公開日 2023年09月06日
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○西山一規君 私は、大綱1つについて一般質問を行います。理事者のほうも分かりやすい答弁をお願いしたいと思います。
今回、「八幡浜のお金の流れについて」というタイトルで質問いたしますが、過去からこういった経済に関する質問を何度か行っております。まず令和元年12月、お金とはとか、お金の機能について。市内経済のためにお金は市内で回す。入る金を増やして出る金を減らすというのが理想的だというふうなお話になりました。
次は令和2年6月、コロナ対策の10万円定額給付、これによって市内のお金が33億円増える。お金は使うとなくなるのではなく、次の人に渡る。市内で使えば市内が潤う。それと、インフレのときは今お金を使うほうが得である。デフレのときは貯めておいたほうが得であるというような内容です。
次は令和2年12月、需要と供給についてです。需要が多いとインフレに向かう。供給が多いとデフレに向かうと。デフレの場合は貯蓄に向かい、需要がさらに減ってさらにデフレが進むという。それの解決策として答弁いただきましたが、政府が需要を創出するということです。市のほうでは、この需要を刺激すると、プレミアム商品券等で需要を刺激するということでした。
令和3年3月、市内でお金を回すときの手法として、ちょうど佐々木議員がナッジの手法という一般質問をされてまして、ちょうどそれがそうだなとも思いましたが、自然にそうなるように導く仕掛け、これを行ったり効果的なPR方法を活用して市内でお金を回すということをされると。
令和4年3月には、市の財政の厳しさということで、様々な指標について質問をいたしました。
現在私は、先ほどトップバッターで質問されましたが、井上 剛議員とともに積極財政を推進する地方議員連盟、今朝ホームページで確認しますと、会員数は130名になっております。そのような連盟に所属しておりまして、そういう観点から質問をいたします。
よくある積極財政についていろんな批判がありますけれども、ばらまきであるとか放漫財政だとか、そして極端な例を出されて、財政破綻やハイパーインフレに向かうということですとか、特に最近よく聞くのは、将来へのツケ回しだというような表現で批判されることがよくあります。
これは国の財政を家計に例える財務省の説明があります。それをそのままうのみにしてしまうとそのような発想になってしまうものであるというふうに考えております。
積極財政を推進する立場からですが、あまり特徴的な主張をする前に、今回は根本的な事実、現実についてまず確認をいたします。
1つ目は、お金はどうすれば増えるのかということです。
一生懸命働いて稼いだと。企業努力で売上げを増やして貯金が増えた。これはお金が増えたのかということですが、世の中全体を見ると、これはお金が増えたんではなくて、お金が移動したにすぎません。誰かが黒字になるということは誰かが赤字になる。結局そのようなものではプラス・マイナス・ゼロで、全体としては増えていないということになります。
これから以降、分かりやすいように、聞き慣れない言葉は極力使わないで進めたいと思います。
現実にどうやってお金が増えるか。これは、銀行から借りるとお金が生まれ、返済すると消えるというのが現実であります。
これ私個人の勝手な思い込みとか感想とかではなく、権威ある組織も同様の説明をしております。
どこが説明しているかというと、イギリスの中央銀行、日本で言う日銀に当たるところです。イングランド銀行の季刊誌「現代の経済における貨幣創造」という説明があります。
その中にも、貸出しを行う商業銀行によってお金が生まれる。銀行は預かった預金を又貸ししていない、貸出額を記帳するだけ、そのような考え方があります。
その文章の中にはもう一つ、金利などによって金融政策を行うことも書いてありますが、そちらはちょっと割愛いたします。
今手元に持っているのがその資料であります。これ同じものがインターネットでも見れますので、イングランド銀行、貨幣創造などで検索していただければすぐ出てきます。
事前に理事者のほうにもお渡ししておりますので、それを読んでいただけているかと思います。
問いの1つ目ですが、この説明を読んでどのように感じられたか伺います。
○議長(平家恭治君) 財政課長。
○財政課長(明礼英和君) お答えいたします。
議員御紹介のイングランド銀行の季刊誌「現代の経済における貨幣創造」を読んでの感想ということですが、経済の専門家ではないため詳しいことは分からないものの、銀行の貸付けがお金を生み出すということが書かれているものと理解しました。
これまで、銀行は預金を元手に貸付けを行うものと認識しておりましたが、実際にはそうではなく、融資の申込みをした人の口座に融資額と同額のお金を入金することで貸付けを実行するため、結果として同額の預金が生じる流れとなる。つまり、銀行は預金量に縛られずお金をつくり出す、無からお金を創り出すという考え方を本季刊誌では解説されていました。
経済用語の信用創造(銀行が貸付けを繰り返すことによって、銀行全体として元の預金額の数倍もの預金通貨が創り出されること)という考え方には、社会全体の通貨量を増やすことにより経済活動を円滑にするという役割があり、金融機関が貨幣経済において果たす重要な役割の一つであると認識しております。
経済学は、個人や企業だけでなく、国家など社会全体の経済活動の仕組みを幅広く研究する学問であり、経済学者による様々な見解や経済理論もあるため、広い視野で多角的に物事を捉える力を養うことも大事なことだと感じました。
以上でございます。
○議長(平家恭治君) 西山一規議員。
○西山一規君 詳細な感想をいただきまして、誠にありがとうございます。
確かにこれが現実ではあるんですが、これを認めないというような考え方の経済学者というか、一部の方もいらっしゃいます。
経済自体が、私も経済に対して興味を持ち出したのが、実は一番最初はやはり財布の中に入っている千円札、一万円札、こういったものが、よく考えたらこれ何だろうかなというのが、まず最初の疑問のスタートだったんですけども、世の中で聞く何かお金足りなかったら輪転機で刷ればいいんだよとかというような極端な話をされる方、そういう方の話も、お金を刷るのはいいんですけど、それって日銀の倉庫にたまるだけで、どうやって外に出ていくんですかとかという疑問から、いろいろ調べてきたというのが経緯であります。
いろいろ新古典派とかケインズ派とか、あとはマルクスですか、そういったいろんな方の経済理論がありますが、私は理系の人間でしたので、一つの事象に対していろんな理論があって、みんな言うこと違うというのはなんやねんというふうな感じで思っていたんですが、経済の場合実験ができないと、もういきなりが本番ですよということですので、そういったいろんな解釈によってこうするべきああするべきというのが変わってくるというのはある程度理解しておるところです。
今のイングランド銀行に書いてあることは、よくある教科書とは異なっている。実際はこれが現実と思われますが、教科書とは異なっているということになります。
この現実により新たな疑問が湧いた人は、またネットや本で調べていただければと思います。
よく話題になります、国が国債を発行して通貨を得る。それは、結局今のように通貨を発行するのと同じだと、お金を創り出しているのと同じだということが言えるかと思いますが、それに対してのいろんな御意見もありますので、またそれもお調べいただけると面白いかと思います。
次、個人、企業、自治体、政府の関係についてであります。
まず、個人で想定をします。収入より支出が多い。そうなると借金が膨れ上がっていく。これはよいことですか、悪いことですかと。
今度企業です。少し表現変わりますが、将来の収入のための支出、投資です。そして、節度ある借金、これを行うのはいいことなのか、悪いことなのか。
次は自治体です。収入より支出が多くて、貯金である財政調整基金もなくなってしまった。これはいいことなのか、悪いことなのか。
最後、政府ですが、現在約1,200兆円の借金というふうに言われています。これが毎年増え続けている。これよいことなのですか、悪いことなのですかと。
というようなことを、それぞれを、イエス・ノーとかではなくて多面的な答弁でも結構ですが、上記の4つについて答弁をお願いします。
○議長(平家恭治君) 財政課長。
○財政課長(明礼英和君) お答えいたします。
個人の借金は、収入より支出が多く借金が膨れ上がる状況は、いずれ生活が破綻してしまうため、支出の見直しや新たな収入の確保策を考える必要があると思います。
企業の借金は、将来の収入のために節度ある借金を行うことは、企業が成長する上で必要な投資と考えられます。
自治体の借金としては、公共施設の建設事業や災害復旧事業など、単年度に多額の財源を必要とする事業の場合、地方債を発行して必要な資金を調達して実施します。このことにより、財政負担を後年度に平準化し、将来恩恵を受けることになる世代にも公平に負担を分かつことが可能となります。
なお、収入より支出が多く、貯金である財政調整基金もなくなった場合は、大規模災害などの不測の事態に早急に対応するための財源が確保できていないことになり、市民の安全・安心を守るためにも、一定の財源は確保しておく必要があると考えています。
政府の借金は、新型コロナ対策や物価高対応で国債の発行額が膨らみ、現在1,270兆円余りと過去最大で、毎年増え続けている状況にあり、財政状況が一段と厳しくなっていると報道がされています。
国の借金については、大きく議論が分かれるところもあるため、一概には言えませんが、医療や介護、年金などの社会保障費の増加や、新型コロナ、物価高騰対策への対応など、国民生活を守るために必要となる予算を確保する上で必要な面もあると思います。
一般的には借金はよくないこととされるイメージがありますが、全ての借金が悪いわけではなく、将来的にお金を生み出すための支出であれば、借金をしての投資も時には必要であり、積極的にお金を増やしていく努力も大事なことであると思いますし、それぞれの立場や役割によっても考え方は変わってくるものと思います。
以上でございます。
○議長(平家恭治君) 西山一規議員。
○西山一規君 私もほぼ同様の意見を持っております。
それぞれ立場が変わると、借金という言葉に対しての重みとか価値とか、そういったのが変わってきますので、それを同一視することはちょっとおかしいのではないかということが言えるかと思います。
それぞれの支出が経済効果を生むという面も見なければいけません。
最初のほうに言いましたけど、誰かが黒字の場合は誰かが赤字だということは言えますので、政府が黒字になったら政府以外の民間は赤字ですよということもつながってくるということになってきます。
個人の家計と国の財政、これは同一視していいのかということは、今の比較である程度分かっていただけたんではないかと思います。
次に移ります。
経費節減についてですが、経費節減とか身を切る改革など、歳出削減の取組について伺いますが、一般的にも無駄遣いは悪いことだと。これは恐らくどんな方でも同じような認識であろうかと思いますが、歳出削減を行うと、市内の経済にとってはどのような影響があるかを伺います。
○議長(平家恭治君) 市長。
○市長(大城一郎君) 本市においては、市税や地方交付税など限られた財源の中で、その時々の状況に応じて優先順位の高い事業から予算措置を行っており、ゼロベースでの事業の見直し、事業のスクラップ・アンド・ビルドの徹底によって無駄のない予算編成に努めております。
一方で、過度な歳出抑制は、市内経済の停滞を招きかねないと考えており、今年度は大型投資事業の支出抑制と平準化を図りつつ、デジタル技術活用に関する取組や、社会経済情勢の変化を捉えた事業者支援や産業振興に関する取組、少子化対策・子育て支援の拡充など、必要性の高いソフト事業に予算配分をするなど、めり張りのある予算編成を行っております。
また、ここ数年は特に新型コロナの感染拡大だけでなく、ウクライナ侵攻や円安等による物価高騰や大雨等の災害が頻発して発生するなど、経済的にも社会的にも先行きが不透明な状態が続いています。そのため、市民の安全・安心な暮らしを守る必要があるときには、時期を逸することなく財政調整基金を取り崩してでも必要な事業を実施していくべきものだと考えております。
今後も、市内経済を停滞させることがないよう、ただ歳出削減だけを行うのではなく、選択と集中により真に必要な事業、これへの予算措置を行っていきたいと考えております。
○議長(平家恭治君) 西山一規議員。
○西山一規君 削減するだけがいいことではない。きちんと優先順位をつけて、無駄がないように有効な使い方をするということで、しっかり理解いたしました。
次ですが、財政調整基金についてであります。
家計で言う貯蓄、貯金、こういったものに当たるのが財政調整基金でありますが、家計で言えば、貯蓄が多ければ多いほどよい。これはもう老後の蓄えとか、そういったことで多ければ多いほどよいというふうな認識は恐らく皆さんも同じかと思います。
ちょっとさっきとかぶりますけども、では市の場合は本当にこれが多いほどよいのかということになります。
市の支出は市内の需要創出であり、通貨供給と同じであります。
基金が多いのは、使うべきところに使っておらず、地域経済にマイナスであるというふうな考え方もできるかと思いますが、ここで問いですが、財政調整基金は財政規模に対してどの程度が適切と考えられるか、そしてその根拠を伺います。
○議長(平家恭治君) 財政課長。
○財政課長(明礼英和君) お答えいたします。
財政調整基金は使途に制限のない積立金で、想定外の歳入減・歳出増に伴う収支不足の解消、いわゆる赤字決算を回避することを目的として積み立てております。
具体的には、自然災害発生時等の一時的な備えであり、発生直後の救援・救護の財源となることが想定され、災害発生時に機動的に対応ができるよう、一定規模の財政調整基金を持っておく必要があります。
一般的にその所要額は、標準財政規模の1割から2割程度と言われており、本市の令和3年度決算における標準財政規模が120億6,000万円ですので、12億円から24億円程度となります。
個別の自治体によって状況は異なりますが、参考としまして、平成30年7月豪雨災害で被害の大きかった南予3市の当該災害への突発的な財政需要に対する平成30年度の財政調整基金の取崩し額は、予算計上額で宇和島市約27億8,000万円、大洲市約18億5,000万円、西予市約22億5,000万円でありました。
本市の令和4年度末での財政調整基金残高の見込みは約36億3,000万円となっておりますが、そのうち令和4年度3月補正予算時点での財政調整基金の取崩し額が約5億800万円、令和5年度当初予算での取崩し額が約15億2,000万円であることから、これらを差し引いた残り約16億円が自然災害等の想定外の歳出増加に対応できる額ということとなり、一般的な所要額の範囲内と言えます。
本市の財政調整基金残高の標準財政規模に対する割合は、令和3年度決算において25.3%と、県内11市中3位と高い順位となっていますが、これらから勘案し、安心な予算編成や財政運営を行うためには、30億円程度が必要な額と考えております。
大規模災害発生時や新型コロナウイルス感染症といった新興感染症の流行時にすぐに必要な対応ができるよう、適正な規模の財政調整基金の積立てに努めていきます。
以上です。
○議長(平家恭治君) 西山一規議員。
○西山一規君 必要額が30億円というふうに考えているということでありますが、やはりこれ一時的に赤字にならないように必要なお金ということでありますから、突発的なことに対してゼロでは駄目だと。幾らかは持ってなきゃいけない。ただし、たくさん持つということは、本来、市内経済に使えるお金を使わないで置いておくということにもなってきます。
ですから、いろんな考え方で、適正がどれかというのはきちんと見極めて、それに合わせるように。よく一般市民の方で認識されているのは、多いほうがいいと。要は家計と一緒だというふうな認識で、多ければ多いほど、ああ頑張っとるなというふうな認識をとられる方が結構いらっしゃいますが、そうではないんだと。要は市民のために使うお金はちゃんと使う。いざというときのための額を必要最低限のけておくという考えの下できちんとした額を設定して運用していただきたいと思っております。
あと、質問としては以上で全部質問をしましたが、あとちょっと一方的にある程度のお話をさせていただければと思います。
まず、お金は物なのか情報なのか、ここが一番の肝になってくるかと思います。
物であるという発想から脱却しないと、こういったのは正しい判断ができなくなります。
昔は物でした。要はこの紙幣に対して金が幾らと交換できますよ。こういった兌換紙幣という、物が裏づけになっているので、紙幣、通貨も物であるという考えでおかしくはなかったんですが、現在は、この紙幣が何かに交換できるということはありません。ただの日本銀行が発行したという券です。
バランスシート上は日本銀行の負債でありますから、日本銀行の借金の借用書を私たちは持っているというのとほとんど同じであると言えます。
あと、ちょっと分かりやすいかどうか分からないですけど、私が勝手に考えた極端に限定的な部分での例えを御紹介したいと思います。
行列のできるちゃんぽん屋があります。お客さんに並んでいただくのはかわいそうなんで、整理券を渡しますよと。ちゃんぽん屋さんは1日300食提供できる。それなのに整理券が200枚しか出さなかったと。どうなるでしょうかと。そうすると100食分の食材が余ります。
逆に400枚出したらどうなるかと。そうすると100人分のお客さんが食べられないです。券をもらったのに食べられない。
この整理券は幾ら発行すればいいかというのは何で決まるかというと、1日の供給力で決まるということになります。
いろいろ話を膨らますと、突っ込みどころはいっぱいあるんですが、この部分だけ考えると、そういったことになります。
そして、経済に関して私が興味を持った「お金とは」というスタートの時点です。これを調べると、なぜか「お金の機能とは」というような説明に変わって、インターネット上、あるいはいろんな教科書、そういった話にすり替えといいますか、変えて説明されます。
保存の機能、交換の機能、尺度の機能という3つの機能がありますよということで、いやそうじゃなくて、お金って何ですかって聞いてるんですけどというふうに私が最初思った疑問であります。
現在の私の認識を述べますと、「お金とは需要と供給の橋渡しをするツールである」というふうに認識をしております。
そして、後日ですが、国が税収の範囲内で支出するのは本当に理想なのかということも後日議論したいと思います。
最後に、八幡浜のことに戻りますが、言葉を言い換えると、市役所は市内で最大の消費者、節約ではなく有効活用をし、最大限市内にお金を供給することを考えていただきたいと思いまして、私の一般質問を終わります。