公開日 2014年09月05日
〔上田浩志君登壇〕
○上田浩志君
私は、質問通告書に従いまして、大綱3点について市長並びに関係理事者にお伺いいたします。
大綱第1は、八幡浜港振興ビジョンについてであります。
全国的な市町村合併が行われ、活力ある地方分権社会の実現を目指し、八幡浜市と保内町が合併して新しい八幡浜市が誕生し、早くも3年目の春が来ようとしています。
この合併は、新しいまちづくりを進める上での手段であり、目的ではありません。合併効果を最大限に生かして今後どのようなまちづくりを進めていくかが重要であり、高橋市長の手腕に期待するも、議会の果たす役割も極めて大きいと思います。
そこで、八幡浜市の主要施策の一つであり、市の活性化策として八幡浜港振興ビジョンについてお尋ねいたします。
まず1点目は、平成13年に策定された振興ビジョンの整備、進捗状況についてであります。
市民の皆様は、振興ビジョンの計画は知っているが、具体的な整備内容や現在どの程度まで事業が進んでいるのかはよく知られていないのが実情ではないかと思います。
そこで、現在までの整備状況及び新年度の整備内容等についてお伺いをいたします。
2点目は、埋め立てに用いる土砂についてであります。
新魚市場整備の埋め立ての土砂の採取は近隣の山を削り確保する計画と伺っておりました。最近、市長御自身が埋立土砂は首都圏から運んでくるとの話をされたと聞きました。にわかには信じがたい話で、真意のほどはわかりませんが、そのような遠隔地より運び込むことでどのようなメリットがあるのか、お伺いいたします。
3点目は、今後完成に向けての整備内容についてであります。
まず、フェリーターミナル関連施設整備について、計画ではフェリーターミナルの改装、観光魚市場の整備、レストランやカルチャーセンター、イベント広場、そのほか関連施設の整備となっております。
一方では、市民が中心となって設立され活動している八幡浜港みなとまちづくり協議会の提案もあろうかと思いますが、どのように整備に反映させていくのか、今後の整備方針についてお伺いいたします。
4点目は、魚市場関連施設の整備であります。
ハサップに対応した衛生的な魚市場の建設が計画されておりますが、近年の漁獲量の減少という水産業を取り巻く環境の厳しい中、今後どのような規模、効率的な運営方法等魚市場整備を考えておられるのか、お伺いいたします。
5点目は、海鮮朝市についてであります。
当市恒例海鮮朝市の開催には近隣地域の皆様方より活気ある魚の町として評価をいただいていると聞き及んでおります。数字的にも、出店25、集客約5,000人、2002年にオープンして今日このように盛況かつ定着したのは、漁業関係者の御努力の成果だと私も評価しております。
現在新魚市場整備が進められておりますが、完成の暁には、装いも新たに引き続き海鮮朝市の開催を期待するものであります。
また、完成を機にかんきつ類を初め野菜類など農作物の直売も参入すれば、集客にも一層の弾みがつくのではと考えます。今後の取り組みについてお伺いいたします。
大綱第2は、地域産業の育成についてであります。
近年価格不振にあえいでいた温州ミカンは、平成10年来8年ぶりに市場卸価格の平均が1キロ300円台に乗り、一定の収穫量があった農家にとっては元気、意欲を取り戻す要因になりました。
しかし、雪害の影響で生産者によって収穫量のばらつきが大きく、産地や農家に格差が生じており、手放しでは喜べない状況でもあり、農家の間では、昨年の不作によることしの豊作、それに伴う値崩れを懸念する声も聞かれます。
また、魚価の低迷や燃料高騰にあえぐ八幡浜市のトロール漁業が今期は好調に推移し、主力の一つ、ヤリイカの水揚げ量が昨年の5倍近くと豊漁で、水揚げ高も約20年前のピークに迫る勢いではありますが、魚市場全体での水揚げ量は、平成10年以降、8年連続減少しているのが現状であります。
また、少子・高齢化が進む現状では、農漁業の担い手不足を招くおそれもあり、八幡浜地域を取り巻く環境はますます厳しくなるととらえ、ミカンや魚に付加価値をつけたり、アイデア商品の開発に官民挙げて取り組まなければならないと思います。
そこで、次の3点について質問をいたします。
1点目は、加工品についてであります。
先日、「農家と川之石高校生がスクラム」という見出しで八幡浜市向灘の農家と県立川之石高校が一緒にミカンジャムの試作に取り組み、将来の商品化を目指すという記事が出ていました。同校では、イチゴジャムほかママレードなどの製品化をしており、将来ミカン農家を目指す生徒はこれからの農家は加工品なども含めた多角経営が必要であると話していました。
また、真網代の農家の女性が自前の共同加工場でいろいろな加工品をつくり、もっと商品を開発してふるさと宅配便をつくりたい、また喜木の農産品加工会社では、摘果で捨てるキウイフルーツを活用して商品化を進めています。生産量が少なくても、こだわり商品はヒットする時代で、農家が手塩にかけた加工品を全国でも通用する特産品に育てるには、加工品は売れるが、売り方まで考えるのは生産者では厳しいものがあります。
そこで、個人やグループの農産加工品の無料相談、市場動向や売り場、法律の知識、販路のほか、ラベルのデザインもきめ細かく提案できる専門職員を配置し、1次産業の町にふさわしい市の相談窓口として八幡浜ブランドの振興を図ってはいかがでしょうか、お伺いいたします。
2点目は、地域産業の育成についてであります。
魚の町のシンボルとして繁栄をもたらしたトロール船は、9統18隻が稼働した1991年度で約28億円あった取扱額に対し、2統4隻の2005年度は約4億8,000万円と8割以上落ち込んでいて、魚市場の全取扱量に占めるトロール漁業の割合は、減船補助金制度が始まって1割にまで急落し、さらに今期の操業はわずか1統2隻となりました。
私は、地域を活性化させるためには地場産業の育成を議論することが大切であり、特に漁業の衰退が著しい今日、行政としてまだまだ後押しの余地が残っているように感じます。第1次産業の漁業が栄えれば、それに伴う2次産業として水産加工業の発展も考えられます。かって八幡浜に大きな繁栄をもたらしたトロール漁業を今後どのように位置づけるのか、地域経済や食品自給率から見てもどのように帰属していくのか、難しい課題ではございますが、お考えをお伺いいたします。
あわせて、漁業種別水揚げ量の2割以上を占めている小型底びき網漁業についてもお聞かせください。
3点目は、魚類養殖についてであります。
八幡浜漁業協同組合が特許庁に養殖マダイの商標「てやてや」を申請し、認可されました。販売価格は、平均キロ当たり680円で、昨年末は価格が950円で前年同期に比べ4割高で推移したとはいえ、生産者が販売を全面的に任せて卸売市場を経由する流通経路に頼っていては、経営安定の望みは薄いのではないかと思います。生産者が消費者に近づかないとつくり手の情熱や養殖業のよさは消費者に伝わりません。販売力を上げるには消費者に一歩ずつ歩み寄るのが近道だと考えます。
生産者とスーパー等が提携し、販売データに沿った生産計画や出荷計画を立て、加工商品を共同開発することも大切だと思います。アイデア次第でヒット商品も期待できる養殖魚の加工事業を考えてはいかがでしょうか、お伺いいたします。
大綱第3は、循環型社会の形成についてであります。
先般、平成18年度から27年度まで10年間の八幡浜市総合計画が策定されました。その中のまちづくり基本方針として、環境と共生していくための資源を循環利用していく循環型社会の形成に努めますと記載されております。行政としても循環型社会の構築とバイオマス利活用の必要性等の理解促進のため、積極的に普及啓発に努めるとともに、バイオマス製品等の情報提供、技術指導に取り組み、当市においては収集を行っている一般廃棄物について、減量化と分別の推進に努めていくとともに、積極的な利活用の促進を図るべきだと私は考えます。
そこで、次の2点について質問をいたします。
昨年6月定例会にて同僚議員がこの問題について質問をいたしました。市長の答弁では、今後の検討課題とさせていただきたいということでしたので、再度質問をさせていただきます。
現在、一般家庭の廃食用油の大半がごみや生活雑排水として廃棄されている状況であり、河川等公共用域の水質汚濁の原因ともなっており、業務用の廃食用油と合わせて回収し、バイオディーゼル燃料としてトラック用燃料等に利用する新しい動きがあります。
ちなみに、国内のベンチャー企業が開発した製造装置は、てんぷら油などから1日当たり100リットルの廃油から90から、95リットルのバイオ燃料がとれ、燃費や走行性能などは軽油と変わらないことが確認されています。
当市においても、かまぼこ業者、各スーパーを含め、てんぷら油など廃油を回収し、ごみ回収車などの燃料として再利用してはいかがでしょうか。
また、将来は家庭のてんぷら油も回収して、NPO法人を発足して、回収した使用済み油を精製し販売することで、障害者の雇用機会の増大に取り組み、さらには市民運動として廃油リサイクルの輪が広がればと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
2点目は、地域資源を活用したまちづくりについてであります。
環境省の環境と経済の好循環のまちモデル事業は、環境をよくすることで経済を活性化させる好循環な町のモデルづくりを支援し、二酸化炭素を削減するための設備や調査研究に必要な経費の一部を交付するというもので、この制度を利用してNPO法人グリーンエネルギー青森がこれまで農家が処分に困っていたリンゴ剪定枝をチップ燃料化し、バイオマスエネルギーとして利用しております。
私は、単に省エネを推進するだけでなく、地域にしっかりとしたリフォーム職人を育てたり、環境分野などの事業機会を生み出すことも大切だと考えます。
当市においても、例年処理しているミカン剪定枝をボイラー熱として活用し、ハウス栽培や病院などの中規模施設に費用の助成を前提として設置を進めてはいかがでしょうか、お伺いいたします。
以上で私の質問を終わります。
○議長(宮本明裕君) 市長。
○市長(高橋英吾君)
上田浩志議員の大綱1、八幡浜港振興ビジョンについて、1から5番までについて関連がございますので、一括してお答えいたします。
まず、八幡浜港振興ビジョンの進捗状況でありますが、平成14年3月にビジョン策定をいたしまして、平成14年度に着工し、これまでに地盤改良を主に行ってまいりました。国、県初め地元関係各位の御理解、御協力のもと、おかげをもちまして当初計画どおり工事を順調に進めております。
平成19年度には、港湾機能施設整備として老朽化した港湾ビルの建てかえやケーソンの据えつけを計画しておりまして、ことし12月末ごろまでには埋立地の閉め切りを終え、年明けの1月ごろから埋立土砂の搬入を予定しております。
この埋め立てに要する土砂の確保についてでありますが、計画当初は栗野浦地区の山林を土とり場として考えておりましたが、最終的には首都圏の公共工事から発生する大量の建設発生土を全国の港湾や空港の埋立用材に活用する広域利用事業、通称スーパーフェニックス事業を採用いたしました。
採用理由といたしましては、1つはスーパーフェニックス事業では埋立土代が無料であり、なおかつ八幡浜港までの船での運搬代も無料ということであります。
2つ目は、短期間でまとまった埋立土の搬入が可能であるということであります。山を切り取っての埋め立てと当事業の埋め立てを比較しますと、概算でありますが、約10億5,000万円の工事費の減額が見込まれ、また工期につきましても当初の埋め立てでは開発許可の申請や一般道路を使用した土砂の運搬、また土砂切り取り後の環境保全等幾つもの諸問題があるのに対し、当事業では海上からの搬入によりほこりや騒音での地域住民への迷惑の解消が図られ、平成21年度には埋め立てが完了する予定になっております。
次に、3点目の今後の整備方針についてでありますが、港湾区域、特にフェリーターミナル関連施設の整備につきましては、19年度早々に、仮称ではありますが、市はもとより港湾関係者を初め各種団体からの委員で構成する八幡浜港振興ビジョン整備実行委員会を立ち上げ、施設の整備方針、規模、管理運営方法あるいは民間資本の参入も含めた具体的整備内容の検討に入りたいと考えております。
議員御質問の港まちづくり協議会からも委員として参加をお願いしたいと思っております。
これまでの港まちづくり協議会での各種社会実験やアイデアを広く公募した港づくりコンペなどを取り組み、活動は委員会の中でも大きなウエートを持つものと期待をしております。
また、4点目の魚市場関連施設の整備につきましても、既に専門的知識を有する関係者で組織された魚市場整備実行委員会で関係者とよく協議して、施設、内容、規模、運営方法等の具体的な内容の検討を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解と御協力を賜りたいと存じます。
5点目の海鮮朝市についてでありますが、平成14年7月にスタートしました海鮮朝市も、今度の日曜日ではや55回の開催となります。水産関係者はもとより、商店連合会、JA、八高商業研究部など広範囲の方々に御協力をいただき、毎回多くのお客様に御来場をいただいております。統計を見ますと、毎回市外からの御来場の方が6割程度であり、このイベントが本市への入り込み客の増加の一助になっているものと自負いたしております。
残念ながら、現在海鮮朝市を開催しております魚市場跡地を、港湾埋立工事の進捗によりまして来年早々には取り壊しを行う予定となっておりますので、事務局ではかわりの開催場所、駐車場の確保も困難なことから、一時休止することになろうかと思いますが、振興ビジョンによる新たな施設での営業までどのように事業を移行していくか、関係者と協議して結論を得たいと考えております。
いずれにいたしましても、議員の御提案のとおり、新たな施設では、水産業のみならず農業関係者からも御参画いただきまして、八幡浜の活力ある港まちづくりを目指し、集客力のある施設整備を図っていきたいと考えております。
その他の問題に関しては各担当課長より答弁をさせます。
○議長(宮本明裕君) 水産港湾課長。
○水産港湾課長(上甲眞喜君)
大綱2の地域産業の育成についての2番目、地場産業の育成についてお答えをいたします。
本市水産業において、水揚げ量の減少、魚価の低迷が続いておりますことは議員御指摘のとおりでございます。
また、本市水産業の基幹漁業種であります沖合底びき網漁業が年々当市でも減少し、八幡浜市の基幹産業である水産業に多大の影響を与えていることは事実でございます。
しかしながら、漁協の立場も同様であろうかと思いますが、行政の立場といたしまして、特定の漁業種だけに支援を行うものはできないものと考えております。
地場産業の育成として、漁業近代化資金利子補給、燃油の高騰対策として漁業者への利子補給を実施して水産業振興に努めているところでございます。
今後も、八幡浜漁協と協議しながら水産業振興策を検討してまいりたいと考えております。
次に、3点目の魚類養殖についてお答えをいたします。
八幡浜漁協が養殖マダイのブランド化を目指して申請をしておりました「てやてや」が、昨年11月24日付で特許庁から商標登録されました。漁協としても、養殖マダイのブランド化推進のため、PR活動やポスター、チラシ等作成し、販売拡大を図っているところでございます。
しかし、漁業者の安定した収入を確保するため、今後はもう一歩進んで鮮魚に付加価値をつける加工品開発を行うことが重要であると考えております。八幡浜漁協も漁協合併時において水産加工場の建設計画をしており、順次実施に移っていくものと思われます。
また、八幡浜港振興ビジョンにおきましても、計画の中に水産加工場施設用地の整備を予定しているところでございます。
以上でございます。
○議長(宮本明裕君) 生活環境課長。
○生活環境課長(清水義明君)
上田議員御質問の大綱3、循環型社会の形成について、1、廃食用油の有効利用についてお答えをいたします。
昨年6月議会で魚崎議員より質問のありました廃食用油のリサイクルについて答弁させていただきましたが、現在も一般家庭より排出される廃食用油のリサイクルにつきましては、リサイクル活動に積極的な市民団体等によります廃油石けんづくりなどの実践活動が行われている程度でありまして、てんぷら油等の処分については、固形化したものと新聞等での吸収したものについてのみ燃えるごみとして回収処分を行っているのが現状であります。
今回上田議員より具体的に当市のかまぼこ業者や各スーパー等から排出されるてんぷら油を有効利用してはどうかとの御提案をいただきました。かまぼこ業者等の企業から排出される廃食用油につきましては、納入業者等に直接返し処理されているようであり、当然食品リサイクル法に基づき適正に処理されているものと思っております。
市といたしましては、ごみの減量化に役立て、循環型社会の形成を図るため、一般家庭及び公共施設等から排出される廃食用油の再生燃料化や再生飼料化等の研究、検討を行っているところでありますが、さまざまな問題を解決しなければ現実化することができない状況であります。議員御提案のNPO法人を設立し、再生燃料化も一つの方向性でありましょうし、また障害者施設等での取り組みとしての方法もあろうかと存じます。
議員御指摘の廃油リサイクルにつきまして、今後さらに研究を重ねてまいりたいと考えておりますので、御理解のほどをよろしくお願いをいたします。
以上でございます。
○議長(宮本明裕君) 農林課長。
○農林課長(二宮嘉彦君)
大綱2の1、加工品相談窓口の専門職員の配置についてということにお答えをいたします。
八幡浜市にも農産加工品を手がける個人やグループがおいでになり、それぞれに製造販売の努力をされていることを承知はいたしております。期待と不安の中で消費者の方々のおいしいと言ってくださる笑顔がうれしいと皆さんおっしゃっておりますが、その不安を解消するために、相談、助言、提案が重要であることは議員御指摘のとおりでございます。
現在は、グループ間の情報交換などを地方局農政普及課とともにお手伝いをさせていただいておりますが、専門職員の配置につきましては、現段階では困難であり、今後の検討課題とさせていただきたいと思っております。
当面は、先ほど申しました地方局農政普及課、市役所農林課へ気軽に御相談をいただきたいと思います。
なお、八幡浜ブランドの認定を八幡浜市物産協会で進めておりますので、御活用をいただけたらと思います。
次に、大綱3の2、ミカン剪定枝のボイラー熱としての活用についてでございますが、ミカンの剪定枝の処分については、古くはふろなどの燃料として重宝されておりましたけれども、最近では電気、ガス、灯油に取ってかわられ、近年は粉砕をして畑に還元する農家もあるようでございます。また、畑での焼却については、環境問題などで好ましくないのも事実でございます。
剪定枝は、肥培管理の上で毎年出てくるものですし、改植や放任園の伐採でも出てまいります。処分に困ればごみとなってしまいますが、議員御提案のように利用すれば資源となります。
今後、研究してまいりたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
以上です。