一般質問(一問一答)R6.3 田中繁則議員

公開日 2024年06月11日

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○田中繁則君  今ほどの井上議員の大綱1の質問に続き、通告書に従いまして、大綱1「デジタル地域通貨の導入について」、一歩踏み込んで質問いたします。
 近年、地域活性化の施策としてデジタル地域通貨が注目されており、全国の自治体で導入が進んでいます。
 デジタル地域通貨は、特定の地域内だけで利用できる電子通貨で、スマートフォンのアプリやポイントカードによってキャッシュレス決済を行う仕組みであります。
 過疎化が進む地方都市においては、インターネットの普及や地域産業の衰退によって地域にお金が落ちにくい状況にありますが、デジタル地域通貨は地域内の資金の循環を活性化し、ほかにも地産地消を強化するツールにもなり得ます。
 本市のデジタル化施策の基本方針であるDX推進計画全体方針でうたわれている「住民の多様な幸せを実現可能とする社会」の達成に向けて、デジタル地域通貨を導入することについてお伺いしてまいります。
 最初の質問であります。
 デジタル地域通貨の意義や導入した自治体の活用例など、行政の視点からどのように評価されているのか、見解をお伺いします。
○議長(樋田 都君)  商工観光課長。
○商工観光課長(萩森久人君)  お答えいたします。
 デジタル地域通貨を含むデジタルによる新しい生活様式に対応したキャッシュレス決済は、決済のみならず、ポイントの活用やアプリを通じた情報配信なども可能であることから高く評価できます。
 他市においては、地域の経済活性化はもとより、市民の交流促進や健康増進などにデジタルを役立てている事例もあるようでございます。
 当市においても研究しているところでございます。
○議長(樋田 都君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  ただいま当市においてもということもありましたが、地域活性化の有効なツールとして高く評価されていることを理解いたしました。
 デジタル地域通貨は、キャッシュレス決済が基本的な機能でありますが、さらにプレミアム商品券の発行や様々な市民活動に対するポイント付与、市政等の広報機能を持たせることも可能であり、市の事業や啓発活動と連携させた幅広い活用が期待できます。
 単なる支払い手段ではなく、行政と市民、そして事業者をつなぐ総合的なコミュニケーションツールにまで進化しているのが実態であります。
 次の質問です。
 本市では、デジタル地域通貨の導入を検討されたことがあるのかどうか、またその導入が市民生活や地域経済に与える影響について見解をお伺いします。
○議長(樋田 都君)  商工観光課長。
○商工観光課長(萩森久人君)  お答えいたします。
 デジタルを活用したDXの推進は、行政の喫緊の課題であると認識しております。
 コロナ禍において商品券事業を行うにあたり、大手通信事業者によるQRコード決済の活用を担当課レベルで検討したところ、業務の簡素化であったり、事業者の負担軽減など、メリットがあるようでございました。
 ただし、市独自でデジタル地域通貨を発行する検討は行っておりません。
 議員御指摘のとおり、デジタルは市民生活の向上や地域経済の活性化に欠かせない存在であり、地方においても都市部と同様に、デジタルによる決済手段の導入は検討すべき課題であると思います。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  導入には至ってない、検討されてないということですが、市民生活や地域経済においては、よい影響があるというふうな見解でありました。
 それでは、本市の現状やただいまの答弁を踏まえ、デジタル地域通貨の導入を求める理由を述べてまいります。
 デジタル化される前の紙幣の地域通貨がありましたが、1990年代後半からまちおこしが本格化していく中でブームになりました。
 しかし、管理・運用に費用、手間がかかるという持続性に大きな問題があり、2005年以降は減少に転じ、有名無実化しつつあります。
 その後、スマートフォンの普及により、大手モバイル事業者や流通業者、金融機関などが代金決済手段として利用できるモバイル型デジタル通貨の運用を開始し、今では全国隅々まで普及しています。
 このような流れを受け、地方都市においては、DX推進と相まって、地域を限定して利用できるデジタル地域通貨の幅広い機能に着目し、地域活性化の切り札として導入に踏み切るところも増えてまいりました。
 今回、デジタル地域通貨導入を取り上げましたのは、本市市政の状況がその導入の絶妙なタイミングにあると私には思えるからであります。
 以下に申し上げる様々な課題に対し、これらを横断的かつ効率的に解決していくことが期待でき、地域経済の活性化や地域社会の持続性強化に大きく寄与する可能性を秘めていることを具体的に示してまいります。
 1、地域内で資金を循環させ、地域経済を活性させること。
 2、プレミアム商品券発行に関する経費を削減し、効率よく迅速に行うこと。
 3、健康ポイント事業を充実させ、市民の健康増進を図ること。
 4、ボランティアやエコ活動の推進によりコミュニティーを活性化させること。
 5、ふるさと納税返礼品の種類を増やし、納税額増額を図ること。
 6、産業のDX、市民のDXとして中核的な機能を持たせられること。
 以上以外にも上げられますが、商品券事業と同様に、地域内で資金を循環させることで消費活動が盛んになり、地域経済の活性化を図ることがその土台になっています。
 過去の人口減少対策、景気刺激対策において、市民にとっては目に見える形での現金や商品券の支給が最も印象的で、支援の実感を得られる方法でありました。
 本市は、令和2年から5年の4年間で7種の商品券が発行され、プレミアム率は他の自治体に例を見ないほど高く、500前後の加盟店で利用ができるという利用価値が大きいものでありました。
 ただ、他方で、事業実施に際しては、商品券が紙ベースのため、デザイン・印刷等の製作費、発送費等の付随費用、使用時の商品券持参や枚数確認、事業者の決済申請に係る事務処理など、国庫交付金の助成があるとはいえ多大な費用と労力を費やしています。
 令和4年度以降に行った商品券事業について、使用実績と発行に要した付随費用をお示しください。
○議長(樋田 都君)  商工観光課長。
○商工観光課長(萩森久人君)  お答えいたします。
 令和4年度以降に実施しました商品券事業につきましては、八幡浜市スーパープレミアム付商品券(第3弾)事業、八幡浜くらし応援マイナ商品券事業、やわたはま生活応援商品券事業の以上3件でございます。
 まず1点目、プレミアム付商品券事業でございますが、こちらの使用実績は99.7%であり、商品券事業に付随する主な事業費は、郵送料、商品券デザイン及び印刷業務委託料、商品券運営業務委託料でございます。この合計が1,786万9,423円となっております。
 次のマイナ商品券事業では、前期の使用実績が97.5%、後期も同様に使用実績が98.5%で、これに付随する主な事業費の合計は1,825万8,712円となっております。
 最後に、生活商品券事業につきましては、使用実績は97.0%で、付随する主な事業費の合計は2,066万8,943円となっております。
 商品券をはじめポスターやチラシの印刷は市内印刷会社、郵送につきましては郵便局、換金・振込業務は市内の金融機関、そして運営業務は八幡浜商工会議所、保内商工会に委託して実施するなど、市内商工団体との連携により、オール八幡浜で運営を実施したところでございます。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  商品券発行は大変意義のある大きな事業でした。交付金措置があるとはいえ、高額な付随費用は何とか削減できないかという思いがありました。
 オール八幡浜ということで、地域の業者にも経済活性化するという意味もあることが分かりました。
 ただ、後ほど事例を挙げますが、デジタル地域通貨の導入・運用に係るコストは決して小さいものではありません。
 しかし、一度システムを構築すれば、商品券発行をポイント付与で行うことにはほとんどコストをかけず、事業実施決定からポイント付与までを最小限の費用と時間で行うことが可能になります。
 商品券事業を実施する場合、デジタル地域通貨を活用することのメリットについて見解をお伺いします。
○議長(樋田 都君)  産業建設部長。
○産業建設部長(垣内千代紀君)  議員も御指摘のとおり、これまで実施しました紙の商品券事業では、準備から開始までおおよそ1か月半の準備期間を要し、多額の費用もかかっております。
 一方で、デジタル地域通貨の場合、商品券の購入や換金に手間がかからず、利用者・事業者ともに利便性が高まるなど、メリットもございますので、引き続き調査・研究をしていきたいと思っております。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  今、御答弁いただきましたが、デジタル地域通貨はスマホアプリでもカードでも使えます。ですから、全市民に対して利用が可能だと考えております。
 そのような汎用性があり、発行、使用、最終決済まで関係者の労力・時間・費用は大きく軽減されます。
 商品券事業は、市民の生活支援と同時に、市内事業者への経済的な恩恵は大変大きく、地域内でお金を循環させる有効な施策でありますが、デジタル地域通貨はこれをさらに強化・加速させる手段になり得ます。
 次に、市民の健康増進を図る取組についてであります。
 令和2年12月定例会一般質問において、議員から特定健診受診率の向上やポイント事業の充実を求める質問がありました。当時の健康ポイント利用者数は少なく、事業として成果があったとは言い難い面がありました。
 令和3年度からポイントプラス事業が始まり、令和4年度の事業利用者数は倍増してはいますが、健診受診率の向上にはつながっていません。受診環境の整備はもとより、市民が魅力を感じるポイント事業へと進展させることも考える必要があります。
 本年度の健康ポイント事業の内容、過去の利用状況についてお伺いします。
○議長(樋田 都君)  市民課長。
○市民課長(倭村祥孝君)  お答えします。
 本市では、健康的な生活習慣の動機づけ、また健康づくりを応援し、健康寿命を延ばすこと、併せて特定健診の受診率の向上を目的に、国民健康保険、後期高齢者医療保険の被保険者を対象に健康ポイント事業を実施しております。
 事業の内容としましては、特定健診や各種がん検診の受診、健康イベントへの参加や食生活の記録・管理等に取り組むことで健康ポイントを獲得し、獲得したポイントに応じて入浴施設の入浴券や市内提携店で使えるクーポン券と交換できるものです。
 過去の利用状況につきましては、令和2年度は104人、令和3年度は140人、令和4年度は209人となっており、年々利用者が増加している状況でございます。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  現事業の健康促進活動、また特典内容、利用者の増加について、その実態をよく理解できました。
 八幡浜市国民健康保険第2期データヘルス計画において、令和4年実績で特定健診受診率31.3%、5つのがん検診平均受診率8.8%、歯周病検診受診率7.6%と、受診率はかなり低く、特に前者2つの健(検)診にはポイント付与が受診率向上につながっていないように思います。
 その理由として私が思うには、事業の認知度が低いこと、申請書に記入して持参する労力に対し得られる特典(クーポン券・入浴券)が割に合わないと感じること、特典利用まで間が開くことにあると考えられます。
 担当部署では検討を重ねられていると察しますが、現行システムにおいての劇的な改善には限界があります。
 ポイント事業にデジタル地域通貨を活用すれば、スマホでQRコードを読み取るだけで申請・付与ができ、加盟店では現金同様に利用できるので、強力な動機づけになります。
 前述した議員の一般質問では、宇和島市の先進事例を紹介され、その導入について質問されたところ、「アプリ管理料、改修費用、ポイント交換、商品券等、総計1,130万円かかる。動機づけ、使いやすさ、費用対効果を考慮して調査研究したい」と市長は答弁されています。
 本市が調査研究している間にも、宇和島市は健康増進事業を大幅に進化させ、令和5年10月より、健康増進活動はもとより、市民の地域活動への参加・貢献もアプリ上にポイントとして付与し、地域の元気、幸せにつながるラックポイント事業を開始しています。
 これはチャージ機能はなく、健康診断、清掃、防災、ボランティアなどの市民の活動全般に対して市からポイントを付与することに特化した事業であります。登録者数3,431人、うちポイント付与者は2,736人、加盟店257、初期費用を含めた委託料予算額は年間約840万円、付与ポイント予算総額750万円が現在の概要であり、健康増進関連ポイントも順次こちらへ統合していく予定だそうです。
 市民自らが町をよくしようという大きな視点から、投資をためらわない市の姿勢には強く共感いたしております。
 さらに、この一般質問の9か月前、3月定例会でも議員から健康ポイント付与の質問があり、当時の担当部長は「インセンティブ事業は有効とも考えるが、費用対効果を慎重に検討する必要がある」と答弁されています。
 ここでも費用対効果がキーワードになっていますが、これには後ほど触れたいと思います。
 現在、担当部署では、健診受診者の定着と新規受診者の掘り起こしのための様々な手段を講じられており、第2期データヘルス計画の評価・考察として、健康ポイント事業について地域資源の活用やポイント管理とインセンティブ効果の体制を課題に上げられています。
 このことも現行事業を抜本的に見直し、より高いインセンティブのあるデジタル地域通貨への活用を求める理由になるのではないでしょうか。
 健康ポイントがデジタル地域通貨として市内の買物に利用できるとすれば、ポイント獲得を動機として健診受診率の向上が図れると考えられますが、見解をお伺いします。
○議長(樋田 都君)  市民課長。
○市民課長(倭村祥孝君)  お答えします。
 現在、本市で実施している健康ポイント事業は、紙ベースでの申請となっており、申請者は主に60~70歳代の高齢者層となっています。
 デジタルでの申請やポイント付与が可能となれば、若年層の利用者数が増えることから、健康ポイント事業利用者数の増加と併せて健診受診率の向上も期待できると考えております。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  ポイントそのものの見直しはもちろんですけれども、クーポンをアプリ、また高齢者にはカードという方法もあります。
 ポイント、アプリ、カード、それぞれ集約して加盟店をできれば現在の商品券事業レベル500店前後まで上げていただきたいと思います。
 デジタル地域通貨導入自治体では、様々な行事やボランティア活動、エコ活動等に対してもインセンティブを設け、市民の活動参加を促しています。
 本市主催の様々な市民活動や行事において、市民の参加を促す動機づけのために工夫している事例があればお示しください。
○議長(樋田 都君)  政策推進課長。
○政策推進課長(松良喜郎君)  お答えします。
 市民の方々がボランティアとして市主催の様々な行事等に参加していただく場合に、報償費などをお渡ししている事例はありますが、参加を促す動機づけとして実施している事例は現在のところございません。
○議長(樋田 都君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  多分現状でも問題ないというふうな認識かと思うんですけれども、要は、より多くの市民の参加によって行事そのものを活性化するのか、また八幡浜という地域への愛着を高めることを目指すか否かだと私は思っております。
 ポイント付与は、市民の関心を高める手段として、また参加を迷う市民の後押しをする、家族や友人を誘う動機づけにもなり、そして何よりも自分の行動に対する評価となり、貢献度を実感できることで参加意欲の向上や継続性につながることが期待できます。
 もちろん他の多種多様な方法も考えられますが、デジタル地域通貨ポイント付与は簡便で汎用性があり、その効果をイメージするだけでも期待感に胸が躍ります。
 先般、民生文教委員会で行政視察を行いました東京都板橋区においては、区民の省エネ意識を高めるため、デジタル地域通貨を活用した事業を実施し、ポイント付与によって省エネの推進と地域内の消費活動活性化に取り組まれています。
 本市は、次年度から脱炭素社会実現に向けての本格的な取組が始まり、八幡浜市環境基本計画の改定事業をはじめ様々な関連事業が計画されています。それらを進め目標達成に近づくには、何よりも市民の協力、目的意識の共有が最重要課題であると思っています。
 第2次八幡浜市環境基本計画改定事業、地域エネルギービジョン改定事業において、市民の脱炭素への取組をどのように後押しされるのか、その行動結果に対するインセンティブは考えられているのか、お伺いします。
○議長(樋田 都君)  市民福祉部長。
○市民福祉部長(福岡勝明君)  お答えします。
 板橋区が実施しているような「環境アクションポイント事業」は、市民が省エネ活動などの脱炭素行動に取り組み、その結果に対して達成感を得られるような仕組みとして有効であると思っています。
 今後、ポイント事業による脱炭素行動を促す仕組みづくりについては、本市のデジタル地域通貨導入に関する動向を踏まえ検討したいと考えています。
 また、ポイント事業以外についても、ほかの自治体の事例を調査・研究し、市民の自発的な取組を促すような仕組みを構築していきます。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  今の答弁を伺いまして、しっかりと計画されていることで安心いたしました。
 質問を1点追加します。
 脱炭素も含めたSDGsにつながる市民の活動に対して、インセンティブを強化したデジタル地域通貨事業が県内でも既に実施されていることを把握されているでしょうか。
○議長(樋田 都君)  生活環境課長。
○生活環境課長(菊池和幸君)  県内の優れた事例としまして、西条市がしております、西条市と西条市SDGs推進協議会が運営する西条市の地域ポイントサービスである「LOVE SAIJOポイント」がそれに当たります。
 ポイントのため方は、現金でチャージするほか、取扱店で買物をすることでポイントの還元を受けます。
 また、健康ポイント事業への参加、マイナンバーカードの取得、SDGs活動への参加のほか、環境面では、省エネ家電の購入、おいしい食べきり運動推進店での食事、生ごみ処理機の購入、リサイクル活動に参加した場合においてもポイントがたまるなど、循環型の社会を推進する事業となっており、とても参考になるものであります。
○議長(樋田 都君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  しっかりと情報収集されています。
 LOVE SAIJOについては、御説明のように、チャージが可能なデジタル地域通貨ではありますが、市民自らのSDGs取組を推進する方向に大きく振られています。
 導入関係者の一人は、次のように述べております。
 LOVE SAIJOを西条市の血液として様々な取組・事業に絡めて地域に流し続け、持続可能なまちづくりにつなげていくという意気込みであります。
 実際、各種のインセンティブは市民の行動変容を促すことが期待できますが、デジタル地域通貨によってプラットフォームを統一すると事業の水平的展開が広がり、誰にでも分かりやすく効率的な運用やコスト削減が可能になることが実証されています。
 次に、ふるさと納税返礼品についてであります。
 本市は、納税額が順調に増加傾向にあるとはいえ、新たな返礼品開発の必要性は様々な場面で言及されています。
 今、返礼品としてデジタル地域通貨が注目されています。岐阜県高山市「さるぼぼコイン」、神奈川県平塚市「スターライトマーレ」、福岡県糸島市「電子感謝券」など、地方都市はもとより、ふるさと納税によって税収の落ち込みが目立った東京23区でも、これを打開するために、渋谷区の「ハチペイ」をはじめデジタル地域通貨を返礼品として税収を高める戦略に取り組み始めています。
 ふるさと納税のさらなる充実を目指す本市にとって、このような返礼品をめぐる情勢についてどのような見解を持たれているのか、お伺いします。
○議長(樋田 都君)  政策推進課長。
○政策推進課長(松良喜郎君)  お答えします。
 当市では、寄附額の9割以上をかんきつ(生果)が占めていることから、当面の間はかんきつを中心に寄附額を伸ばしていく考えであり、来年度は新たにポータルサイト「ふるなび」の導入を予定しています。
 12月議会一般質問におきまして、佐々木議員からの旅先納税導入に関する御質問の際に答弁しましたように、かんきつだけに頼らない新たな返礼品についても、広くアンテナを張っておく必要がありますが、デジタル地域通貨については、新たなアプリを開発する必要もあり、現在のところ導入の予定はありません。
○議長(樋田 都君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  今、答弁いただいた見解については、実は私も同感です。デジタル地域通貨を決して返礼品に当てよというふうな主張ではありません。
 ただ、全国的にそのような傾向があるということで、それに負けないような新たな返礼品を探していくことも必要ではないかという意味の質問でありました。
 以上のように、デジタル地域通貨は地域活性化ツールとして導入者の創意工夫次第でいかようにもなります。
 本市は現在、DX推進計画に基づいて関連事業を強力に推進し、令和6年度当初予算においてはDXに関連した29事業が予算計上されています。
 市民に直接に関わるDXにおいては、スマホを利用した各種申請、納付、図書貸出し、キャッシュレス決済などが列挙され、新時代の到来を告げています。
 DX推進計画、産業のDXの中、地域経済の活性化の項目には次のようにあります。
 「市民の市内での購買行動の促進を図るため、地域通貨や自治体独自のポイント制度の導入を検討します」であります。
 DXの本質は、新たな価値を創造し、市民の行動変容をもたらすことにあると考えると、デジタル地域通貨はそれを見事に体現しています。
 次年度の事業が第1段階とすれば、今後第2・第3段階と進化する際には、開拓者精神を存分に発揮され、推進計画にも上げられているデジタル地域通貨及びポイント事業の導入を検討していただきたい。
 デジタル地域通貨を導入する場合の課題について、また今後の見通しについて見解をお伺いします。
○議長(樋田 都君)  副市長。
○副市長(菊池司郎君)  デジタル地域通貨を導入する場合の課題については、地域通貨を管理する専用アプリ導入に係るコスト、運営に係るコストといったコスト面のほかにも、使用できる市内店舗を多数登録していただくための周知・募集・支援、また実際に使用する市民等に対するインストール方法や使い方のサポートなどが考えられます。
 そのほかにも、例えば市民限定のデジタル地域通貨を市内店舗限定で使用していただくための機能追加などがありますが、やはり最大の課題は、どうすればより多くの市民や市内店舗に活用していただき、市民の利便性向上と地域経済の活性化につなげることができるかといったユーザー目線に立った制度設計にあると考えます。
 全国で様々なアプリが導入されている今日、県内においても、愛媛の課題をデジタルで解決する目的で愛媛県が実施する「トライアングルエヒメ」において採択されました「みきゃんアプリ」について事業者から御提案いただいており、その活用の可能性についても検討しているところです。
 そういった検討を重ねるとともに、先ほどから御提案いただいております健康ポイントやボランティア活動に対するポイントなど、市民活動の活性化につながるものや、またそれらポイントを市内店舗で還元できる地域通貨との連携といった制度設計について、今後も情報収集に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  今紹介いただきました「みきゃんアプリ」につきましては、私はつい最近知ったばかりですが、本市との整合性・親和性があるかなど、先行実施自治体もあるようですので、市としても調査・研究を続けていただきたいと思います。
 また、重要課題としてコスト及び市民の利便性ということですが、それについてもこの後述べさせていただきます。
 以上、デジタル地域通貨について、多岐にわたる行政課題に対して効力を発揮できるかを伺ってまいりましたが、愛媛県内での導入事例として「新居浜あかがねポイント」を紹介することで、具体的に皆さんにイメージしていただきたいと思います。
 あかがねポイントは、市内での買物、市の事業、ボランティア・環境保護活動などにポイントが付与され、加盟店での支払いに利用でき、地域経済・地域活動の活性化につなげています。
 その理念は、にぎわいを創出して市民が誇りを持って住みたいと思えるまちづくりであり、子供の未来を応援するために、ポイント活動で集まった資金から教育環境の整備費や夢を応援するための費用を拠出していくことも目的の一つとされています。
 令和5年度アプリ利用者数2万5,000人、カード利用者数が5,000人、合計3万人。加盟店370、チャージによる発行ポイント総数7億7,000万ポイント。1ポイント1円です。前年度比1.9倍。行政付与ポイント110万ポイントと、地域に根づいて魅力あるまちづくりに大きく貢献しています。
 費用に関してです。あかがねポイントの利用者数が本市の人口に近いので大いに参考になるかと思われます。
 令和2年の導入にかかった費用は1,320万円、2分の1は総務省補助金です。令和5年度、委託料・手数料を合わせた管理運用費約690万円、ポイント還元に係る委託料・負担金・手数料は約1億4,000万円、これは全額国費であります。事業が軌道に乗った現在では、市の財政負担は年間700万円程度であるとのことでした。
 以上のように、県内でも地域の実態に即した多様なポイント事業、デジタル地域通貨事業が実施され、成果を上げています。
 その導入に対して、メリットはあるが、最大の懸念はコストであり、費用対効果を考えねばならないという行政としての考えはもっともであります。
 費用の算定は容易ですが、効果については、他のコストを軽減する効果、地域内の消費活動促進による経済的効果、市民の健康増進効果、ボランティア活動や行事参加が増えて地域社会が活性化する効果など、数字に示しづらい効果をも適正に評価してこその費用対効果であります。
 市民生活の質の向上を目指したDXを推進する本市であればこそ、デジタル地域通貨の導入は運用次第でその核になり得ると私は考えています。
 市長にお伺いします。
 市長が標榜される「わくわくする八幡浜」のまちづくりにおいて、デジタル地域通貨はそれを具現化するツールになり得るのかどうか、市長御自身の考えをお伺いします。
○議長(樋田 都君)  市長。
○市長(大城一郎君)  今回、田中議員からは、キャッシュレス時代に適応したデジタル地域通貨の導入による地域の活性化の効果といった観点から質問をいただいたものだと思っております。
 それで、今現在キャッシュレスが八幡浜市内でどのぐらい波及しているのかなというようなことを考えてみますと、やはりいろいろなコンビニエンスストアで、または大手のショッピングセンターでも、現在、決済をするときにスマートフォンを出して、auPAYだとかPayPayだとかd払いとか、そういうもので決済をされている方が非常に多く見受けられると思います。
 また、昨日は松蔭地区の公民館まつりに行ったんですが、そこでも何か購入したときに、これはPayPayで払えますかというようなこと言ったら、ちょっとまだ無理ですというようなことを言われました。
 でも、集まっている方々に話を伺うと、ほとんどの方がもうスマートフォンの中にいろいろな決済機能を搭載して、私もいつもはこれで払っとるんよというようなことを言われております。
 そのような状況になりつつあるのかなというふうなことを考えた上で、デジタル地域通貨にはポイント制度といったインセンティブ、これを付与することで、ボランティア活動や健康促進活動と結びつけ、市民の行動変容を促す効果のほか、地域コミュニティーの活性化や円滑化といった効果をもたらすと考えます。
 これらの効果により、私の目指す「わくわくする八幡浜」のまちづくりの具現化にあたって、デジタル地域効果のツールの一つとなる可能性があると考えますが、先ほどの答弁で申し上げましたように、導入に当たっては幾つかの課題もあります。
 デジタル技術は手段であって目的ではないとよく言われておりますが、市民のために何が適切なのかという視点で、今後いろいろな角度から検討を重ねてまいりたいと思います。
○議長(樋田 都君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  本市の実態や社会の情勢を勘案された市長らしい答弁でありました。
 また、可能性について言及されたことで、提案した私としては大変うれしく思います。
 本市DX推進計画の基本理念ですが、「住民とともに対話で創る、デジタル活用で輝く未来の八幡浜市」であります。
 デジタル地域通貨は、この理念の実現に大きな役割を果たす力があると考えられ、その導入に際しては、市民や事業者の関心や意見を収集・反映させ、何をどうやって実現するかにより、地域ポイント事業にとどめるのか、地域通貨事業にまで発展させるのか、また創意工夫したオリジナリティーのあるものを開発するかなど、本市の地域性を明確にした上での判断が求められます。
 ただ、十分に議論を深めた結果、デジタル地域通貨を活用して地域を活性化するという固い意思と覚悟がないのであれば導入には及ばないことは言うまでもありません。
 デジタル地域通貨の導入が本市の輝く未来の創出の一助となるかどうか、部署を超えて意見を交わされ、地域活性化を進める施策を打ち出されることを要望し、質問を終わります。

お問い合わせ

議会事務局
住所:愛媛県八幡浜市北浜一丁目1番1号
TEL:0894-22-5998
FAX:0894-22-5963
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