公開日 2024年06月11日
〔遠藤 綾君質問席へ移動〕
○遠藤 綾君 本日最後を務めます遠藤 綾でございます。
私は、大綱2点についてお伺いいたします。理事者の皆様には、市民に分かりやすい誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
まず、大綱1は、「能登半島地震を教訓に対策の見直しを」であります。
今年1月1日に発生した能登半島地震では、マグニチュード7.6、最大震度7と、阪神・淡路大震災を超える大きな地震でありました。200人を超える貴い命が奪われました。
また、土砂崩れや地面の隆起、地割れ等で各地の道路が寸断され、孤立した地域が発生し、支援や復旧が遅れたことが今後の大きな課題となってまいりました。
この教訓を踏まえ、今全国でこれまでの避難計画や防災対策の見直し、強化が行われていくことが予想されています。
例えば島根県では、日本海に面した島根半島で道路が寸断された場合に、空路で支援ができるよう、ヘリポートを各地に整備するため、広さや電線が妨げにならないかなどを確認し、候補地を選定していくという報道もありました。
また、ほかの地域でも、ドローンの様々な場面での活用をできないか検討や、復旧の際に必要になる小型重機の確保、インターネットの基地局が壊れたりする可能性もありますので、衛星などを使った携帯の連絡手段の確保を検討している事例もあるようです。
そこで、本市のことについてお伺いいたします。
1、防災対策の見直しについて。
当市において、能登半島地震を教訓とした避難計画や防災対策等の見直し、改善点の洗い出しをどのように行っていく考えでしょうか。
また、特に今後重点的に改善、見直しが必要と思われていることはどういったことでしょうか。
○議長(樋田 都君) 副市長。
○副市長(菊池司郎君) ただいまの御質問ですが、昨日の菊池 彰議員、先ほどの石崎久次議員の答弁と重なる部分がございますが、お答えをさせていただきます。
令和6年能登半島地震では、地震や津波により、住宅の被害はもちろん、道路は寸断し、上下水道を含むライフラインの途絶など、甚大な被害が起こっています。こうした地震や津波に対しては、まず自分の命は自分で守る「自助」が重要となり、さらには避難に支援が必要な方に対する支援や地域で声を掛け合うこと、被災者同士で協力し合い避難所運営を行うことなど、地域で助け合うという「共助」が大変大切になってくると考えます。
本市としましては、備蓄食料等の整備など公助部分の充実を図りながらも、高齢化に伴う要支援者への対応を含め、自助・共助の部分をしっかりと八幡浜市自主防災会連絡協議会等を通じて話合いをしていきたいと考えております。
以上です。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 自助、共助、公助ということですが、まずは自分がということで、私も市民の一人として、この能登半島地震を教訓として、自分自身や家族の分の非常用持ち出し袋をまずしっかりと確認し、枕元もしくは玄関先、また車の中などに非常時に対応できるようなそういったものを準備することを早急にしたいと決意いたしております。
できれば3日分もしくは1週間ぐらいは自分で何とかできるようなそういったものをこれから工夫しなければならない、見直していかなければならないと思います。
食料に関しては、賞味期限が切れる前に食べて、また買い足していく、そのようなサイクルをつくっていく。水や電気が使えない場合も想定して、簡易トイレまた太陽光で使えるスマホのバッテリーなど、袋の中身も日々点検、充実させていかなければならないと思います。
また、周囲の人にも呼びかけて、自主的な避難訓練などもこれからしていきたいし、自主防災会からの避難訓練などの呼びかけがあれば積極的に参加し、また自治防災会へも提言をしていきたいと思っております。
また、公助に関しては、能登半島地震の被害の全容や初動態勢の在り方、そういったものを今後は国からも方針が来るかと思いますが、その国からの方針を待つまでもなく、市としても今後のこの教訓を生かして見直しをさらに行っていっていただきたいと思います。
公助の備蓄に関して少し補足の質問をしたいのですが、それぞれの避難所で何人が何日分そのような対応ができるような備蓄を市としては目標に掲げ、またその目標に対する備蓄の到達は現在どの程度達していますでしょうか。
○議長(樋田 都君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) 備蓄食料の件で御質問いただきましたので、お答えをいたします。
まず、少し前置きをさせていただきますが、実際の有事の際の市民の備蓄食料としましては、例えばフジとかJAにしうわ(Aコープ)さんなどとの協定をいたしておりまして、販売用食品等については優先的に譲っていただけることとなっております。
また、市以外でも各地区自主防災会で独自に備蓄をされている部分がございます。
それと、各保育所、幼稚園、小・中学校におきましても、多分1食分だったと思いますが備蓄をいたしております。
それと、当然各家庭での備蓄もあるということなんで、市の備蓄食料が市民の全ての食料ということではございません。
これまでも御説明させていただきましたように、令和3年3月に、令和3年度から12年度を期間とする10年間の八幡浜市備蓄計画を策定いたしております。
備蓄物資の目標数につきましては、愛媛県の南海トラフ巨大地震による被害想定による避難所避難者数想定結果に基づきまして、最大避難者数を1万7,200人として算出をいたしております。
備蓄目標数は、一人当たり2日分として計算をしまして、大人と子供の食事量の違いを調整した上で、食料が1日2食の6万5,000食、飲料水が1日500ミリリットル1本の計算で3万4,400本としております。
それで、現在の備蓄の到達量でございますけれども、先ほどの食料で申し上げますと、目標数6万5,000食に対しまして、現在約2万7,000食の備蓄が行われているという状況でございます。
それぞれの地区の備蓄食料数につきましては、もちろんこれ市の備蓄食料ですので、どこにどのようなものをどのぐらい配備しているかは把握はいたしておりますが、非常に細かくなりますので、ここでの答弁は控えさせていただきまして、後ほどまた資料で提供させていただいたらと思います。
それと、最後に、今回の能登半島地震を受けまして、半島という地形的な特徴があり、道路の寸断で、関係機関などが入れない集落が相次ぎまして、被害状況の把握はもとより救援物資搬入も著しく遅れたという事例がございます。
特に道路の寸断により孤立している集落が多数発生をしたということがございました。
それで、本市におきましては、そういう孤立を想定される地区に対しては、備蓄量を増やすということを取組としていたしております。
例えば、日土東公民館、旧の真穴中学校、旧の青石中学校、旧の双岩中学校、喜木津体育館などにつきましては、それ以外の地区と比べまして備蓄量を増やしております。
例えば、通常のところが120食のところを800食とか、水だったら90本のところを600本みたいな感じで増やしておりまして、万が一の孤立したときの対応を含めて考えているところでございます。その旨は自主防災会等を通じまして既に周知をさせていただいているところでございます。
以上でございます。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 はい、ありがとうございます。
そのように1万7,200人の想定で1日2食、そのような想定で備蓄を進めていらっしゃるということで、分かりました。
それで、今回、昨日の菊池議員、今日の石崎議員の質問で様々な角度から深められてきておりまして、避難所の女性の目線でストレスの少ないものにするための対策、乳幼児がいる家庭において必要なもの、生理用品などの備品、着替えのスペース、トイレの使い方などの配慮も必要だと思いますが、どのようにこれをお考えですかと質問する予定でしたが、昨日お答えが既にありましたので、今回、女性用の肌着や生理用品、粉ミルク、おむつ、哺乳瓶などの整備を既に始めていると。そして、プライバシーへの配慮としてテントの活用を考えているなどお答えがありました。その女性の視点を取り入れた改善にさらに進めていっていただきたいと思います。
次に、能登半島地震で避難所生活を送る被災者は、少なくとも1万4,000人に上るため、避難所だけでは対応し切れず、車の中やビニールハウスなどで避難生活を送っている方もテレビなどでは報道されていました。
そんな中、民間賃貸住宅を活用したみなし仮設住宅への入居者が殺到しているとの報道がありました。
当市には応急仮設住宅の建設する土地も、土地が狭いので少ないのではないかと思いますが、自宅の復旧や仮設住宅等への入居までの間、被災者の生活環境を確保するため、ホテルや旅館などの2次避難所、賃貸型応急住宅(みなし仮設住宅)についても今後考慮しておくべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。
○議長(樋田 都君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) お答えします。
広域避難に係る2次避難所やみなし仮設住宅に関する事項は、愛媛県を中心に県と市町が連携して実施することとなります。
そのため、有事の際は、愛媛県との連携を密にして、被災者に対してスピーディーな対応が図れるよう努力してまいる所存であります。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 能登半島地震では、特に被害の大きかった輪島市と珠洲市では、調査した建物のうち3割以上が全壊だったことが5日分かったということです。世帯数が1万1,357世帯である輪島市は、当市と規模が近い市ですけれども、半壊が1,446棟、一部損壊が2,809棟もあり、それを含めると約7,000棟の建物が被害を受けたということになります。
その2つの市以外でも、七尾市、志賀町、能登町、穴水町など多くの住宅被害が出ています。
また、この半島部以外にも、南部のほうに位置する金沢市でも局所的に大きな被害があり、家が傾き、港に近い地域では液状化によって道路が隆起する被害が出ているとのことです。
石川県全体では約5万棟の住宅が何らかの被害を受けており、被害の大きさを物語っていると思います。
県全体がそういう状態ですから、2月8日の報道では、能登半島地震の避難者のうち、ほかの30の都道府県へ少なくとも937人が避難していて、県外に避難した人たちからは、住んでいた自治体の支援や復旧に関する情報が乏しいとの声があるとのことです。
被災者がどこにいるか把握が難しいため、石川県ではLINEや電話による登録を呼びかけていますが、把握ができていない被災者が数多くいる状態ということです。
被災者の生活再建や復興に詳しい東京都立大学の中林一樹名誉教授は、「住み慣れた環境が大きく変わることで災害関連死につながったり、コミュニティーの維持が難しくなったりするおそれがある。避難者の名簿を作成し、避難元や避難先の自治体が連携して支援する体制を早急に構築するべきだ」と指摘しています。
ホテルなどを活用した2次避難、民間住宅などを活用したみなし仮設、県外への広域避難、こういったことも含め、また自宅や車での避難者も含めて、被災者全体の避難状況をどうつかんでいくか。
また、コミュニティーをなるべく維持するために、地域ごとになるべく避難を目指すことも今後の考慮に入れておくことではないかと思います。
長引く避難生活で高齢者や障害者の健康・介護状態の悪化が危惧されています。介護現場や医療としっかりと連携して、こういった課題を今後解決していかなければならないと思います。
次に、2つ目、伊方原子力発電所における事故と複合災害についてであります。
当市の防災対策の場合、地震、津波、台風、高潮などによる河川の氾濫、建物や家屋、道路の崩壊などへの対策と同時に、伊方原発の事故による放射能の被害が同時に起こる複合災害も想定しなければならないと思います。実際に福島では起こりました。
また、能登半島地震では地震被害の大きかった珠洲市に原子力発電所を建てる計画がありましたが、住民の反対運動で中止になり、志賀原発に建てられた、そういった経緯があります。
志賀原発は今回停止中だったため、大きな被害にはなりませんでしたが、もし珠洲市につくられ稼働していたら、今回の能登半島地震でもしかしたら福島のような大きな被害を受けていたのではないか、そういう危惧があります。
そこで、お伺いいたします。
八幡浜市地域防災計画(原子力災害対策編)の住民避難計画について、南海トラフ等による大地震と原子力事故が同時に起こる、いわゆる複合災害が起こった場合、どのように対応する計画になっていますでしょうか。
○議長(樋田 都君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) お答えします。
八幡浜市地域防災計画(原子力災害対策編)の直近の修正は令和4年11月に実施をしており、八幡浜市住民避難計画の修正は令和2年2月に実施をしております。
八幡浜市地域防災計画(原子力災害対策編)では、複合災害対応に係る体制整備について定め、八幡浜市住民避難計画では、自然災害との複合災害時における対応を定めております。
なお、本市におきましては、毎年10月に国・県・市町など様々な団体が参加する愛媛県原子力防災訓練に参加をしております。
この訓練は、伊方発電所付近で震度6弱の地震が発生し、その後、地震によるトラブルが伊方発電所内で発生し、放射性物質が放出するという複合災害を想定したものです。
本市としましては、地震発生後の市災害対策本部運営訓練をはじめ、屋内退避訓練や住民広報訓練、要配慮者利用施設や住民による広域避難訓練を実施しております。この広域避難訓練のときには、一時集結所におきましてあめ玉を使用しての安定ヨウ素剤の緊急配布訓練も実施しているところです。
以上でございます。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 毎年10月に複合災害、原子力放出のトラブルがあるという想定で訓練をしていると。あめ玉を使った安定ヨウ素剤配布のそういった対応もしているなどなど今お答えいただきました。
一時避難所から実際には愛媛県の各施設に地域ごとに避難する、そういう計画も県としてはあるようですが、そこから先がどうなるかということは、実際の想定にはない状態であるので、そこが今後の問題になってくるのではないかなと私などは思います。
今回の能登半島地震の実際を見ますと、珠洲市や輪島市など被害が大きい地域では、道路は寸断され、断層のずれや地割れが起き、住宅の多くが破損しています。
現在の想定では、伊方原発が過酷事故を起こした場合は、八幡浜市の住民は自宅に待機し、伊方の住民が避難してから避難するということになっていると思います。
しかし、自宅が壊れ、いつ倒壊するか分からない場合、自宅待機はできないと思います。そうすると、避難所などでの屋内退避ということになるかと思います。
そこで、お伺いしますが、原子力災害対策編の住民避難計画も、能登半島地震の教訓を生かしたものに見直すことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(樋田 都君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) お答えします。
本市における原子力災害時の住民避難は、まずは屋内退避となっており、放射線の放出状況、気象状況を踏まえ、市内の地区を選定し、一時集結所から段階的に松山市などへ広域避難することとなっております。
令和6年能登半島地震では、道路の損壊、寸断などで多くの孤立集落が発生し、避難や退避が必要となったとしても困難な事例が発生しました。
これらのことから、今後は国の防災基本計画や原子力災害対策指針、愛媛県地域防災計画などの修正が行われると思われますので、それらに基づいて本市の地域防災計画や住民避難計画を見直すことになるものと考えております。
以上でございます。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 伊方原発でそういう、考えたくありませんが、過酷事故が起こる、そのような想定は必要だと思います。
一時避難所から松山などの広域避難の先が何も決まっていない状態ですが、恐らく私の予想では、今の石川県のように2次避難所やみなし仮設、県外への広域避難など、ばらばらに避難することになるんじゃないかと危惧いたします。
避難者の把握、元の自治体との連携、こういったものが、先ほども言いましたが、より重要になるのではないかと思います。
また、福島のように、放射能が高い場所には特に若い人たちはなかなか帰ってこない、そのような状態になることも考えられます。そうなってしまえば、みかんと魚のまち八幡浜市はなくなってしまう。これまで積み上げてきた努力が水の泡になってしまうということになります。最悪を想定した避難計画はつくらなければなりませんが、しかしそういう状況は絶対に避けなければならないと思います。
そういうことを踏まえて、市長、今何が必要かと思いますでしょうか。先ほど言いましたように、避難者の把握ということに関してもぜひ今後重要な取組としてお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(樋田 都君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) 議員も御承知のとおり、国の原子力規制委員会は、能登半島地震で家屋の倒壊や孤立集落が多発したことを受けまして、地震や津波と原発事故が重なる複合災害での屋内退避について、原子力災害対策指針を見直す方針を決めております。
今回の能登半島でいろんな課題が明るみになってきておりまして、本市としても、それらを踏まえながら、市としてできることは何なのかということについては、これから十分な検討をしていかなければならないというふうに思っておりますが、ただ今後の流れとしては、先ほどの原子力規制委員会の指針が改正されましたら、今度、県は愛媛県広域避難計画を改定します。それを受けて、県から指導があるものと思いますけれども、必要に応じて本市の住民避難計画についても見直しを行うという流れになるものと認識をしております。
原子力防災につきましては、非常に専門性が高くて、国におきましても、原子力規制委員会をはじめ専門家が新しい知見を取り入れながら随時改定をしてきておりますので、そこはそういうことにならざるを得ないのかなというふうに思います。
ただし、先ほども申し上げましたように、住民避難に当たりまして、現場に直結しておりますのは市や町だと思いますので、市民の命を守る立場にある八幡浜市としましては、能登半島地震の教訓から、改善すべき、あるいは気づいた点につきましては、これから積極的に県に意見を上げていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 今後のそのような避難計画などの見直し、国、県、そして市、その関係があるということは分かりますが、やっぱり市としても、原発の近くにある市として市民の声、そして不安に思っている方々の声もしっかり酌み取って声を上げていっていただきたいなと思います。
それでは、次の質問ですが、伊方町では事前配布となっている安定ヨウ素剤の配布についてですが、前回、3年ぐらい前ですが、私の質問でも一度聞いておりますが、その後どのようになりましたでしょうか、お答えください。
○議長(樋田 都君) 市長。
○市長(大城一郎君) 国の原子力災害対策指針では、安定ヨウ素剤は放射性物質放出による被曝の影響が大きく、全面緊急事態に至った場合、即時に避難を実施することとなる伊方発電所から5キロメートル圏内に位置するPAZには事前配布し、本市のように伊方発電所から5キロメートル~30キロメートル圏内のUPZには、緊急時モニタリングの結果等を踏まえ、避難や一時移転が必要となった場合に、避難に併せて緊急配布することとなっております。
しかし、本市としましては、安定ヨウ素剤の事前配布は、住民の不安払拭や安全確保の観点から必要と考えており、その必要性を引き続き国・県に対し強く要請してまいりたいと考えています。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 安定ヨウ素剤は、特に40歳未満の若い方たちの被曝を低減するためにも、私も以前から求めてきましたが、国・県の方針が今のところ変わっていないというのであれば、特に伊方から五、六キロとすぐ近くの位置にある保内町に関しては、市民の不安軽減のためにも、保内庁舎や避難所等に一定数を備蓄しておくなど、市独自で行うことも検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(樋田 都君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) 安定ヨウ素剤につきましては、今説明ありましたように、本市は5キロ~30キロ圏内のUPZ圏ということで、有事の際の緊急配布が原則ということに国の指針でなっております。
ただ、備蓄につきましては、保内地域について全然やってないということでなしに、備蓄自体はいたしております。安定ヨウ素剤の備蓄はいたしております。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 備蓄はあるということで、そうですね、緊急事態が起こったときにそれを早急に、タイミングが安定ヨウ素剤は重要ですので、そういったタイミングを外さないような配布というものも今後検討していっていただきたいと思います。
まとめます。
1月の地震で志賀原発におきまして、1号機、2号機ともに外部電源を受けるための変圧器が1台ずつ損傷しております。1号機は3,600リットル、2号機は1万9,800リットルの絶縁用の油が漏れ出しました。
この志賀原発では、能登半島の地震により、1号機の地下で震度5を観測し、変圧器の故障などで3系統5回線ある外部電源のうち1系統2回線が使えなくなっている状態ということです。
北陸電力では、1月30日、能登半島地震後に石川県志賀町にある志賀原発で起きた変圧器の油漏れについて、配管の接続部分に亀裂が確認されたと発表しております。地震による揺れで損傷したものと見られるということです。
同社は同日調査報告書を原子力規制庁に提出しました。
また、北陸電力は1月12日、志賀原発の外部電源の完全復旧には最低でも半年ほどかかる可能性があるとの見通しを発表しています。
また、日本地理学会チームは、能登半島北方沖の活断層とともに内陸の断層が動いたことを2月16日に確認しております。同断層に沿って地表に数十センチのずれがあることなど、5つの地点で確認。その範囲から、断層の長さは約3キロ以上と推定しているということです。漁港付近が隆起していることから、断層が海へと続いていると指摘しています。鈴木康弘名古屋大学教授は、沿岸海域の活断層調査をやり直す必要があると語っています。
原子力規制庁は10日、能登半島地震に関する知見を収集するよう、山中委員長が事務局に指示。新しい知見かどうか断層を確定させるまで年単位の時間がかかる。審査はそれ以上にかかるであろうと述べ、この志賀原発の再稼働に関する安全審査は長期化する見通しです。
志賀原発は、建設当初490ガルと設定していましたが、その後600ガルに引き上げられ、現在は1,000ガルで稼働に向けた安全審査を申請してきました。
しかし、日本では、2000年代からこの2020年の間に、1,000ガル以上の地震は17回起きています。
また、700ガル以上では30回起きているとのことです。
しかも、今回、志賀原発の地下での揺れは震度5であります。変圧器の配管接続部からの油漏れであるということで、志賀原発が稼働していなかったことは幸いだったし、もっと言えば、珠洲市に本来建設予定だった珠洲原発、50年前に立地計画が持ち上がったそうですが、市民の反対運動で中止になったこと、これも不幸中の幸いであったのではないかと私は思います。
もし能登半島に珠洲原発が稼働していたら、今回の地震で過酷事故を起こしていたかもしれない。珠洲市や輪島市の住宅の多くが全壊・半壊、道路が寸断されていた中、住民は今の避難所に閉じ籠もって過ごすのか、30キロ圏内の人たちが避難することも困難を極めたのではないでしょうか。それは私たち八幡浜市民にも大きな教訓を投げかけていると思います。
私は、やはり伊方原発3号機は稼働を中止すべきではないか。廃炉作業でも今後何十年も作業員が必要になり、地元の雇用も創出できる。再生可能エネルギーをもっと大きく活用し、エネルギーを捨てることなどをやめれば電力も賄える。そのようなことを私は思います。そのことを強く主張して、次の質問に移ります。
次に、大綱2「生活保護について」です。
生活保護は、憲法25条で「健康で文化的な最低限度の生活」として国民の権利として保障され、それが具現化された制度ですが、一方で日本では恥ずかしいものとする風潮や親族への扶養照会はされたくないなど、申請をちゅうちょさせる壁があり、受給要件を満たしている場合でも申請を控える風潮がまだまだ根強くあると思います。
日本での利用率、全人口に対する割合は、令和5年1月時点で1.6%しかありませんが、先進諸国と比較するとかなり低い利用率です。
ちょっと古い2010年のデータですが、ドイツでは9.7%、フランス5.7%、イギリス9.2%ということで、日本はやはり1.6%ということは低い利用率だと思います。
また、捕捉率という言葉があります。これは、生活保護基準以下の世帯であって実際に受給している世帯数の割合、これを捕捉率と言いますけれども、日本では2割程度と言われております。対象になる方の8割は受給していない状態であります。
これも海外と比較しますと、ドイツ64.6%、フランス91.6%、イギリス47~90%、スウェーデン82%ということです。
様々な要因で生活に困っている方が、申請をしてみたら要件を満たしていない場合ももちろんありますが、その場合でも、ほかの支援策につなげられる場合もあります。誰もがためらいなく相談でき、基準を満たしている方、本来受給できる方が漏れなく受給でき、捕捉率がもっと上がるような改善が求められていると思います。
そこで、伺います。
生活保護制度と当市の現状についてです。
生活保護とはどういう制度でしょうか。法的根拠、概要などについてお示しください。
○議長(樋田 都君) 社会福祉課長。
○社会福祉課長(二宮恭子君) お答えします。
生活保護は、憲法第25条に規定する理念に基づき、生活に困っている全ての国民に対し、その困窮の程度に応じて国の責任で健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、その世帯の自立を促すことを目的とする制度です。
高齢で年金が少ない方や病気や失業、家庭の事情で就労ができない方等で、国が示す最低限度の生活の維持が困難と認められた場合の最後のセーフティーネットとして位置づけられています。
原則として世帯ごとに適用し、国が定めている最低生活費の額に比べて世帯全体の収入が不足する場合に、その不足する分を生活保護費として支給します。
生活保護には、生活・教育・住宅・医療・介護・出産・生業・葬祭の8つの扶助があり、その世帯の状況に応じて国が定める基準によって支給されます。
そのほか、臨時的一般生活費として、支給要件を満たしていれば、基準額の範囲内で被服費、家具什器費、移送費、入学準備金などを支給する場合があります。
以上です。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 ありがとうございます。
簡単に言うと、憲法で保障された生存権の保障として、様々な要因で世帯の収入や資産が国が定めた基準に満たない場合に、最低生活費として足りない分を給付しますという制度であります。憲法25条に保障された国民の権利として、これが大事な点だと思います。
それで、約3年前の私の一般質問で、当市ではどういう場合に生活保護を取るケースが多いのかという質問に対して、入院により医療費の支払いが困難になった場合が保護申請をする事例が一番多く、その他には、連れ合いが亡くなって自分だけの年金では生活できなくなった。就労していたが、傷病等により働けなくなった。子供や兄弟などに援助してもらったが、援助がなくなったなどの事例があるとの回答でした。
今、日本経済が低迷する中で、国民生活が非常に厳しいということが昨日の同僚議員の質問でも言われていましたけれども、当市においても、本来は受給要件を満たしているのに、我慢して申請しない方が相当数いるのではないかと思われます。
それでは、当市の現状を伺ってまいります。
当市の生活保護を利用する世帯数と人数、利用率(保護率)について、直近とここ最近の推移について伺います。
○議長(樋田 都君) 社会福祉課長。
○社会福祉課長(二宮恭子君) お答えします。
令和6年1月末現在の生活保護世帯数は242世帯、被保護者数は290名、保護率は9.46パーミルです。
年度ごとの推移について、平成30年度と令和4年度を比較すると、世帯数は68世帯の減、被保護者数は94名の減、保護率2.1ポイントの減であり、年々減少傾向にあります。
以上です。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 今、経済的には国民生活なかなか苦しい状態であるにもかかわらず増えていない現状があると思います。
そして、当市における生活保護の申請件数について、そして実際に生活保護を開始した件数について、ここ最近の推移を伺います。
○議長(樋田 都君) 社会福祉課長。
○社会福祉課長(二宮恭子君) 令和2年度の申請件数は30件、このうち保護開始件数は26件、令和3年度の申請件数は34件、このうち開始件数は25件です。令和4年度の申請件数は41件、このうち保護開始件数は35件となっており、申請件数、保護開始件数ともに微増となっております。
以上です。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 少し増えているということが分かりました。
最近、国から度々、低所得者対策として様々な臨時特別給付金などが出されていますが、その際によく基準として使われているのが「住民税非課税世帯」です。これは生活保護受給世帯のほか、市民が自治体に納める住民税において、障害者や未成年者、寡婦(死別または離別などで結婚していない独身女性のこと)、またひとり親の方で、前年中の合計所得が135万円以下の方、また前年中の収入から様々な控除を行った結果の合計所得が自治体が定める額以下の方、こういった方が住民税非課税世帯ということです。つまり、生活保護を受給している世帯と保護基準以下だけれども保護を受給していない世帯、そして保護基準よりは少し収入が多いけれども低所得の世帯が当てはまるのではないかと言えると思います。
そこで、お伺いします。
当市の住民税非課税世帯の数はどのようになっていますでしょうか。
○議長(樋田 都君) 社会福祉課長。
○社会福祉課長(二宮恭子君) 本市の住民税非課税世帯は、令和5年12月1日時点で5,230世帯と把握をしております。
なお、この世帯数については、令和5年度追加分の電気・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金の支給対象世帯を抽出するため、当課で把握した世帯数を基に算出をしております。
以上です。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 八幡浜市が約1万5,000世帯と考えますと、5,230世帯ということは、約3分の1に当たる方が住民税非課税世帯であるかと思います。やはり一定数の方がいるのだなと思います。
それで、当市における生活保護基準(最低生活費)の額について、パターンごとに幾つか例をお示しください。
○議長(樋田 都君) 社会福祉課長。
○社会福祉課長(二宮恭子君) 生活保護法に規定されております最低限度の暮らしを営むための費用である生活扶助費の額を3パターン御紹介をします。
まず、70歳の単身世帯の額は6万7,350円です。
次に、70歳の夫婦2人で構成される世帯の額は10万7,160円です。
最後に、40歳の母、15歳、10歳のお子さん合わせて3人で構成される母子世帯の額は17万7,120円です。
なお、生活保護の基準額は、それぞれの世帯によって違い、年金や児童扶養手当などの世帯の収入が基準額に満たない場合に、その差額が支給されることになります。
以上です。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 今、3つの例をお示しいただきました。これはあくまでもその基準でありまして、様々なその方の状況に応じて、障害者加算、母子加算、妊産婦加算、児童養育加算、介護保険料加算といった加算もあり、複雑になっておりますので、正確な額や受給が可能かどうかについては、申請してみないと分からない面があります。
そこで、市民の方がより申請しやすい体制をどうつくっていくのか、そのような質問に移ります。
生活保護の財源については、この4分の3は国から、残り4分の1のうち、居住地がないか明らかでない被保険者に係る保護費や施設事務費については愛媛県から、その他は市の負担になっております。
また、市が負担する4分の1の相当額については、地方交付税の算定基礎となり、市の財政的にはあまり大きな負担にはならないと思います。
それから、病後児保育などにおける国からの補助金などの基準にもなると聞いております。
生活保護の方は、貯蓄に回すより日々の生活に使う、そういった場合が非常に多いと思います。要件を満たしている方はどんどん申請し、受給したほうが市の経済を回すことにもつながると思います。
今、全国の捕捉率が2割程度ですので、残りの8割の方、受給したほうが市や国の経済を回すという意味ではよいと言えると思います。
厚労省はウェブサイトに、「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください」と掲載しております。また、誤解されがちな点も例示して、同居していない親族に相談してからでなければ申請できないことはない、あるいは、住むところがなくても持家があっても申請でき、必要な書類がそろっていなくても申請ができるなど、細かく示されているということです。
令和3年1月、国会において厚生労働大臣は、扶養照会は義務ではないとして、2016年7月に保護を開始した1.7万世帯に関し、照会件数は3.8万件。そのうち金銭的援助が可能であると回答された親族の方は約600件にすぎないと答弁しており、扶養に結びつかない扶養照会に膨大な時間と人件費をかけて行う必要はないとの考えを述べています。
2020年の私の質問で、相談に来られる方が話しやすい環境づくりを求め、相談室について目隠しフィルムを窓に貼る、窓のない相談室でコロナ対策として空気清浄機を稼働し、ドアを閉めて相談業務を行うなど、相談者に対する配慮など改善をしていただいたことがありました。
その後、さらに相談者が相談しやすくするために、どのような取組をされていますでしょうか、伺います。
○議長(樋田 都君) 市民福祉部長。
○市民福祉部長(福岡勝明君) お答えします。
本市では、独自のポスターなどは作成しておりませんが、生活保護のしおりを作成し、社会福祉課のカウンターに置いて周知に努めています。
相談しやすい体制として、基本は市役所での来所相談としていますが、入院中や体調不良等でどうしても市役所まで相談に来ることができない方には、訪問による相談を受けるなど、柔軟な対応を取っています。
また、社会福祉協議会の職員やケアマネジャー等が生活保護の相談や申請に同席することも増えてきています。
市民の生活に密着した関係機関と連携を取りながら、相談しやすい環境づくりに努め、適正に生活保護業務を行っています。
以上です。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 体調が悪い方には訪問するなどされているというのは初めて知りました。
社協の方が相談に来られた方と一緒に市役所に相談に行くというのも、そういった事例も聞いております。
ポスターを作成することはしていないということですが、全国では様々なところで生活保護は権利ですというポスターを作成し、公民館や市の施設に貼るなど、市民の目につくところで啓発を行っているということです。
そういったポスター、チラシなどを非課税世帯への郵便物に同封するなど、もう一歩進んだ対応をしていっていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
○議長(樋田 都君) 市民福祉部長。
○市民福祉部長(福岡勝明君) 現在当市では、先ほど回答しましたように、ポスターの作成等は考えておりません。
ただ、今議員御指摘のように、全国でそういう事例が多くなってきているということでしたら、まずは県内各市の状況を調査研究したいと考えています。
以上です。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 ぜひ積極的に前向きな検討をお願いいたします。
そして、申請をためらっている市民に、生活保護は憲法25条に保障された権利であるとして、市としても広く市民に、呼びかけに力を入れていただきたいと思いますが、市として今後どのように呼びかけを行っていくお考えでしょうか。先ほどの質問にもちょっとかぶるんですが、お願いします。
○議長(樋田 都君) 市民福祉部長。
○市民福祉部長(福岡勝明君) 生活保護制度は、生活保護法の第2条で、無差別平等の原理、これは法に定める要件を満たせば誰でも生活保護を受けることができる、こういう原理と生活保護法第7条で、申請保護の原則、これは生活保護を受けるためには、本人が自らの意思により申請をするということとなっております。
したがいまして、生活保護を受けたいと思っている方の申請権を侵害してはなりませんが、申請主義なので、それぞれの方の意思を尊重する必要があります。
今ほど議員言われました、広く市民に呼びかける予定のほうはございませんが、先ほど答弁しましたように、相談しやすい体制というのは取っております。
また、生活保護は国の法定受託事務なので、生活保護法に基づいて無差別平等の原理、申請保護の原則、これらを踏まえて適正な保護を行っていきます。
以上です。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 生活保護法に無差別平等原理、そして申請保護の原則、本人の申請でという2つの、法律に規定があるということであります。それは分かります。
その中で、2020年でありますが、6月の国会参議院決算委員会で日本共産党の田村智子議員が質問をしておりますが、その内容が、この生活保護に関して「バッシングとも言えるそのような敵意の言葉が向けられた、そういった時期があった。一部の政党や政治家があおってきた。それが、今、新型コロナの影響で生活困窮に陥っても保護申請をためらわせる重い足かせになっていると思えてならない。安倍総理が生活保護はあなたの権利ですと政府が国民に向けて広報するときではないですか」との質問を受けて、当時、安倍総理は、「文化的な生活を送るという権利があるわけでございますから、ぜひためらわずに申請していただきたいと思いますし、我々も様々な手段を活用して国民の皆様に働きかけを行っていきたい」と明言しています。
そして、その後、厚労省が作成したリーフに、先ほども申し上げましたが、「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずに自治体までご相談ください」という一文がこのリーフに加わりました。
このように、やはり上に立つ方が生活保護について明言し、生活困窮者が申請をためらう風潮を少しでも変えていくことが大切だと思います。
そこで、大城市長にもぜひ市民の皆様にこのような呼びかけをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(樋田 都君) 市長。
○市長(大城一郎君) 生活保護に関しては、先ほど来より担当部長、課長から答弁をしております。
権利ということで、国民の三大権利がありまして、生存権、教育権、参政権、この中でも憲法の25条にうたわれております健康で文化的な最低限度の生活を営むというふうな生存権のことだろうと思っております。
実際にそういった場合の対象となる人、担当課のほうも実際に把握しておりまして、いろいろな相談もしておりますし、救わなければならない人は救っていく、セーフティーネットをしっかりとやっていきたいと思います。
しかし、幅広く広報するというのは、少し問題があるのかなとも考えております。権利もありますが、義務もあります。よく権利と義務というふうな形で捉えられておりまして、義務においては教育、勤労、納税の義務があるわけでありまして、やはり本当に助けなければならない対象者に対しては、セーフティーネットといった形の支援が必要だと思いますが、生活保護の拡大によりまして、やはり国や地方自治体の財政負担が増え、税金の増加やほかの生活保障制度や公共サービスの予算が削られるといったような点も懸念されます。
また、一部の人々が働く動機を失い、労働意欲が低下する。これはどうなるか分かりませんが、幅広く周知して、誰でも生活保護受けれますよ、これ当然の権利だと思いますが、今ではいろいろな病気もございます。働かなくても生活ができるんだということが蔓延をしますと、これは本当に働いている人、勤労意欲を持って働いている人に対する負担にもなります。そういう人ばかりなるということは考えられませんが、万が一にそういうことが増えていくと、大変な世の中になってしまうということも懸念されるわけなんです。
そういったところで、積極的な広報と言われましたが、個人の責任や自立を軽視するようなメッセージを発信するおそれもありますので、健全な社会形成をしていくためにも、この生活保護制度に対しましては、やはり公正公平な立場に立った上でしっかりと市民の方々にメッセージを発信していく、それが大切だと思っております。
○議長(樋田 都君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 生活保護が国民の権利であるということを広報することが、働かなくても生活できるんだと考える方が増えると大変なのでそれは言えないとおっしゃったんですけれども、それはちょっとおかしいんじゃないかなと思います。
生活保護受給者というのは、先ほど何度も言いましたけれども、病気で働けなくなったり、年金が少なくて暮らしていけない、最低生活保障よりも少ない額しか得られない、障害がある方、ひとり親である方、そういったやむを得ない状況で生活保護にセーフティーネットとして頼るわけです。それを、2割の方しか取っていない。残りの8割の方は、やはり心理的な壁があり、受けたくても受けられないような状況に置かれているんではないかと私は思いますので、ぜひ市民の皆さんには、積極的に、困った方は市の社会福祉課に生活保護係のほうへ行っていただきまして、自分自身の困った状況を御相談いただき、そして受けれる方は受けていただき、受けれない方もほかの支援策を御紹介する、そのような支援策、心理的なハードルを下げることが必要であるというような理由で質問をしているわけですので、生活保護に関する様々な偏見がまだまだ根強いのだなと改めて思っております。
不正受給が多いのではないかというような偏見もたまにありますが、件数ベースでは約2%、金額ベースでは0.4%ほどで推移しておりまして、ここの中には、高校生の子供さんがアルバイト料を申告する必要がないと誤って認識していたため申告しなかった。このような例も含まれている件数でありまして、決して不正受給も多いとは言えないと思います。
そして、民法上強い扶養義務を負うのは夫婦同士と未成熟子に対する親だけであり、成人した親子、兄弟姉妹については、社会的地位にふさわしい生活をした上で、なお余裕があれば援助する、このような義務となっておりますので、家族への扶養照会、こういったものも大臣が効果があまりないというような答弁も先ほど御紹介しましたけれども、これが申請をする大きな障害になっている面もあります。
ですから、ぜひ国民の権利であること、そして困った人が最後に最低生活費に不足分を補うものであるということ、そして財政的にも市の負担はなく、ほかの非課税世帯に対する緊急の景気対策などもされておりますけれども、それもやはり国費から来ておりますし、そのものともそんなに大きな違いはない。生活保護だけが特別財政的に負担になるというような理屈はおかしいのではないかと思います。
ですので、国民の権利、社会保障であるので、要件を満たす方は、年齢や家族構成で異なりますので、困った人が気軽に相談でき、申請しやすい環境を市として整えていただき、要件を満たす方が全員受給できるように、私も啓発に努めたいと思いますので、市としても一層啓発に努めていただきますように強く求めまして、私の質問を終わります。