公開日 2023年12月08日
〔遠藤 綾君質問席へ移動〕
○遠藤 綾君 本日トリを務めます遠藤 綾です。私は、質問通告書に従い、大綱3点について質問いたします。理事者の皆様には、市民に分かりやすい誠意ある御答弁をお願いいたします。
大綱第1「自衛隊への個人情報提供について」であります。
令和3年12月議会での私の一般質問で、「自衛隊の新規募集に対する自治体協力について」質問しています。平成30年度までは住民基本台帳を自衛隊の職員が閲覧し、手書きで書き写す形だったのが、令和元年より紙媒体にて提供するよう変わっているとのことです。この件を改めて質問いたします。
まず1点、自衛隊員募集におけるこれまでの情報提供の実態についてであります。
提供した情報は、住民基本台帳、略して住基と言いますが、どの情報でしょうか。住基4情報、氏名、住所、生年月日、性別のみでしょうか、お答えください。
○議長(樋󠄀田 都君) 総務課長。
○総務課長(宇都宮久昭君) お答えします。
自衛隊愛媛地方協力本部からの依頼に基づき、当該年度に18歳になる市民の氏名、住所、生年月日及び性別の住民基本台帳の4情報を提供しております。
以上です。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 提供が始まって以降の年度ごとの、今、年齢層18歳とお答えいただきましたが、各年度の人数をお答えください。
○議長(樋󠄀田 都君) 総務課長。
○総務課長(宇都宮久昭君) お答えします。
平成30年度までは住民基本台帳の閲覧申請に応じ、自衛隊の職員が住民基本台帳を閲覧し、募集対象者の氏名、住所、生年月日及び性別を書き写すことにより募集対象者情報を提供してきましたが、令和元年度以降は防衛大臣からの法令に基づく依頼を受け、募集対象者の情報を提供しております。
対象者につきましては、先ほども申し上げましたとおり、当該年度に18歳になる市民で、人数としましては、令和元年度281人、令和2年度267人、令和3年度262人、令和4年度271人、令和5年度244人となっております。
なお、令和3年度については19歳から23歳になる対象者情報の追加申請がありましたので、18歳に加えて、19歳から23歳の対象者995人分を提供しております。
以上でございます。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 今言われました対象者のうち、情報提供したのはその全てでしょうか、それともさらに男性のみとか、条件を絞ったものでしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 総務課長。
○総務課長(宇都宮久昭君) お答えします。
提供依頼対象者の全ての市民の住民基本台帳の4情報を提供しております。
以上です。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 それは紙媒体だけでしょうか。全国には様々データを出すところもあると聞いておりますが、いかがですか。
○議長(樋󠄀田 都君) 総務課長。
○総務課長(宇都宮久昭君) 紙媒体で提供しております。
以上です。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 実際には自衛隊のどの部署にどのような形で提供していますでしょうか。
また、先方でどのように活用しているか、確認していますでしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 総務課長。
○総務課長(宇都宮久昭君) お答えします。
自衛隊愛媛地方協力本部からの申請を受け、自衛隊愛媛地方協力本部大洲地域事務所の職員の方に来庁していただき、対象者情報の紙媒体を手渡ししており、隊員募集のダイレクトメールで活用されていることを確認しております。
以上でございます。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 申請の時期、そして手渡しの時期は大体いつ頃でしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 総務課長。
○総務課長(宇都宮久昭君) 毎年、年度初めの4月末に申請がありまして、連休明けの5月の上旬に手渡ししております。
以上でございます。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 個人情報の扱い、目的外使用の禁止や使用後の取扱いなどについて取決めをされてますでしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 総務課長。
○総務課長(宇都宮久昭君) お答えします。
提供する個人情報については、自衛隊において適切に保管し、募集事務以外の用途では使用しないこと、ほかに再提供しないこと、複写をしないことなど、遵守事項を定めているほか、法令を遵守し、個人情報の適正な管理がなされる旨を確認しています。
また、提供しました紙媒体については、利用期間終了後に市に返却され、市でシュレッダー処分をしております。
以上でございます。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 ありがとうございます。
前回の質問では、この詳細についてお聞きしていませんでしたので、確認のため今回改めてお聞きいたしました。
次に、自衛隊への情報提供の法的根拠について伺います。
日本国憲法13条には、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とあります。この13条は様々な守られるべき人権の根拠となっている条文です。
条文の冒頭の「個人として尊重される」とは、日本国憲法の三大原則、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義、この根底に置かれている理念とされています。
また、この三大原則の1つ、基本的人権の尊重の根拠ともなっている条文とのことです。
この13条の幸福追求の権利から導き出される権利には、肖像権や環境権とともにプライバシー権も含まれるとされています。
このプライバシー権とは、憲法や法律で明確に書かれているわけではありませんが、判例によれば、個人の尊重及び幸福追求権を主な根拠として、民法上は人格権の一内容としてプライバシー権が保護されています。
そして、このプライバシーとは、一般的には個人や家庭内の私ごと、個人の秘密などの意味で使われていますが、ほかにも最近では、自己の情報をコントロールできる権利という意味も含めて用いられていることが多いとのことです。
また、2003年に成立した個人情報保護法における個人情報とは、特定の個人であると分かるもの及び、ほかの情報とひもづけることにより容易に特定の個人と分かるものを言いますが、この個人情報保護法によってもプライバシーは保護の対象とされます。
個人情報保護法は、自己情報コントロール権を認めた法律とする見解もあります。
よって、市民の個人情報を本人が知らないところで本人の同意も得ず外部に提供することは、憲法13条を根拠とするプライバシー権を侵害し、また個人情報保護法の自己情報コントロール権を制限することに当たります。
そこで、改めて伺います。
自衛隊員募集における個人情報の提供について、その法的根拠と理由は何ですか。
また、個人情報保護審議会には諮っていますか。お答えください。
○議長(樋󠄀田 都君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) お答えします。
自衛官等募集事務は、市町村の法定受託事務と定められており、自衛隊法第97条第1項で、「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行う」と規定されるとともに、自衛隊法施行令第120条で、「防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる」と規定されております。
また、防衛省及び総務省通知でも、「自衛官等の募集に関し必要な資料として、住民基本台帳の一部の写しを用いることについて、住民基本台帳法上、特段の問題を生ずるものではない」との見解が示され、募集対象者情報の紙媒体での提供について同法上問題がないことが明確化されております。
さらに、国の個人情報保護法との関係におきましても、個人情報保護法では個人情報の提供を制限していますが、同法第69条第1項に、法令に基づく場合は提供することができる旨を規定しており、本件につきましては法令に基づき提供するものであり、適正な事務執行と認識しておりますので、個人情報保護審議会への諮問は行っておりません。
以上でございます。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 市としての見解は、法令等にのっとっているので適正な対応であったというお考えを今お聞きしました。
先ほども述べましたが、住基4情報は憲法13条で保障されたプライバシー権によって保護されております。ということで、これを制限するというときには、やはり根拠となる法律で明確にその趣旨や内容が読み取れることが必要であると思います。そうでなければ、国の行政機関が法律で明確に定めていないことを何でも命令で指示できるということになりかねないからです。
市が法的根拠とされている自衛隊法97条1項そして同法施行令120条を見ても、プライバシー権を制限する内容にもかかわらず、その視点や言及は全くありません。
また、自衛隊法97条「事務の一部」とは何を指すのか、施行令120条の「必要な報告又は資料の提出」とはどこまでを指すのか、具体的なことは何も書かれていません。
私から見ると、わざと今後を見据えて含みを持たせているのではないかとさえ疑ってしまいます。
人権を制限する内容にもかかわらず、その根拠法に全てを明記せず、適用範囲が国の命令で決められることが許されるならば、万一有事の際にこれがどこまでエスカレートするか分からないではありませんか。そのような危険をはらんだ事案であるということを、市に対してはしっかりと認識していただき、市民の個人情報を扱うということに対して慎重に判断されることを強く求めたいと思います。
全国を見ますと、全国の1,747の市町村のうち、自衛隊へ名簿またはシールなどで提供したという自治体は1,068自治体、全体の61%にすぎません。まだ4割の自治体が以前のまま閲覧のみという対応で、松山市においても、あの大きな人口の松山市でも以前のままであります。
提供しなくても何ら罰則もありませんし、私としては、住基法にもこのようなことは明記されていないということで、もし市として提供されるというのであれば、憲法で保障された市民のプライバシー権を守り、自己情報をコントロールする権利を保障するために、せめて自衛隊に情報提供をする前に、市としての考え方と個人情報の厳正な扱い方などをホームページ上に公表し、また十分な期間を置いて全てのお子さんに周知し、希望しない方は除外申請によって外すことを保証すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 市長。
○市長(大城一郎君) 募集対象者の情報提供については、法令等の根拠に基づく提供であり、適正な事務であることは先ほど申し上げたとおりでありますが、自衛隊に自己の個人情報の提供を望まない方への配慮としまして、令和6年度から本人、親権者などが事前に申請していただくことにより名簿から外す方式、いわゆる除外申請を導入したいと思います。
つきましては、募集対象者情報の提供に関する情報と併せて市のホームページに掲載したいと考えております。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 前向きな一歩だと思います。
ホームページに載せ、希望されない方は除外できる。これは誰もが知らなければ何もなりませんので、周知方法、十分な周知時間も取って、そして子供たちが自分の意思が表明できるように、4月に自衛官の方が申請し、5月に手渡すということなので、その前に周知が必要だと思いますので、早急に具体的な対策を取っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) 除外申請については、今市長から答弁ありましたように、令和6年度から導入するということでございます。
それで、当然そこに向けてこれから市としてもホームページ等で周知を図っていく。当然、一定の時間を置いて周知期間を設けていくという考えでやってまいりまして、直前での周知で期間がなくてそういうことの申請ができなかったというようなことのないように努めてまいりたいと思っております。
以上です。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 そのようにお願いいたします。
今後もしですが、戦争の足音が近づいてきて自衛隊員の応募がますます減ってしまったということがないとは言えないと思います。国からさらなる市民の情報をと、資料として求められるその可能性は、私は今の状況を見ているとあり得ると考えます。
市長も以前思いをおっしゃっていましたが、大きな災害が起これば、自衛隊員の方々にお世話になることもありますし、いざ戦争が起これば、攻め込まれたときには市民の命と財産を守る、そういう役割を担っています。
しかし、今の自衛隊はできた当初よりはるかに任務の範囲が広がっています。2015年の安倍政権のときに、集団的自衛権を閣議決定し安保法、戦争法を強行採決しました。アメリカが戦争を始めたときには、同盟国として日本もアメリカを助けるために参戦することを可能にする法律です。
また、岸田政権は、敵基地攻撃能力、反撃能力とも呼んでいますが、これが持てると閣議決定し、安保関連3文書を改訂しました。これは、相手が攻撃していなくても、攻撃に着手していると判断したら攻撃できるというものです。
しかし、何をもって着手とするのか、具体的な基準はありません。相手から見たらそれは先制攻撃と判断され、逆に開戦の火蓋となりかねません。
このように、自衛隊は憲法9条の規定を変えることなく着々とその解釈、行動範囲を広げています。アメリカのミサイル防空戦略に組み込まれてしまっているのです。そして、そのアメリカの作戦書には、先制攻撃も辞さないとも明記されています。
国による軍事優先度合いは戦後最高の高い状態にあるとも言えると思います。
このように、自衛隊の性格がどんどん変わってしまおうとしている今、応募する子供さんも、送り出す親御さんも相当の覚悟を持って臨まなければ耐えられない状態ではないかと思います。
また、戦前・戦中は市町村の兵事係という係が徴兵制の下に軍に協力して、二十歳になる男性を抽出し、身上明細書を作成し、軍に提供していました。赤紙の配達も当時兵事係の役割だったということです。
アメリカでは、18歳から25歳の米国市民及び永住権を持つ男性が選抜徴兵制への登録義務がありますが、自衛隊への適性者の名簿提出はこのように戦時体制づくりではないかと疑う向きもあります。
自衛隊法を根拠にした対応は、単なる職業紹介の事務とは異なります。命のやり取りをする可能性のある組織へとつなぐ糸口となるものだと思います。このような事務に市としてどう関わるのか、極めて慎重な判断と責任が求められると思います。だからこそ自分の個人情報をどう扱うのか、高校生といえども自己決定権が保障されるべきであると思います。
そのことを自覚して個人情報を慎重に取り扱っていただきたいと強く求めまして大綱1を終わります。
大綱2「集中豪雨による内水はん濫への対策について」です。
水害には内水氾濫と外水氾濫が存在します。外水氾濫とは、川があふれる洪水のことです。
一方、内水氾濫は、水路などの排水施設の能力を超えて雨が降ったときや雨水の排水先である川の水位が高くなったため雨水の排水ができず浸水する現象とのことです。
今年6月30日から7月1日の梅雨前線による大雨では、市内の多くの箇所で土砂崩れなどが起こりました。それに対する復旧工事については、緊急を要する経費に係る補正予算として専決処分され、8月の臨時議会での説明がありました。
そして、今回の大雨では、川からの氾濫はなかったと聞いておりますが、山からの水がうまく流れず水路があふれた事例、また水路の一部が破損した事例もありました。
私の住む千丈駅前では、山からの水が川へ向かう水路をうまく流れず、下り坂を濁流が流れ、約300メートルにわたって道路が川のようになりました。途中低くなった場所に水が押し寄せ、一時膝までの高さになるところもありました。下流に当たるあるエリアでは、何台もの車がタイヤの中ほどまで水につかりました。タイヤ上部やマフラーまで浸水すると損害が出るそうですが、今回は一歩手前で、上流で土のうを積んで水の流れを変えていただいたおかげで、実際には車の損害はなかったようです。その際の対応について本当に感謝しています。
平成30年7月の西日本豪雨災害でも、長時間の大雨により千丈駅前では同様の出水があり、坂道が川になりました。また、土砂災害や床下浸水の被害もありました。
内水氾濫は、水路の周囲や下流の家や車、生命、財産に損害を与えるおそれがあるため、ふだんからの点検や改修で水をうまく流すための対策が必要だと思います。
そこで、伺います。
内水氾濫のおそれがある区域の把握について、市内にどれくらい危険な箇所があるか把握していますか。
また、6月30日から7月1日の大雨で水害による床下浸水など実際の被害はありましたでしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 産業建設部長。
○産業建設部長(垣内千代紀君) まず、下水道課所管の区域で内水被害のおそれのある地区としましては、公共下水道合流区域であります旧八幡浜市中心部、産業通地区、保内町宮内川東地区及び現在浸水対策を実施しております保内町神越地区の4地区であります。
なお、4地区のうち3地区につきましては、雨水ポンプ場などの整備が完了しています。
また、建設課所管の区域で内水被害のおそれのある地区としましては、下水道雨水整備区域を除く保内町喜須来地区、川之石地区、宮内地区であり、中でも特に浸水被害のおそれのある11か所については個別に排水ポンプを設置しております。
なお、本年6月30日から7月1日にかけての大雨による床下・床上浸水被害報告はありませんでした。
以上です。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 今回の大雨で床下・床上浸水がなかったことは何よりだと思います。
各課がつかんでいる以外にも危険な水路やエリアがあるかもしれません。市内全体の水路を見直し、市民からも上げていただいて点検することが必要だと思います。
現在、津波や洪水、土砂災害のおそれがあるエリアのハザードマップはあると思いますが、内水氾濫のハザードマップも必要ではないでしょうか。今後つくる予定はありますでしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 下水道課長。
○下水道課長(菊池利夫君) お答えをいたします。
内水ハザードマップにつきましては、令和3年度の水防法改正により、浸水想定区域の指定対象が地下街を有する団体から下水道による浸水対策を実施する団体へ拡大されたことにより、当市におきましても、まずは令和7年度末までに雨水出水浸水想定区域図を作成し、それを基に内水ハザードマップを作成する予定であります。
以上です。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 令和7年度を基に図をつくり、それを基に市民向けのハザードマップをつくるということで、排水施設などの危険箇所を市民に知らせるということで水防への備え、避難行動にもつながりますので、非常に大切だと思います。大変だと思いますが、よろしくお願いいたします。
次に、水路を改修するための予算についてお伺いします。
大雨で破損した水路について、市民から対策の工事を求められた場合、対応できる市の予算はどうなっていますでしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 産業建設部長。
○産業建設部長(垣内千代紀君) 水路の破損などにつきましては、現地の状況を確認の上、公の水路であれば市で修繕工事などを実施しています。
なお、水路の場所によっては、建設課以外の課が所管している場合もあります。例えば、下水道雨水整備区域内の水路であれば下水道課、農地内の水路であれば農林課、漁港・港湾区域であれば水産港湾課が所管しており、担当課ごとに修繕等の予算を確保し、それぞれ迅速な対応ができるよう努めております。
市民の方にとりましては所管課が分かりにくい場合もあろうかと思いますが、どの課へ御連絡いただいても市役所内で連絡調整の上、対応するなど、なるべく市民の方の二度手間にならないよう心がけているところです。
以上です。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 今おっしゃった各課の予算があるということですが、市が管理している以外の水路についても、もし非常に壊れたというようなことがあり対応を求められた場合は、これについてはどのように対応されますか。
○議長(樋󠄀田 都君) 産業建設部長。
○産業建設部長(垣内千代紀君) 現時点では、それぞれ市以外の水路については個人の財産ということになろうかと思いますので、市のほうで修繕したりというような対応はできません。
以上です。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 ただ、非常に多くの、そこの水路が壊れることによって集落に影響が出るとか危険性が高いとか、そういうときにはやはり対応が必要ではないでしょうか。民間だけではできないような改修もあり得るんじゃないでしょうか。そのときはどう対応されるんですか。
○議長(樋󠄀田 都君) 産業建設部長。
○産業建設部長(垣内千代紀君) まずは、そういった危険があるところは情報をお寄せいただいた上で、先ほど言いましたように、個人の財産についてなかなか市が手を加えるというところは難しいですけど、公共性、そういったところを踏まえて、できる範囲での対応あるいはその方といろいろ協議して被害が大きく及ばないような形で検討をさせていただいたらなと思います。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 そういう場合もあると思いますので、ぜひ市民の方の相談に乗っていただきたいと思います。
次に、繰り返し溢水、水があふれることを起こしている水路やエリアについては、次の大雨や台風が来る前に早急な対策、水路改修などが必要だと思いますが、今後どのように対応するお考えでしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 産業建設部長。
○産業建設部長(垣内千代紀君) 大雨により水路が溢水する原因として、水路内に土砂などが堆積し、閉塞等による流下能力の低下により水路本来の機能が生かされない場合や、降雨量に対し水路の断面が小さく、排水能力が不足している場合が考えられます。
土砂などが堆積している箇所につきましては、清掃などにより流下能力を確保し、水路本来の機能が維持できるよう努めてまいります。
一方、根本的に水路断面などの不足により排水能力が確保されない場合におきましては、大規模な改良が必要となるため、対策計画など関係各課と調整・連携し、時間はかかりますが、抜本的な対策を図っていくこととなります。
以上です。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 国交省のホームページなどを見ますと、国もこの気候変動でこれまでの想定を超える水害が全国で起こっていることを受け、改めて水防法を改正し、内水氾濫を雨水出水と定義づけて、水害に改めて位置づけているようです。国、県などのそのような補助金なども活用しながら早めの対策をしていただきますようにお願いいたします。
次に、実際に水害が起こり、市民が住居等への浸水を緊急に防ぎたい場合、緊急に土のうを持ってきてほしいとの連絡はどこへすればいいのでしょうか。人によっては足腰が悪い方や力のない方、車のない方もいると思います。そういった方には頼めば持ってきて積んでいただくことまでできるのでしょうか、お答えください。
○議長(樋󠄀田 都君) 総務課長。
○総務課長(宇都宮久昭君) お答えします。
土のうに関する問合せは総務課危機管理・原子力対策室まで連絡をしていただければと思います。
実際の対応としましては、台風等の災害に備えるため、市民の方が御自身で土のうを積まれる、搬送される場合は、最寄りの土のう保管場所をお知らせしています。
御高齢などの問題により搬送または土のうを積むことができない場合においては、総務課危機管理・原子力対策室から管轄する地元の消防団や地元の自主防災会へ連絡を取り、土のうを搬送し、土のうを積んでもらうようにしております。
なお、市内の土のう保管場所は、旧青石中学校、栗野浦の浄化センターや産業通の矢野橋雨水ポンプ場など7か所に計5,700個を保管しています。
また、実災害に備え、地元の消防団詰所に保管している場合もありますので、まずは御相談していただけたらと思います。
以上でございます。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 早急な対応が必要な場合は危機管理室もしくは御自身で持てる場合は7か所の土のうを保管しているところへ取りに行っていただくということを今おっしゃいました。
6月のNHKクローズアップ現代で内水氾濫の特集がありました。令和2年7月3日から4日にかけて激しい雨が降り、熊本県の球磨川が氾濫し、50人の方が犠牲になられています。そのうちの20人は内水氾濫が避難を阻んだことで犠牲になったと聞いています。球磨川が氾濫する2時間前に避難の呼びかけなどがありましたが、既に内水氾濫が起こっていて、町にあふれた水が川のように流れる場所があり、20代の男性でも流されそうになるほどで、住民の避難を阻み、避難できなかった方が犠牲になられたということです。
日本はこれまで河川の治水対策が重視され、堤防の整備など優先的に行われてきましたが、雨の降り方次第ではどこでも内水氾濫は起こり得るということで、2025年末までに全国の自治体で内水氾濫ハザードマップが作成されるということです。
また、内水対策には、コンクリートやアスファルトに覆われた町をグリーンインフラとも言うべき砂利や草木が生えたところをあえて増やしたり、水を地面にしみ込ませる整備も一つの方法として捉えられているということです。
水路の整備と併せてこういったグリーンインフラも組み合わせながら、住民の生命、財産を守るために、今後ほかの様々な災害対策の中で水害対策もしっかりと位置づけて、予算も確保しながら早急な対応を行っていただきたいと強く求めまして大綱2を終わります。
次に、大綱3「魚のまち八幡浜市の復活をめざして」であります。
この9月議会初日、本会議後の全員協議会の場で八幡浜漁協の方々が来られ、「八幡浜漁業協同組合財務改善計画の完了及び実績報告について」を報告されました。
平成24年度に、国(全漁連)の会計検査で多額の損失が指摘され、当時6億円以上の繰越欠損金があったとのことです。
その後、全漁連などの指導の下、平成25年度に財務改善計画が策定され、八幡浜漁協財務改善委員会を設置し、関係団体などの点検・指導を仰ぎながら職員や役員数の削減、役員報酬の削減といった改善を行い、関係自治体、国、県、関係団体などの財政支援を受けながら、この10年間財務改善に努めてきた。その結果、令和5年9月4日付で全漁連による要改善JFの指定が解除されたとの報告でした。
しかし、その全協に参加した議員から、これで安心するのではなくて、これからが大切だ。今後どう八幡浜の漁業の復活をさせていくのか。漁獲量の減少の原因をどう考えているのかなどの指摘がありました。
漁協の方からは、燃料代、餌代の高騰が漁業者を苦しめている。高齢化や後継者不足、魚価の低迷、組合員数の減少や、コロナ禍で価格は上がったが水揚げ量が減った。大島にアワビの稚魚を放流したが、海の温暖化のためか、餌となる海藻が少ないためか、あまり成長していないなどの声がありました。
私もここからの魚のまち八幡浜の復活が見たいと思います。もちろんすぐというわけにはいかないかもしれません。というのも、今回の財務改善は、人件費の削減や出張所の廃止など、かなり無理をした結果の財務改善だったのではないかと思います。本当の財務改善はこれからにかかっているのだと思います。5年後、10年後、15年後に向けて、今何をしなければならないのか、皆さんと一緒に考えていきたい。そのような思いで今回の質問をいたします。
2021年9月の私の一般質問において、漁獲量減少への対策について質問しています。そのときから2年がたっていますが、そのときと比べ漁獲量、水揚げ額、漁業従事者の数はどうなっていますでしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 水産港湾課長。
○水産港湾課長(山中貞則君) お答えいたします。
八幡浜市水産物地方卸売市場における取扱量は、昭和55年度の約4万8,000トンをピークに減少傾向が続き、令和4年度は約5,800トンと、昭和51年度の統計開始以降最も少ない取扱量となりました。
取扱金額につきましては、昭和60年度の約147億円をピークに、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響による魚価の低迷と漁獲量の減少が相まって、統計開始以降最低となる約26億円を記録しました。令和3年度以降は魚価も回復に転じ、令和4年度の取扱金額は約32億円となっています。なお、魚価一キログラム当たりの平均単価は、平成26年度以降500円台前半の横ばい状態でしたが、令和2年度と3年度は新型コロナウイルス感染症で需要が落ち込み、令和2年度で438円、3年度は439円でした。令和4年度につきましては、コロナ前の水準以上に回復し、統計開始以降最高値の557円となっています。
ちなみに、当市の魚市場で水揚げが多い魚種は、水揚げ量でイカ、ハマチ・ブリ、エソ。水揚げの金額でイカ、タイ、サワラの順となっています。
また、当市における漁業従事者数は、5年ごとの統計による総務省の漁業センサスによりますと、昭和58年には808人、直近の統計データである平成30年には191人と、35年で約8割減少しております。
以上でございます。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 2年前と5年ごとの調査ですので、人数的には漁業従事者の数は191人と同じではありますが、漁協の資料によりますと組合員も年々減少をたどっているということなので、恐らく減っているのではないかという予想もできると思います。
そして、私は今回の質問に当たり、市内の漁師さんに直接話を聞こうと探しましたが、結局出会いませんでした。元漁師さんから、市内には養殖やトロール漁船の漁業従事者、また一本釣り、はえ縄の方はいますが、小型底引き網の漁師はもう1人しか残っていないのではないかと言われました。
その理由は、採算が取れない。食っていけないから子供には継がせられないとおっしゃっていました。
八幡浜漁協の経営も苦しいけれども、八幡浜市の小型底引き網の漁師がもう1人しかいないとお聞きしまして、予想以上の厳しさだと感じました。
次に、漁業は漁をする場所によって沿岸漁業、沖合漁業、遠洋漁業、養殖業に分かれるとのことです。ただ、八幡浜市ではマグロなどを捕る遠洋漁業はないそうです。
当市の魚市場で扱っているそれぞれの漁ごとの漁獲量、水揚げ高はどうなっていますでしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 水産港湾課長。
○水産港湾課長(山中貞則君) お答えします。
魚市場に水揚げされる魚介類を漁業種類別に見ますと、令和4年度の統計で最も多かったのは底引き網漁業で2,314トン、全体の40.2%を占めており、その内訳として、九州、高知沖を漁場とする沖合底引き網漁業が614トン、全体の10.7%、小型底引き網漁業は1,699トンで29.5%となっています。
次いで多いのがまき網漁業の850トン、全体の14.7%となっています。
取扱いの金額で見ましても順位は同じで、底引き網漁業が9億7,000万円、全体の30.3%を占めており、その内訳として、沖合底引き網漁業が3億9,000万円、全体の12.2%、小型底引き網漁業が5億8,000万円で18.1%となっています。
次いで、まき網漁業の2億8,000万円、これは全体の8.9%となっています。
これらが当市の魚市場での主要な漁船漁業種類ということになります。
なお、養殖漁業の出荷は176トン、取扱金額で2億円となっております。
以上でございます。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 お答えいただいたのですが、なかなかこれで、当市の漁や漁師の傾向はどうなっているのかなと思ったんですが、これで見えてくるのはなかなか難しいのかなと思いました。
前提として、当市の魚市場には八幡浜市だけでなく三瓶や伊方、宇和島などからも持ち込まれているとお聞きしました。漁獲量や八幡浜漁協の立て直しには、当市だけではなくて、もっと広い範囲で多くの人たちの知恵も参考にしながら議論していかなければ解決できないのではないかなと思いました。
漁協からいただいた資料を見ますと、買取販売額が、コロナ期の2020年3月末から3年間は下がっていましたが、2023年3月末はコロナ前程度まで戻ってきています。
加工事業も、加工販売高が2015年3月末の約150万円から始まり、少しずつですが年々伸びて、2023年3月末は約2,500万円になっています。シーフードセンターが2014年9月開始ですから、この結果ではないかと思いました。
一方で、共済事業や石油類、資材類の供給事業は、組合員の減少もあり低下傾向です。固定化債権の回収など課題もあると思いますし、今後も各自治体からの補助金が必要になるのではと思います。
そこで、お伺いします。
漁協の10年間の財務改善計画の完了及び実績報告書について、改善が見られるものとまだ課題が大きいと思われるものなど、全体としてどう分析していますでしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 副市長。
○副市長(菊池司郎君) 議員のお話にもありましたように、先日の市議会協議会におきまして、八幡浜漁業協同組合から財務改善計画の完了と実績について御報告をいただきました。
平成25年度から令和4年度までの10年間、福島組合長を先頭に、職員、組合員が一丸となって財務改善に取り組まれ、その努力が結実し、9月4日付で全国漁業協同組合連合会による要改善漁協の指定が解除されたとのことで、まずは市としましても安堵しているところであります。
その実績を見て、改善されたものと今後の課題についてどのように分析しているのかとの御質問ですが、まず改善されたものとしましては、平成27年度以降の単年度収支の黒字化、令和4年度決算での繰越欠損金の解消、固定化債権の減少などで、これらは主に職員や経費の削減など、支出を減らすことで実現できたものです。
一方、今後の課題は、八幡浜漁協からの報告にありましたように、固定化債権の解消など、これまでの健全化の取組を継続しながら、さらに収入を増やす取組が求められるものと考えております。
このためには、水揚げ量を増やす必要があり、組合員つまり漁業従事者の維持と確保が課題だと言えます。
そして、もう一つ、魚の販売単価を引き上げることも収入の増加につながることから、魚の品質の維持・向上はもちろん、加工品の開発など付加価値化もこれからの課題だと思います。
これらはいずれも難問ですが、水産業は生産、流通、かまぼこ・じゃこ天などの水産加工業、小売まで裾野の広い産業であることも踏まえ、市としましても水産業の牽引役である八幡浜漁協とともに課題解決に努めていきたいと考えております。
以上です。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 今様々述べていただきまして、そのとおりだなと思っております。
それで、漁業協同組合とは基本的には組合員の出資金を基に信用事業や共済事業、販売事業、指導事業などを行って運営していると思います。そのため、組合員のすなわち漁業従事者のこれ以上の減少を防ぐことが何よりも大切ではないでしょうか。
これまで様々な対策をされてきたと思いますが、組合員が一番困っている担い手確保のための施策や高騰する燃料代・餌代等の補助が必要ではないでしょうか。これまで行ってきた支援と併せてお答えください。
○議長(樋󠄀田 都君) 市長。
○市長(大城一郎君) 議員御指摘のとおり、漁業従事者の減少、燃油・飼料をはじめとする生産資材の高騰など、漁業を取り巻く環境には厳しいものがあります。
このような中、市では様々な支援策を講じておりますので、御紹介をさせていただきます。
まず、担い手の確保と育成を図ることを目的とした「八幡浜市漁業新規就業者支援事業補助金」制度です。これは、親族の経営基盤を引き継ぐ漁業後継者に対しては月5万円、経営基盤を引き継がない新規の事業者に対しては月額10万円の技術研修費・生活費を3年間補助するものです。実績としましては、令和4年度に漁業後継者1名、新規就業者1名の2名に補助金を交付しております。
次に、令和2年度からコロナ禍における漁業者支援として実施しておりました「八幡浜市漁業者支援事業費補助金」制度を、引き続き燃油・飼料などの物価高騰対策として継続実施しております。具体的には、漁業者が魚市場へ魚を出荷する際、卸売業者に支払う6%の販売手数料の5割を市が補助するものです。
また、養殖漁業においては、赤潮等の自然災害から経営を守るための養殖共済(全国漁業共済組合連合会)への加入を促進することを目的とした「魚類養殖共済支援事業費補助金」制度があり、共済掛金の一部を市が助成しております。
そのほか、国・県の事業でありますが、「漁業経営セーフティーネット構築事業」という制度もあります。これは、漁業者と国が資金を積み立て、燃油・飼料が高騰した際に補填金が支払われる制度であり、特に高騰の著しい現在は県も積立金の一部を負担しています。
以上が、漁業従事者の減少、燃油・飼料をはじめとする生産資材の高騰に対する支援施策ですが、つい最近では、中国への水産物の輸出が停止されるなど、新たな懸念も出てきました。市では、これまで同様、国などの動向を注視するとともに、現場の声を聞きながら必要に応じてさらなる支援策を講じてまいりたいと考えています。
また、繰り返しになりますが、これからも魚のまち八幡浜であり続けるには、水産業を支える漁業従事者の維持と確保が喫緊の課題であります。そのためには、漁業がなりわいとして将来に希望が持てるものでなくてはなりません。
市としましては、八幡浜漁協をはじめ関係者と連携して漁業者の所得の向上、そして担い手の確保・育成に努めてまいりたいと思います。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 今様々な施策についてお示しいただきました。
そして、さらに漁業者の確保、そして希望が持てる漁業になるよう、所得向上、担い手不足の解消に努めるというお言葉をいただきました。
そこで、今回言われたもの、コロナ期の一時的なものでなくて、これからずっと継続的に支援することもぜひ検討すべきだと思いますし、また市の行っている施策の中に「漁船導入支援事業」というのがありまして、これは国の補助金を使って建造された漁船を借受けする場合、市内の沖合底引き漁業事業者を対象に、リース費用の半分を国と市で補助する制度でありますが、こういったものを小型漁船についてもできないものでしょうか。継続支援と小型漁船への支援、これについてはいかがでしょうか。
○議長(樋󠄀田 都君) 産業建設部長。
○産業建設部長(垣内千代紀君) トロール船以外の船にもそういったような導入費の補助ができないかということですが、実は水産業全体の支援をもっとトータル的にちょっと検討しておりまして、今、他の自治体の事例なんかも参考にそういった制度を組み立てている最中であります。もう少しいろいろ検討は必要かとは思うんですけど、ぜひ水産業の振興につながるような形で制度化してみたいなと思っているところです。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 ぜひ実際の漁業者が本当に喜べる、そのような支援策をお願いしたいと思います。
やはり、漁業で成功している、そういう例があって、こうやれば生活していけるんだなと、採算が取れる事業だと、やはり確信が持てなければ、新規就業者支援の制度があっても、この3年の期限で切れれば自分でやっていかなければいけないのでありますので、なかなかちゅうちょする面もあるのではないでしょうか。
また、漁獲量に関してですが、2022年度の漁業・養殖業の生産統計、これを見ますと、全国の漁業と養殖の合計数が、1956年に調査を開始して以来初めて全国で400万トンを下回り、過去最低を2022年度に更新したということです。
しかし、これを世界全体に広げますと、世界全体の水揚げ量は、天然と養殖を合わせると実は毎年右肩上がりに増加しているのです。世界では1988年に1億トンに達した水揚げ量は、2017年には約2億トンと倍増しています。
しかし、日本では、この同時期の比較では、90年頃の1,200万トンから2017年の400万トンと、逆に3分の1に激減しています。毎年生産量が減り続けている日本は、世界では極めて異例とのことです。
そこで、いろいろ探してみましたところ、最近、片野 歩さんという方の記事を見ました。日本の漁業・養殖業が過去最低記録を更新した理由という記事です。
これによりますと、魚が減った原因として、様々、海水温の変化や潮の流れの変化、外国の漁獲量の影響など言われていますけれども、この方が言うには、根本的には日本として捕り過ぎや水産資源の管理の在り方に問題があるのではないかと指摘しています。
また、日本の資源評価が、実際の漁獲量や資源量が減ってきているのに、逆に過大に評価されている。そのため、サンマでもサバでも漁獲可能量まで捕り切れない。そのために漁業者による過剰漁獲が止まらず、過大評価の枠の設定によって捕り過ぎてしまって、資源も漁獲量もかえって減り、価格が高騰し、小さい魚まで根こそぎ捕って、かえって資源が崩壊してしまう。こういう悪循環になっているのではないかと論じています。
これをどう思うのか、非常に難しい問題もあるかと思います。
八幡浜漁港では、禁漁時期は設けているそうで、小型底引き網は5月と8月15日から31日、まき網は満月の時期が禁漁とされていると聞きました。
ただ、漁獲量についての取決めが今されているのでしょうか。されていないのであれば、この漁獲量をどうするか、みんなで話し合い、捕り過ぎを防ぐための何らかの取決めが必要ではないか、これも課題ではないかと思いました。
そして、新潟県佐渡市の赤泊というところでは、2011年にホッコクアカエビの籠漁について、量が減ってしまったことでどうするかということで、日本で初めて個別漁獲割当制度というものを本格導入したそうですが、漁獲量自体は増やしていないのにエビのサイズが大きくなり、結果的にキロ当たりの単価が上がりもうかっている、そういう例もあるそうです。
漁師がいなくなったから漁獲量が減ったのか、または魚が減り、高い燃料代に見合った魚が捕れなくて採算が取れないので漁師が減ってしまったのか、様々難しい問題があります。
私としては、先ほど言われたような、八幡浜の漁業関係者のなりわいを支える、そういった市としての努力を行いながら、もう一つ漁獲量減少の原因調査・対策をやっぱりしていくべきではないかと思います。
例えば、専門家の方を招いてパネルディスカッションをしてもらうとか、外部の専門家の意見を漁業関係者、理事者、議員含めてみんなで聞かせてもらって考える、こんなところから始めてみるのはどうでしょうか。私の提案いかがでしょうか。この件についてどうでしょうか、お答えください。
○議長(樋󠄀田 都君) 産業建設部長。
○産業建設部長(垣内千代紀君) 議員の言われるように、そういう調査・研究というのは非常に大切なことだとは思っております。
ただ、市におきましては、なかなか高度な知見・分析力というのを持っておりませんので、国や県とか大学の研究機関などに任せるほうがいいのかなと考えているところであります。
ただ、市としましては、そういった研究機関のほうで出された成果であるとか数値というのは生かす必要があると思っておりますので、この点につきましては、県であるとか専門家のアドバイスを聞きながら、しっかり必要なことがあれば対応していきたいなと思っております。
以上です。
○議長(樋󠄀田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 高度な考えだからこそ専門家を呼んでみんなで聞いて議論が必要ではないかなということなんです。ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
漁業関係者のなりわいを支え、そして漁獲量の減少対策を探っていく、この2つを同時に進めていくことが、私は必要ではないかと思います。
それによってこの魚のまち八幡浜市の復活が近づいてくるのではないかと思いますので、前向きにお願いいたします。
以上をもって私の質問を終わります。ありがとうございました。