公開日 2022年01月13日
〔竹内秀明君登壇〕
○竹内秀明君 私は、一般質問通告書に従いまして、大綱1点、質問をいたします。市長並びに関係理事者の皆様には誠意ある御答弁をお願いいたします。
大綱1、本市の人材育成の考えについて。土木技術職員の育成についてであります。
時代の流れが大きく変革する潮目に直面している現在、当市のような小規模な自治体こそ先手を打って変化の先を読み、的確な政策を創造する能力を高めなければなりません。まさに我々はこれからの再生の鍵が人材育成にあることをいま一度思い出すときにあるのではないかと思っております。
しかし、この人材育成、すぐさま効果が出るものではありません。社会構造の変化が続き、各事業の抜本的な見直しや改革が叫ばれる中で、あらゆる問題が噴出している今、人はすぐに効果の出るもの、目に見えるものにのみ評価を与えようとしがちであり、このことは目の前に迫っている問題を見失わせ、知らず知らずのうちに蓋をしてしまうという危険性を内在させています。
だからこそ本市もおのおのの分野における業務の本質、基本的な仕事の意味を再確認し、現在の仕事内容について精査、検討した上で、おのおのの本業務が将来の発展、あるいは市民生活につながるのか、本当に必要なものなのか、無駄はないのか、方向性の在り方について再度検討し、一度業務内容の整理を行うべきではないのか。
近年、地域振興対策という名の下に数々のイベント行事の多さも目立ち、災害等新たな不測の事態が発生する中で、本来持つべき基本的な業務の抜本的な改革に手が回っていないのではないか。いや、これらの業務を実施する上で職員の人材体制が整っていないのではないかなどと、私自身としてもとても危惧しているところです。
そこで、既に突入していると思いますが、私はさらなる大変革が進む未来に備えて立ち向かう体制を強く意識して整えるべく人材育成に早く本腰を入れなければならないのでないかと強く思う次第であります。
地方自治とは、多岐にわたる行政課題について、複数分野の専門的な知識と深い経験をもって住民の生活を支えるサービスであります。されど団塊世代職員の大量退職と職員採用の抑制から、特に土木事業系の現場では技術職員が少なくなるだけではなく、ゼネラリスト育成のためなのか、人事サイクルが短く、技術が継承されずにスペシャリストが育っていないように思われます。
これは各部門の事務職員も同じであると思います。技術職員の現体制における平均年齢も45歳近くとなっており、既に技術面での継承は危機的な状況にあると言っても過言ではないでしょう。
専門を掘り下げる深さと境界を越える深さとのバランスを大事にするということが大切ではないかと思います。
私自身、過去に建設現場の監督として様々な事業に携わり、経験したからこそ思うのでありますが、これまで何とかなってきたのは、各分野の数少ない熟練専門職員の経験と知識、勘、そして大事業を経験してきた判断力や度胸であると言っても過言ではないでしょう。
その頼みの綱である人材も既に減っており、間もなく不在となります。しかも技術は進化、高度化し、内容は深化、深くなり、インフラ等の老朽化する公共土木施設の更新、災害・防災対策、過去からの持ち越し事業など、もはや待ったなしの危機は既に来ているのであります。
これらの危機に対しては、我々の世代が責任を持って対応し、後世のために将来への道筋をつけていくことに全力を挙げなければならないと思うのであります。
そこで、どのようにして我々の後を引き継ぐ世代を育てるのか、伺います。
1、現在の土木職員の採用状況は。志願者がいない場合のこれからの採用状況及び取組は。
2、土木技術職員の平均異動年数は。
3、人事異動の考え方と本人の仕事の悩みなどの面談の実施は。
4、技術職員への技術向上への取組は。技術研修会の参加、資格取得の推進など。
5、技術職員の資格取得について。請負建設業者の資格提示を求めているが、市監督員の資格提示は必要ではないのか。市の技術職員として監督に当たるため、最低限の資格として1級土木施工管理技士は必要ではないのか。また、1級土木施工管理技士の有取得者は全体の何割いるのか。また、高度な専門技術知識の取得を目指すため、土木資格の最高峰である技術士または技術士補の取得者は土木職全体のうち何名いるのか。県職員の多くはチャレンジし、スキルアップしているようであります。
6、職員へ各事業の現在の問題点や今後必要とする中長期政策立案に関する企画、計画策定の機会、プレゼンを与える環境に配慮しているのか。トップダウンが多いのではないのか。それとも職員のやる気、意識の低下なのでしょうか。
7、今後の各部門を背負う人材育成の在り方とはどのように考えているのか。例えば各分野の政策課題に対しての政策提言を持つ職員との面談実施による異動や原課への固定化、あるいは経験数を考慮した適齢期、管理職への昇任時などでリーダー的存在の発掘、固定による後輩への指導、育成。また、昇任試験の実施などで論文形式の政策提言を図るなど、退職者、経験者の活用による技術者育成のための配置計画等。
8、平成30年3月に人材育成基本方針の改定版が出ておりますが、職員に聞くところ、知らない人が多くいます。いま一度周知徹底をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
これからの行政の取組については、拡大と創造、そして増分主義というキーワードのもとで国や大規模自治体があらゆる面において先頭に立ち、自治をリードしてきたのに対し、今後は縮小と再生産、そして減分主義というキーワードのもとで難易度の高い循環的更新を中小規模事業者が先陣を切って始動させねばならない時代に立っているということであります。
また、人材育成はすぐさま効果が出るものではありません。これからは、いまだかつて誰も経験したことのない縮小再生産に立ち向かうことになりますので、現実を自ら直視し、覚悟を持って問題に立ち向かうすべを考え、実行する職員を養成する必要があると思います。御答弁のほどよろしくお願いいたします。
○議長(石崎久次君) 市長。
○市長(大城一郎君) 竹内議員の大綱1、本市の人材育成の考えについての(3)人事異動の考え方及び仕事の悩み等の面談の実施状況についてお答えをします。
土木のスペシャリストとして分けるとすれば、道路、農道・林道、河川、砂防、港湾・漁港、かんがい排水、下水・上水、都市計画と、非常に多岐にわたります。
大きな組織であればそれぞれに独立した課でそれを担当することになります。一般に市町村では、土木職で採用されれば、現場の路側、山留めのブロック積みから始まって、これらのうちの幾つかについて経験を積むことになります。
ある分野について深い知識を持ったスペシャリストが必要であることは言うまでもありません。特に様々なレベルで判断を必要とされるとき、業者の見解のみによらず、自分なりの考え方を示すことのできる能力が必要です。
また、逆にその分野についてしか知らなければ、他の事業と比較して必要性、重要性、緊急度等が十分比較できない専門のわなに陥る可能性もあります。
スペシャリストのよさは、広く教養を持ち、さらに特別の分野についても深い知識を持っているときにこそ発揮できるものだと思います。
市としては、これらのバランスを取りながら、各種研修へ積極的に参加をさせ、本人にスキルが蓄積されるよう努めていきたいと考えています。
仕事の悩みなどの面談の機会につきましては、現在特別に設けてはいませんが、年に1度異動希望調査を実施する際に、異動希望と併せて本人の心配事や市への提言等をできる仕組みとしており、その内容により面談を実施する場合もあります。
その他の質問に対しましては、担当の部課長のほうから答弁をさせます。
○議長(石崎久次君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) 1点目の御質問の土木技術職員の採用状況と採用に向けた取組についてお答えします。
議員が言われるとおり、近年の土木技術職の人材確保は深刻な状況となっております。
土木職員は、各種インフラ整備や維持管理、災害時の応急対応など、多くの仕事に携わっており、安全・安心な住民生活に欠くことのできない重要な役割を担っていますが、当市においては、他の自治体や民間との競合もあり、新規採用において応募者が減り、必要な人員確保に苦慮する状況が続いております。
さらに、人材育成の面においては、人員不足や職員の年齢構成の偏りなどもあり、日々の業務の中で先輩技師から指導を受けることにより身につく土木職員としてのスキルの継承も課題の一つとなっております。
それでは、議員御質問の現在の土木職員の採用状況及び採用に向けた取組についてお答えします。
土木職員の採用状況については、過去10年間の新規採用は6人で、平成29年度からは毎年1人ずつ採用してきております。
しかしながら、応募者数が減少する中、今後の新たな行政需要への対応のため必要となる人員はもとより、現状の業務量のために必要な人員すら十分に確保が図れていない状況です。
次に、採用に向けた取組についてですが、当市では2年前から早期に内定が出せるように、通常7月に実施する全国統一試験日を前倒しし、5月に試験日を設定し、受験者数確保に努めているほか、大学への採用試験案内の送付、また昨年からは、より受験しやすい環境を整えるため、土木、建築の受験者については、負担となる教養試験を廃止するなど、試験制度の見直しを行っているところです。
以上でございます。
○議長(石崎久次君) 総務課長。
○総務課長(井上耕二君) 2つ目の土木技術職員の平均異動年数についてお答えをします。
職員が担当している工事や業務の状況等を考慮する必要があり、職員ごとに異動年数の長短はありますが、土木職員の平均異動年数は約5年となっております。
以上です。
○議長(石崎久次君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) 4点目の御質問の技術職員の技術向上への取組の状況についてお答えします。
技術研修会については、近年では愛媛大学が主催する社会基盤の維持管理・補修の計画・設計・実施技術を習得し、地域の活性化に貢献できる人材の育成を目的とした社会基盤メンテナンスエキスパート養成講座へ隔年で参加させているほか、毎年四国地方整備局が実施する道路構造物管理実務者研修や愛媛県が実施する土木職員技術研修などに職員を参加させ、土木職員の資質、技術の向上を図っております。
また、研修以外では、平成27年度以降、四国地方整備局と土木職員の人事交流を行っています。
各種資格取得の推進に向けた取組としては、平成25年に職員の自発的な資格取得に対し、取得に要した経費に対し10万円を限度に3分の2に相当する額を助成する制度を設けており、過去に一級建築士の資格を取得した職員に助成した事例があります。
今回の御質問を機に、土木職員に限らず全職員に対して改めて本助成制度を周知し、職員の自己啓発への意欲を喚起するとともに、職員の能力の向上を図ってまいりたいと思います。
続きまして、5点目の御質問の技術職員の資格取得についてのうちの1番目、監督員の資格提示が必要なのではないかという御質問にお答えします。
監督員の設置の目的は、契約履行の確保であるため、資格を有した技術者を配置しなければならないということではなく、設計図書及び契約内容に基づき必要な監督ができるものであれば問題ないとされております。
以上でございます。
○議長(石崎久次君) 総務課長。
○総務課長(井上耕二君) 5番目の技術職員の資格取得についてのうち、2つ目、1級土木施工管理技士の取得者についてお答えをします。
1級土木施工管理技士の有資格者は、土木職員23人中7人で、全体の約3割でございます。
また、このほか2級土木施工管理技士の有資格者が4人おり、これを合わせると約5割となります。
続きまして、次の3番目、技術士、技術士補の取得者についてお答えします。
技術士とは、高等な科学技術に関する分野、例えば建設部門、上下水道部門、機械部門など21部門ありますが、それらの分野において高度な専門知識を持つ者であると国に認められた技術者のことで、技術士補とは、技術士試験の1次試験に合格した者あるいは特定の大学の課程を卒業した者で、技術士補として登録した者でございます。
現在、当市の職員で技術士の資格はいませんが、技術士補は土木職員23人中4人が有資格者となっております。
以上です。
○議長(石崎久次君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) 6点目の御質問の職員が企画・計画策定に参加する機会やプレゼンを行う機会など、そのような職場環境整備がなされているのか、トップダウンが多いのではないかという御質問にお答えします。
組織にとって建設的な意見が理事者に届かない、常にトップダウンでこの意思決定がどのような過程を経てなされたのか、現場の職員には分からない、そのような組織は退嬰的、閉鎖的になっていくものと思います。
今の市役所は、研修や出張、人事交流、被災地への派遣など、自己研さんのための様々な機会が与えられており、中でも研修については、研修に参加したい旨の希望を申し出る機会が平等に保障されております。
これらを通じて職員は、知識だけでなく意欲も高まり、広い視野を持つことができるようになってきました。市の施策についてもアイデアや提案があれば、役職のない一般職員でも市長、副市長と議論することができます。
いずれにしましても、政策実現のためには、部下も上司もなく双方が課題を共有し、幅広く議論ができる風通しのよい市役所となるよう、今後も努めてまいりたいと考えております。
続きまして、7点目の御質問の人材育成の在り方についてお答えします。
土木技術職員の人材育成については、既に答弁してきたところでありますが、おおむね5年のジョブローテーションにより、技術職員として様々な経験を積む中で幅広い知識と技術を習得させた上で、管理職への昇任時など一定年齢に達した際、将来的に専門部門のスペシャリストを目指すのか、あるいはゼネラリストを目指すのか、本人の意向やキャリアプランも考慮した異動についても今後検討してみたいと思います。
また、昇任試験につきましては、既に実施しております人事評価制度において、能力、実績評価に基づく適正な人事管理ができており、現在のところ実施する予定はありません。
技術者育成のための退職者等の活用につきましては、土木技術職員の確保が難しい現状を踏まえ、人材育成及び人員確保の両面において必要であると考えており、定年退職後の再任用期間の延長など、適正な人員管理の中で配置をしていきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(石崎久次君) 総務課長。
○総務課長(井上耕二君) 8点目の御質問の人材育成基本方針の周知徹底についてお答えします。
平成30年3月に改定しました人材育成方針につきましては、現在市のホームページに掲載をしております。
職員においては、議員御指摘のとおり、知らない職員もいますので、改めて職員が日常業務で使用しておりますグループウエア等で周知したいと考えております。
以上です。
○議長(石崎久次君) 竹内秀明議員。
○竹内秀明君 いろいろな前向きな御答弁もありました。ありがとうございました。
技術士補が4人もいるということは知りませんでした。大変よいと思います。またこれからスキルアップしていってもらったらと思います。
1つ再質問をしたいと思います。
技術者の確保が官民ともに困難な状況にあることはよく理解できておりますが、大卒や経験者の採用のほかに、新高卒者を採用し、二、三年または四、五年かけて鍛え上げるのも選択肢だと思います。地元にもすばらしい工業高校がありますし、測量部門においては全国1位になった経験もたくさんあります。そういう人材も、若い子を育て上げるのも選択肢だと思いますが、その新高卒者の採用はできないものか伺います。
○議長(石崎久次君) 副市長。
○副市長(橋本顯治君) 高校の新卒者の技術職員の採用についてということです。
まず、最初に御指摘しておきたいのは、高校の技術職の新卒者も非常に厳しい状況であって、今は大卒だけですけど、高卒に回したところでどれだけ来るかというのはなかなか未知数のところがあると思います。
現在、当市の技術職員は、高卒7人、大卒16人、これは土木の技術職員です。
それから、建築の技術職員については、5人全て大卒になっています。
技術職員に求められるのは、設計書の作成、点検、現場監督から事業の企画立案、新しい課題の発見など、非常に多岐にわたっており、これは先ほど竹内議員の御質問にもあったところです。
現在のところ、人文系の教養も含めて大学での専門のカリキュラムを履修した者が適当ではないかと思っています。
なお、学歴によって門戸を閉ざしているわけではなく、平成27年度からは、採用試験は大卒程度の内容となりますが、高校卒業でも22歳からは受験ができるように変更しています。
高校新卒者の採用については、大卒者の応募が極めて少ないことから、内部でも議論をしたことがあり、いろいろ話をしましたけれども、その際はまだ技術レベルの確保の観点から基本大卒を維持しようという結論になったことがあります。
なお、今後の状況によっては、お話しのとおり、さらに必要の都度検討していきたいと思っています。
○議長(石崎久次君) 竹内秀明議員。
○竹内秀明君 今副市長の御答弁がありましたが、また何度かこれからもそういう議題が上がったりしたら、なるべくなら、難しいのは分かっておりますけど、新高卒者を採用をお願いしたいと思います。
当市においても将来の若手職員が我々に代わって我が町を守り続ける上で、中長期の未来を創造できる知恵と技術を身につけることができるよう、最初から精度の高い成果を求めるのではなく、何よりも再度若手職員の問題意識を醸成させるという人材育成を第一に考え、それらの精度を職員皆が寄り添いながら高め、仕上げるという気構えが必要と考えますので、今後は将来を見据えた市民に役立つ仕事の本質を理解、判断、実行できる職員を確実に育成してもらいたいと強く要望して私の一般質問を終わります。