公開日 2014年09月05日
〔山中隆徳君登壇〕
○山中隆徳君
一般質問通告書に従いまして、大綱4点について市長並びに関係理事者にお尋ねいたします。
第1は、文化振興行政についてであります。
新八幡浜市の組織機構は、それまでの両市町の36課を新組織では24課に整理統合してスタートいたしました。この中で特徴的なことは、教育委員会部局3課を旧保内町に集中して配置し、とりわけ行財政改革を目指している中で、生涯教育課を生涯学習課と文化振興課に分割し、愛媛県下でも例の少ない文化振興課を新たに設置したことであります。そこで、今後の文化行政についてお尋ねします。
まず、旧保内町においては文化のまちづくりを目指して、文化会館ゆめみかんを拠点に積極的に自主文化事業を実施してきましたが、今後は類似施設の八幡浜市民会館との整合を含めて、文化芸術の振興をどのように図っていかれるのかお尋ねいたします。
次に、文化財の保存活用であります。
私たちの郷土八幡浜には、豊かな歴史と伝統により、先人がつくり出した価値ある文化遺産や恵まれた自然により、古くからはぐくみ育てられた貴重な天然記念物などが数多く継承されております。八幡浜市の文化財は、国、県の指定などを含めて66件指定されておりますが、そのうち樹木関係は8件であります。悠久の時によってはぐくまれた巨樹は、森林、樹木の象徴的存在であり、地域の人々の心のよりどころとなり、生活と自然を豊かにする上でかけがえのない価値を有していると思われます。
ところが、今日まで文化財の指定に当たっては、美術工芸品や建造物などの人為的なものに傾き、自然環境保全の視点が欠落していたのではないかと思う次第です。環境問題の重要性が言われて久しいわけでありますが、八幡浜市にある巨木の実態調査を実施して、学術上、文化上、教育上価値の高い巨木については、子孫に引き継ぐ財産として天然記念物に文化財指定をし、積極的に保全、整備を図るべきと考えますが、所見をお伺いします。
大綱の第2は、ミカンバエ問題についてであります。
愛媛新聞6月7日、1面トップに「ミカンバエ県内被害」と報道され、大洲市長浜地区を中心に124カ所も被害が拡大しており、また八幡浜市保内地区にも3カ所見つかっております。
ミカンバエは、ミカンの果実に産卵、幼虫が果肉に食い込むため、商品価値を大きく損なわせ、寄生果実は落下し、収量減につながるか、外観上被害果実の見分けがつかないため、寄生果実が市場に出荷されるおそれがあり、地元生産者らは風評被害を懸念しております。ミカンのまちとうたわれている八幡浜市にとって、産地全体のイメージダウンにもなりかねない大きな問題を含んでいます。
このミカンバエ被害に対し、近隣の大洲市では長浜地区を中心に、6月定例議会に提案した一般会計補正予算案に、放任園等ミカン害虫防除対策補助金370万円を計上しております。八幡浜市におきましても、何らかの対策を早急に講じる必要があるのではないか、関係理事者の所見をお伺いします。
次に、3番目として保育行政についてであります。
八幡浜市におきましても若い世代を中心に、共働き家庭が以前に比べ急速に進んでいます。
八幡浜市在住の50代の働く主婦からの切実な要望ですけれども、うちの家庭には20代の嫁がおり、子供を保育所に預け、平日は毎日働きに出ております。つい先日子供が熱を出し、保育所を休ませましたが、親も一緒に休まなければなりません。おばあちゃんに預ければ働きに出られるわけですけれども、そのおばあちゃんも仕事を持っておられ、休むわけにはいきません。
そこで、提案です。幼い子供たちの保育の問題ですが、大病の場合には母親も祖母も付き添って看病しなければならないわけですけれども、ちょっとした発熱程度の病であれば、保育所に看護師を配置するか、市立病院の看護学校の空き建物に預かり施設をつくるとか、ほかによい方法を考えられて、共働き家庭が安心して保育できる、働ける環境づくりを要望し、関係各位の所見をお伺いいたします。
次に、4番目として固定資産税についてであります。
土地の実勢価格はバブル時代平成3年に比べ、現在平成17年は価格が低迷しております。農業委員会事務局でお尋ねしますと、例えば面積1反のミカン畑の概数的な価格は、日土町5番耕地では平成3年が43ないし44万円、平成17年が13万3,000円で、約7割減の価格となっております。
また、宅地につきましては、市役所前で、平成4年が1平方メートルで23万円、平成17年が12万1,000円と、13年間で約半分の価格になっております。
ここで質問いたします。
土地の実勢価格がバブル時代平成3年に比べ現在平成17年は大きく下がっているのにもかかわらず、固定資産税額は多少ふえているのはどういうことなのか、詳しく所見をお伺いいたします。
以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(山本儀夫君) 市長。
○市長(高橋英吾君)
山中隆徳議員の大綱2、ミカンバエ問題について早急な対策を講じる必要があるのではないかについてお答えいたします。
ミカンバエ発生の対策を、ミカンバエが八幡浜市にも発生しているという情報を6月上旬に把握し、早速八幡浜地方局農政普及課、JA西宇和と連絡しながら調査、情報収集を行っております。
現場は、旧保内町の耕作放任園等ですが、対策としては薬剤防除と伐採、被害園のミカンを採取し、処理することが必要であります。その薬剤防除や伐採についても、害虫の産卵時期、成虫の未発生、園への飛散防災や成虫密度抑制といった時期を考えて行っていかなければなりません。そのためにも、まず関係市、町、県、JAが一体となって情報公開、発生状況の把握等を行っております。
農地の所有者が責任を持って処理していただくことが基本的な考えではありますが、高齢化やかんきつ価格の低迷などによる耕作地の放任といったことも起きているのが現状であります。
八幡浜市におきましても、近隣市、町と歩調を合わせて対応をしてまいりますが、御指摘にもあるように、風評被害も懸念されます。愛媛ミカンの品質はもちろんですが、生産量も日本一の座を奪還するためにも、八幡浜市のかんきつ農業が安心で安全なものでなくてはなりません。かんきつ生産者がそのような不安を抱かずに、生産消費活動に打ち込めるような対応を講じてまいりたいと思いますが、今回のミカンバエの問題は、私も新聞を見て驚いたわけであります。たまたまおとといですか、中央会の会長さんが来られて、ほかの問題で来たんですけれど、この問題を提起して、ぜひ松山でこういう問題がどっかで起こった場合に、情報として早く市町村に連絡していただきたい。そういうことで、非常に私どももちょっとその関係が残念でなりませんので、今後このようなことがないように、県とかJA、それから各市町に連絡を取って、早く情報をとっていきたいと思っております。
その他の問題に関しては、各担当課長より答弁をさせます。
○議長(山本儀夫君) 税務課長。
○税務課長(市川芳和君)
山中議員の質問、大綱4、固定資産税について、土地の実勢価格がバブル時代に比べ、現在は大きく下がっているのにもかかわらず、固定資産税額は多少ふえているのはどういうことなのかとの質問にお答えをいたします。
まず、宅地についてでありますが、現在固定資産税に係る宅地の評価額と税額を求める際の基礎となる課税標準額の間には格差がございます。この格差は、平成6年度の税制改正時に評価額が地価公示価格の約7割となりました。改正前は、地価公示価格の約2割で、評価額と課税標準額はほぼ同額でありました。課税標準額を改正された評価額に合わせると、税額が一度に3倍以上となり、納税者の負担が大きくなるため、前年度の課税標準額に負担調整率を乗じたものを課税標準額とし、毎年負担調整率を加算して、評価額に近づける制度ができたために、この格差は生じました。
なお、この負担調整率の加算は、住宅地以外の非住宅地と呼ばれる土地については、課税標準額が評価額の7割で上限となります。現在、地価の下落に伴って、評価額も下落しておりますが、課税標準額との間に生じた格差が解消されていない土地にあっては、地価の下落によって土地の評価額が下がっているのに税額は上がるという状態が続いております。
農地については、御指摘のようなバブル時と比較して7割減の事例もあるかと思いますが、バブル時と変わらない取引事例もあると聞いております。もともと評価額が実勢価格と比較して著しく低い状態でありましたので、本来であれば実勢価格に近づける引き上げが必要でありましたが、地価が下がっている現状においては、納税者の理解が得られないため、平成7年度以降評価額は据え置いた状態が続いていることを御理解いただきたいと思います。
以上です。
○議長(山本儀夫君) 福祉事務所長。
○福祉事務所長(小西宇佐男君)
山中議員の大綱3、保育行政についての御質問にお答えをいたします。
近年、核家族化や女性の社会進出の増大等、児童を取り巻く環境は大きく変化をいたしております。保護者の子育てと就労の両立を支援することが少子化対策の重要な課題であると認識をいたしておるところでございます。
議員御指摘の乳幼児健康支援一時預かり事業、いわゆる病後児保育につきましては、現在県内で5市1町の7施設で実施をされております。本市でも16年度末に策定をいたしました八幡浜市次世代育成支援行動計画の今後5年間の事業目標といたしまして、保育所、その他の施設、病院または診療所において適当な設備を備える等により、保育を行う、いわゆる施設型の病後児保育を実施すべく検討をいたしているところでございます。
病後児保育につきましては、小児科のある病院の協力等、他の機関との連携が必要であり、直ちにというわけにはいきませんが、できるだけ早く実施できるように取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと存じます。
以上でございます。
○議長(山本儀夫君) 文化振興課長。
○文化振興課長(水野省三君)
山中議員御質問の大綱1、文化芸術の振興をどのように図っていくか、2、巨木の文化財指定についてお答えをいたします。
まず、文化振興の基本的な考え方でありますが、文化は楽しさや感動、精神的な安らぎや生きる喜びをもたらして、人生を豊かにするとともに、豊かな人間性を涵養し、創造性をはぐくむものであります。さらに、文化には人を動かす力があります。文化に触れたり、創造にかかわったりすることは、個性を発揮させ、他者への発信や協働、ともに働くことを通じて、多くの人々を元気にする力があります。文化には、人々に元気を与え、地域社会全体を活性化させて、魅力ある社会づくりを推進する力があります。この文化の持つ力、つまり文化力を高めて、潤いと文化の香りあふれる魅力あるまちづくりに努める所存であります。
そこで、その重点施策といたしまして、まず第1に文化拠点の整備を図りたいと考えております。図書館、市民会館、文化会館が文化振興の拠点としての役割を果たすために、その機能、事業内容や施設、設備を含みますが、その機能の充実を図る所存であります。
第2に、文化の発展を支える幅広い人材の育成に努めます。文化芸術活動を地域住民の中に息づかせる文化芸術団体や文化ボランティアの育成及び連携を図る所存でございます。
第3に、文化遺産を保存し、積極的な活用に努めます。身近にある歴史的な建造物や伝統的な行事、祭りなどの継承や地域の特色ある文化活動の推進に努めます。
第4に、子供たちの文化体験活動の推進に努めます。子供たちが学校や文化施設等において舞台芸術、映画、伝統文化などの文化芸術に直接触れたり、参加し、体験できる機会の充実を図りたいと考えております。
以上、この4項目を基本的な方針といたしまして、文化振興に努める所存でございます。
なお、類似施設の市民会館と文化会館の整合性でありますが、従来の館運営を踏襲いたしまして、原則として市民会館は貸し館を中心に、自主文化事業はゆめみかん文化会館において実施したいと考えております。
続きまして、巨木の文化財指定についてお答えをいたします。
自然環境と私たちの生活は、不可分のものでありまして、豊かな自然は豊かな生活をもたらし、心のよりどころとゆとりを生み、その土地に根差した文化の土壌となります。私たちは自然から受けた恩恵を、自然を守り育てることで還元し、次の世代へ伝えていかなくてはなりません。近年八幡浜地域でも民間の有識者を中心に、動植物の調査が行われ、環境の見直しや希少動物や埋もれた自然遺産の発見につながっております。
ところで、八幡浜市では12件の樹木及び林を天然記念物として指定しておりましたが、うち3件は樹勢が衰え、指定を解除いたしまして、現在9件の指定となっております。本年度愛媛県では県民参加の森づくり公募事業において、樹木医による樹勢調査や樹勢回復措置が必要な天然記念物を募集しておりまして、先般市指定天然記念物の樹木について現状確認をいたしまして、うち3件について要望書を提出しているところであります。
天然記念物の保護と活用には、継続的な取り組みが必要でありまして、地域の人々の関心と協力が不可欠であります。文化財指定は樹木に関する関心の喚起にもつながり、意義のあることと考えております。
また、御指摘いただきました巨木につきましては、その定義は原則として地上から1.3メートルの高さでの幹周りが3メートル以上と定義をされております。現在八幡浜市内の山中には、その条件を満たす110本以上もの巨木が存在していることが民間団体の調査で判明をいたしております。これらの巨木すべてを文化財に指定することは困難ではありますが、今後積極的に調査を行い、その中で特に歴史的、文化的な価値の高いと思われるものについては、その保全、保護を図ってまいりたいと考えております。
以上、よろしくお願いいたします。