとに周知を図ってまいっております。今後は、年明け2月に受診率の低い地域を対象といたしまして、未受診者に対する健康受診日を設けることを予定し、勧奨はがきを出すなど検討いたしたいと考えております。
また、議員が述べられております市民全体を対象とした健康診断のあり方につきましては、御指摘のとおり十分とは言えない問題も抱えております。国保保険者と社会保険等の事業者とが違うことによる啓発、受診啓発発行システム、社会保険庁からの各事業所への徹底不足などがあるものと考えております。このことにつきましては、県内の国保保険者、健康保険組合、健康保健協会、医師会などが集まる愛媛県保険者協議会におきまして、地域の実情について説明し、各保険者への周知徹底を図ってもらうよう求めてまいりたいと考えております。
3点目の現在の受診率は、国保被保険者で15.3%、残りの集団健診と個別健診を合わせますと、受診率は22.7%程度になると見込んでおります。
4点目の旧制度の受診率と特定健診の受診率の比較見通しにつきましては、16年度21%、17年度19.6%、18年度19.2%、19年度20.2%で推移をしてまいりました。当市の特定健康診査等実施計画での目標は、20年度で30%、21年度から23年度では隔年10%ずつ加算をいたしまして、目標最終年度の24年度では65%と目標設定をし、中間年に当たります22年度におきまして検証を行い、見直しをすることといたしております。
ただ、国が示しております目標設定のハードルが当市の現状から見るとかなり高い目標であるとともに、健診の目的、効果などの受診啓発が課題でございます。
一方では、実施すればするほど国の補助基準と実質委託健診料との差額が大きく、国保保険者の持ち出しが増加するものでございまして、実態に合った国の基準見直しが行われない限り現在の2倍以上の負担となり、保険税にはね返ることも考えるわけでございます。
5点目の従来のがん検診などのメニューが貧弱になってないのかとの御指摘でございますけども、集団健診と同時実施のがん検診等の健診は今年も継続して実施をいたしております。集団健診を市民が受けやすいように身近な公民館等で実施するなど、受診機会はかえって充実しているのではと考えております。
以上でございます。
○議長(上田竹則君)
井上和浩君。
○井上和浩君
大変丁寧にお答えをいただきましたので特段の再質問としてはないわけなんですが、二、三、お願いをしておきたいと思うんですけども、もともと大綱1の健診の事業についてですけども、政府、厚労省のねらいとしてはメタボ健診を行うことによって医療費がどれだけ抑制できるかというようなことが発想としてあるというふうな想像がつくわけなんですけども、先ほど担当課長が説明されましたように、5年計画において最終年度65%の実施ということをねらっておるこの健診事業は、現在八幡浜市において今健診料金から比較しますと、市からの持ち出しが3,000円ないし4,000円と、1人に対して、というような形になっておりまして、税務課長も先ほど言われましたように、国保税が決して安くない八幡浜市において今の財政事情等を勘案すると非常に将来的に心配される部分が出てくるんではないかというようなことも一つの私の考え方の中にありましてこの質問をさせていただきました。どうか65%実施に当たっては、課長先ほどお答えのように国に対してもその実情に合った要望を出していただきまして、このことが原因で市の財政の圧迫の原因にならないようにということをひとつお願いをしておきたいなと思います。
それから、公営住宅につきましては市長のほうから御答弁をいただきましたが、公営住宅を建設する段階においては、これは国庫補助の中で建設ができておりまして、その耐用年数は70年というふうに聞いておるわけなんですけども、古いものは50年とかというふうに現在たってるというふうなこともありまして、確かに改修等を行って入居者を募集するとかなりの経費がかかるというようなことで、大変なことであろうと思いますが、補修につけては国の補助金も得られないという状況ですので、すべてが市から財政の持ち出しという形になろうかというようなことで、実は現在の八幡浜市の財政事情等をいろいろ考えまして、この2つはかなり大きな問題として今後のしかかってくるような気もいたしまして、2つのことを取り上げて質問をさせてもらいました。どうかそういうことを考えながら、将来の財政事情等をかみ合わせながら、住民サービスにおいてはきめ細かい住民サービスをいただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わります。