公開日 2023年09月28日
このことについて、令和5年9月22日に八幡浜市議会樋󠄀田都議長、竹内秀明副議長から八幡浜市長に要請書を提出しましたのでご報告いたします。
【要請書本文】
18歳までの子ども医療費の無償化に関する要請について
当市議会は、令和3年8月に無投票であったとはいえ、市民の代表として4年間の市政のチェック権限を負託され、車でいえば、理事者と両輪を構築し、時には市長を質し、時には市長と共に市の未来を創造していくべき存在にあると認識しております。市長におかれましては、こうした中で行う我々の今回の要請は、我々に負託していただいた市民の声であると受け止めていただきたいと思います。
要請の要旨は、「18歳までの子ども医療費に係る無償化の迅速な実現」についてであります。
市長は「安全安心なまちづくり」「暮らしやすいまちづくり」「産業振興の取り組み」を軸とした施策を推進し、それぞれがトライアングルの関係を構築しているものと認識しており、当市議会としても意を共にしているところです。どれか一つでもバランスを崩せば、歪な市政運営になってしまいかねないと考えるため、当市議会としましても市政のチェックを行っているところです。
そうした中、「暮らしやすいまちづくり」、住民が住みたいと思える街になるように、当初で述べた要旨のとおり、要請いたします。
全国どの自治体においても財政が厳しい状況にある中、それぞれの自治体が知恵を出し、独自の施策を展開し、少子化対策を行っています。住民にとってメリットが大きいと感じれば、その街に住み続けやすく、又は移り住みやすくなります。その施策が先進事例であれば尚、その傾向が高まることでしょう。逆に言えば、施策の後れを取れば、住民はその街から離れてしまう可能性が高くなるわけです。勿論、一つの施策の有無のみで街を離れる「要因」にはならないでしょうが、重要な「要素」の一つになると思うわけです。
「18歳までの子ども医療費の無償化」は、全国多くの自治体で導入が進んでいます。愛媛県内だけを見ても、20市町のうち、当市を含む3市以外が導入済み又は来年度までに導入予定である、という現状です。当市は、後れを取っているわけです。先述した「要素」の一つになっています。
この案件は、同僚議員が先の一般質問のみならず、昨年の6月や9月の市議会定例会における一般質問等の場において、断続的に理事者に質しております。同年9月の一般質問において、副市長は、近隣自治体の情勢以外の点に触れつつも、近隣市が実施すれば、当然、当市も実施を考えなければならない旨を答弁されております。また、市長は、全国市長会から国に対する重点提言の一つとして全国一律の子どもの医療費助成制度の創設を要請しているところであり、「全国の自治体からの切なる要請として粘り強く声を上げ続けることが大切」と述べられていますが、これまで、市としての前向きな考えを頂戴しておりません。
岸田内閣は「異次元の少子化対策」を旗印として政策を推進しているところであり、これを後押しするためにも、継続して国に要望し続けることも大切です。しかし、まずは、財政が厳しいながらも当市においても実施し、「厳しいが故に国において対応していただけないか」という立場で要望することも説得力を増幅させるものと考えます。
また、本年3月に県内人口が130万人を下回るなど、人口減少に歯止めがかからない中で、中村時広愛媛県知事も政策の背骨として少子化対策に最大限に注力されています。先述のとおり、当市は県内では後れを取っているため、県内の足並みも揃わず、知事の施策を後押しし切れていないのではないか、と危惧しています。
こうした観点から、「18歳までの子ども医療費の無償化」を迅速に実施していただきたいと考えるに至っております。
当然、施策を遂行するためには、財政面での検討も必要になります。現状、小学生以上の子ども医療費については、国や県による財政支援は実施されておらず、当市では、小中学生の無償化に係る経費は、「市の持ち出し」になっています。当市議会としても、財政が厳しさに直面しているという点は理解しています。無償化の対象を18歳までの子どもに拡充させるとなれば、更なる「持ち出し」が必要になり、財政を圧迫する可能性がある点も理解しています。
しかしながら、当市ではふるさと納税の寄附額がお陰様で県下1位を取り続けるなど好調を維持していたり、今議会でも議案が提出されていますように、市立八幡浜総合病院事業会計資本金を減少し、その現金を一般会計に納付されたりするなど、財源を全く捻出できない状況ではない、と承知しています。こうした事情を踏まえたうえで、複数の同僚議員が一般質問等の場において、複数の提案をさせていただいてきたところです。
予算の編成権は首長にあること、施策の取捨選択は首長の裁量によることは百も承知です。一方、人の考え方も十人十色であり、当市議会内でもそれぞれの議員が市民の負託に応えるべく様々な考え方を持って活動しています。しかし、当市の将来を考えたとき、「暮らしやすいまちづくり」、住民が住みたいと思える街にするための方策の一つとして、最重要課題である少子化対策を更に拡充すべきである、「百年河清を俟つ」わけにはいかない、という点において、当市議会は総意を得ました。
これは、ひいては市民の声です。市長におかれては、この点を重く受け止めていただいた上で、先述のトライアングルの関係を更に強化するために、当市においても「18歳までの子ども医療費の無償化」を迅速かつ適切に実施されるよう強く要請します。
令和5年9月22日
愛媛県八幡浜市議会
八幡浜市長 大 城 一 郎 様