一般質問(一問一答)R6.6 遠藤綾議員

公開日 2024年09月05日

〔遠藤 綾君質問席へ移動〕

○遠藤 綾君  遠藤 綾でございます。私は大綱3点について質問いたします。理事者の皆様には、誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず、大綱第1「伊方原子力発電所について」質問いたします。
 まず、1つ目は、4月の地震に伴う伊方原子力発電所のトラブルについてお伺いします。
 4月17日の深夜23時14分頃、四国で初めて震度6弱を記録した大きな地震がありました。八幡浜市では震度5弱、伊方で震度4であったと聞いております。
 伊方原子力発電所3号機は、その後も運転を続けていますが、この地震の後、発電機の出力が2%下がったとのことです。
 そこで、お伺いします。
 今回のトラブルに関して、四電や県から市にどのような連絡があり、その後、市はどう対応したのか伺います。
○議長(樋田 都君)  総務課長。
○総務課長(宇都宮久昭君)  お答えします。
 令和6年4月17日午後11時14分に、豊後水道を震源とする地震が発生し、本市におきましても震度5弱を観測しました。
 四国電力や愛媛県からどのような連絡があり対応したかとの御質問ですが、本市では、平成24年9月5日に結んだ「伊方原子力発電所周辺の安全確保等に関する覚書」により、伊方発電所において正常状態以外の事象が発生した場合は、速やかに四国電力から連絡が入ることになっています。
 今回の地震では、本市で震度5弱、伊方原子力発電所2号機において最大38ガルを観測しましたので、愛媛県の「伊方原子力発電所異常時通報連絡公表要領」に基づき、即時公表のA区分となりました。
 また、勤務時間内であれば市役所に連絡が入りますが、今回の地震は午後11時14分と勤務時間外でしたので、市役所と総務課危機管理室担当職員の自宅にも連絡が入るようになっています。
 まず、同日午後11時34分に、四国電力伊方発電所からの伊方発電所異常時通報連絡記録表(第1報)のFAXが、市役所と総務課危機管理室担当職員の自宅にありました。その後、午後11時40分に、四国電力伊方発電所から市役所と総務課危機管理室担当職員に電話がありました。さらに、午後11時50分に、愛媛県から即時の緊急立入調査を実施する旨の電話連絡があり、愛媛県・伊方町とともに本市からも総務課危機管理室担当職員1名を立会いに行かせています。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  今回の地震を受けて、覚書などに基づくルールにのっとった対応がされたということでありました。
 今回、A区分ということで、即時公表、立入調査があったということですけれども、今回、発電機の出力が2%下がったというトラブルがあったと聞いております。
 それで、今回のA判定のトラブルの内容について当初どのような説明があり、その後、新たな説明はあったのか、そのあたりについて回答願います。
○議長(樋田 都君)  総務課長。
○総務課長(宇都宮久昭君)  お答えします。
 当日とこれまでにどのような説明があったのかという御質問です。
 即時の緊急立入調査では、2次系ドレンタンクの水位制御がバックアップ系統に切り替わった影響で発電機出力が2%低下したが、3号機の運転や環境への影響はなく、さらに伊方発電所内の施設及び敷地内にも異常がない旨の説明を受けました。
 また、1週間後の4月25日午後1時30分から行われた臨時立入調査では、四国電力から「点検の結果、バックアップ側の水位計測器が正常に水位を検出できてないことを確認したことから、当該水位計測器を予備品に取り替え、正常に水位が検出することを確認した。その後、発電機出力を約2%上昇させ、第2段湿分分離加熱器ドレンタンク3A1の水位計測器に問題がないことを確認し、25日午後1時5分、正常状態に復旧した。今後詳細な調査を実施する」との報告を受けました。
 なお、5月9日午後2時から実施された伊方発電所における通報連絡事象に係る定例立入調査におきましても、同様の説明を四国電力から受けております。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  今回のトラブルの内容について、水位計測器の異常があって、切り替えて、そして正常に戻った。運転には影響はなかったという説明を受けたということですが、今回、伊方町では震度4、2号機付近で38ガルの揺れがあったということですが、そんな中の今回のトラブル、原因が地震によるものかどうかはまだ調査中とのことですけれども、伊方原発は、以前は650ガルまで耐えられると言っていましたが、今は1,000ガルも大丈夫ということで言っております。
 しかし、1月の能登半島地震では、最大で2,828ガルが観測され、1,000ガル以上も6か所で観測されているということです。
 北陸電力志賀原発では、震度5強の揺れで変圧器の油漏れがあり、外部電源の半分が失われたということも言われています。
 このような能登半島地震の例を見ますと、もし今後、伊方原発付近で能登半島地震クラスの地震が起きたり、南海トラフ巨大地震が起こった場合に、伊方原発が稼働していたら過酷事故が起きないという保証はないと思います。
 今回のトラブルの原因の解明もまだこれからということですが、そういったことにも注目しながら、能登半島地震クラスの地震が起きたときにどのように住民を安全に避難させるのか、そういったことも今後見直していかなければならないと思います。
 次に、半島に立地する原発を大地震が直撃したら、能登半島と同じく逃げ場がないというテーマです。
 東京新聞の報道によれば、伊方原発の東約10キロの八幡浜市に暮らす「伊方から原発をなくす会」の代表・近藤亨子さんは「この周りは山あいの地域。西日本豪雨の時も土砂崩れが起きて道路が通行止めになった。もっと大きい地震が来れば道路が寸断されて逃げ場がなくなる」と不安を口にしています。「津波が来ることを考えれば、船での避難は現実的ではない。道路も少ないので皆が一斉に逃げようとすれば大渋滞が起きて混乱する」のではないかと語ったとのことです。
 また、八幡浜市で原発から約6キロの瀬戸内海に面する集落で漁業を営む方は、「近くに避難する道は1本しかない。土砂崩れで道路がふさがり、津波で海が荒れたら船で逃げることもできない。避難計画通りにうまくいくとは思わない」「震度4でも影響が出るなら、震度7の地震が起きたらどうなるのか。津波も来れば、考えられない被害が起こるはず」と不安を口にされています。「福島の事故のようになったらふるさとに帰れなくなってしまうのではないか、どうすればいいのか、危険な原発は止めてほしい、なくすべきだ」と訴えたとのことです。
 能登半島地震では、幸い、半島に建設予定だった珠洲原発は建設されなかったし、志賀原発は停止していました。
 海岸部が隆起し、船が接岸できない状態になり、道路が寸断され、車が現場まで来れない、そのような状態が起こりました。原発が稼働していたら、原発事故による避難者の被曝は避けられなかったのではないかと思います。
 東日本大震災では、大地震と同時に福島の原発事故が起こり、避難をする人たちの中にも被曝した人がありました。
 当地域で、もし大地震と原発災害が同時に起これば、市民は安全に避難ができるのか、実効性ある避難ができるのか、検証が求められます。
 そこで、お聞きいたします。
 4月17日の地震と、それに伴う伊方原子力発電所のトラブルを受けまして、市民の安心・安全を守る行政の立場として、改めて避難計画の検証が求められていると思います。実効性ある避難計画がつくられない限り、伊方原子力発電所の稼働をやめるよう、市として求めるべきではないでしょうか。お答えください。
○議長(樋田 都君)  市長。
○市長(大城一郎君)  本市における原子力災害時の住民避難は、まずは屋内退避となっており、放射線の放出状況、気象状況を踏まえ、市内の地区を選定し、一時集結所から段階的に松山市等へ広域避難することとなっています。
 現在、令和6年能登半島地震において、道路の損壊・寸断等で多くの孤立集落が発生したことにより、国の原子力規制委員会に原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チームが設置され、検証が進められています。
 これらのことから、今後は、国の防災基本計画や原子力災害対策指針、愛媛県地域防災計画等の修正等が行われると思われますので、それに基づき、本市の地域防災計画や住民避難計画を見直すことになるものと考えております。
 また、これまでにもお答えしたとおり、原子力発電自体は国のエネルギー基本計画の中で位置づけられているものであります。本市としては、原子力規制委員会の安全性に対する判断も含め、原子力発電の稼働を含む可否に関する大きな問題は、国政のより広い場面で議論していただくものであると思っております。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  今、国が能登半島地震の状況を検証するようなチームをつくって検証中であり、それを踏まえての県・市の対応というお答えです。
 ただし、この世界有数の地震国、津波国である日本で、原発を稼働することはやはり危険なことであるということは、福島第一原発で多くの国民が実感していることだと思います。
 1月の能登半島地震では、道路の寸断、建物の倒壊、そういった屋内退避を含む避難計画が果たして実効性あるものであるのか、これが疑問視されています。
 今後の避難計画、そういった流れでつくられるということですけれども、それが決まる前に、いつ起こるか分からないそういった大規模災害が起こってしまったら、その間どのように市民の命や健康を守っていくのか、そこが問われるのではないかと思います。行政としてどのように市民の命や健康を守っていくのか、本当に今の計画で安全が守れるとお考えでしょうか。その点はいかがでしょうか。
○議長(樋田 都君)  市長。
○市長(大城一郎君)  避難に関して、住民の命を守るといった意味におきましては、今、八幡浜市、大洲との高規格道路「大洲・八幡浜自動車道」八幡浜道路ができたところで、次の夜昼道路に着手しているところでありますが、いち早くそういったものを実現させていく。
 また、市内でも、先ほど攝津議員から発言ありましたが、ようやく無電柱化の工事が始まった。これも、能登半島地震におきまして無電柱化ができていたところ、今回の能登半島の地震を見ましても、電柱が倒れた、電線が寸断したということで長い間電気が通じなかった、停電で苦労されたところあるんですが、能登半島、石川県内においても20キロ区間だけ無電柱化ができていたところがあります。その20キロの区間においては電線の破断もなく全然支障がなかったというような結果がありますので、こういった無電柱化も進めていきたいと思っておりますし、愛宕山プロジェクト、これも市民の皆さん方がいち早く避難できる津波対策でありますが、こういったところを進めていくことで、市民の安全・安心、市民の命を守る、そういった政策を進めていきたいと思っております。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  今言われた、市として実現しようとされている広域道路、それから無電柱化、愛宕山プロジェクト、これは本当に進めていただきたいと思います。
 ただ、現在の避難計画である屋内退避、これが家にいたら、家が崩壊してしまった人は家にいることはできませんし、避難しようとしたら道路が寸断されていてどうしたらいいのかという状態で、同時に原発事故が起こってしまったら、その方の被曝は避けられないようなことも考えられます。ですから、国、県の指針を待たずに、同時にどうやって市民の命を守るのかということも、これから考えていっていただきたい。独自に考えるようなことをしていただきたいと強く要望したいと思います。
 ということで、大綱1を終わります。
 次に、大綱2「国民健康保険税について」であります。
 この6月議会の議案の中に、八幡浜市国民保険税の改定案が出されました。
 国保の加入者の多くの方にとっては負担増となる改定です。今回の国保税改定案について伺っていきたいと思います。
 1つは、八幡浜市国保税の被保険者についてです。
 被保険者の人数の推移について伺います。今後さらに減っていく見通しなのか、そのことも併せて伺います。
○議長(樋田 都君)  市民課長。
○市民課長(倭村祥孝君)  お答えします。
 本市の国民健康保険の被保険者数は、令和6年3月末時点で8,028人、人口3万345人に対し、加入者の割合は26.5%となっています。
 被保険者数の推移については、5年前の令和元年3月末の被保険者数9,691人からは1,663人(17.2%)の減、10年前の平成26年3月末の1万2,073人からは4,045人(33.5%)の減となっています。
 いわゆる団塊の世代が75歳を迎え、後期高齢者医療制度へ移行するのは令和6年度までですので、今後減少のペースは若干ですが緩やかになると思われますが、減少傾向であることに変わりはありません。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  10年前と比べて4,000人減、5年前と比べても1,600人程度減っているということで、すごい減りだなと思います。
 次に、この被保険者の年齢構成の割合はどうなっていますでしょうか。
○議長(樋田 都君)  市民課長。
○市民課長(倭村祥孝君)  お答えします。
 被保険者の年齢構成につきましては、令和6年3月末の被保険者数8,028人のうち、70代が2,222人(27.7%)、60代が2,439人(30.4%)、50代が1,127人(14.0%)、40代が768人(9.6%)、30代が439人(5.5%)、20代が311人(3.9%)、10代が439人(5.5%)、10歳未満が283人(3.5%)となっています。
 60歳以上が全体の約6割(58%)を占めている状況となっております。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  こうして見ますと、60代以上の高齢者が6割ということで、やはり年齢構成も高いですし、この国保自体も全国的にもそのような傾向があり、医療費も高く、そして加入者の方、昔は農林水産業者が4割ぐらい、自営業者が23%ぐらいでしたが、この2つで過半数を占めていましたが、最近は無職の方、年金者、そして非正規雇用者の方が過半数を占めているということで、所得に関しても低い水準の方が増えているということで、この国保に関しまして構造的な問題があると思います。
 この国保の、後でも述べますけれども、負担増でこの会計、財政を解決しようということでいいのか、そういう疑問があると思っております。
 次に、今年度分の税率改定の経緯について伺います。
 国保会計の収支状況の悪化の要因について御説明願います。
○議長(樋田 都君)  市民課長。
○市民課長(倭村祥孝君)  お答えします。
 国保会計の収支状況の悪化の要因としましては、大きく3つの要因が上げられます。
 1つ目が、被保険者数の減少に伴う税収入の減少、2つ目が、一人当たりの医療費の増加に伴う保険給付費等の高止まり、3つ目として、平成27年度以降増額改定をしておらず、歳出に見合うだけの税収が確保できる税率となっていないことなどが上げられます。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  次に、県内統一の保険料が今後されるということで、それに向けての改定について説明を願います。
○議長(樋田 都君)  市民福祉部長。
○市民福祉部長(福岡勝明君)  お答えします。
 愛媛県は、令和6年3月に改定・更新された愛媛県国民健康保険運営方針の中で、国民健康保険料(税)については、固定資産税に対して付加する資産割を令和11年度末に廃止、また令和15年度からは県内統一保険料の導入を目指すこととしています。
 こうした動きを見据えながら、被保険者の負担が急激に変動・増加することがないよう、県が示す市町標準保険料率に段階的に近づけておくことが重要であると考えています。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  次に、国保会計の決算状況について説明願います。
○議長(樋田 都君)  市民課長。
○市民課長(倭村祥孝君)  お答えします。
 国民健康保険事業特別会計の決算状況につきまして、令和5年度見込み分を含め、過去5年分の単年度収支(前年度繰越金や基金繰入金などを除いた額)についてお答えします。
 令和元年度301万7,000円の黒字、令和2年度3,104万6,000円の黒字、令和3年度385万4,000円の黒字、令和4年度6,369万1,000円の赤字、令和5年度は1億1,939万5,000円の赤字の見込みとなっております。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  単年度の令和4年度・5年度、令和4年度は6,369万1,000円の赤字、そして5年度が1億1,939万5,000円の赤字ということで、急激にこの赤字が増えている、この原因というのは主にどういったことでしょうか。
○議長(樋田 都君)  市民課長。
○市民課長(倭村祥孝君)  お答えします。
 先ほどの収支状況の悪化についてもお答えしましたとおり、まず被保険者数の減少ということで、団塊の世代の75歳の方がどんどん後期高齢者へ移行して被保険者数が減っているということが挙げられると思います。
 あと、税収なんですけれども、やはり特に農業収入とかが落ち込んでおりますので、その分についての税収が確保できなかったということで、そういうところが赤字の要因となっているところであります。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  次に、今回の税率の改定について説明願います。
○議長(樋田 都君)  市民課長。
○市民課長(倭村祥孝君)  お答えします。
 今回の改定案でお示ししている税率は、本市の現行の税率と県が示す市町標準保険料率の中間値、つまり県が示す標準保険料率に50%近づける内容になっています。
 所得割額・均等割額については増額改定、一方で、資産割額・平等割額については減額改定となっております。
 所得割額合計は0.5ポイントプラスの12.9%、資産割額合計は12.5ポイントマイナスの12.5%、均等割額合計は1万100円プラスの4万8,400円、平等割額合計は3,300円マイナスの3万9,100円となっております。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  今おっしゃられた税率改定、ちょっと分かりにくい面もありますので、モデルケースでの試算を御提示いただきたいと思います。
 例えば、給与収入350万円の場合の40代夫婦、子供(就学児)2人の4人家族の場合の改定、そして固定資産税10万円ありの場合の改定について御説明願います。
○議長(樋田 都君)  市民課長。
○市民課長(倭村祥孝君)  お答えします。
 御質問のありました、40歳代夫婦で就学児が2人、給与収入が350万円のケースで試算いたしますと、現行の税率で38万2,500円、改定後は41万9,100円となり、世帯で年間3万6,600円の負担増となります。
 また、同じケースで、土地や家屋など固定資産税が10万円課税されている世帯ですと、現行の税率では40万7,500円、改定後は43万1,600円となり、世帯で年間2万4,100円の負担増となります。
 先ほどの固定資産税がない世帯と比較をいたしますと、1万2,500円の負担減となっております。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  今モデルケースとして40代夫婦、子供2人、350万円の場合の例を示していただきましたが、改正後は3万6,600円の負担増となります。非常に大きな負担だなと思います。収入の約1割以上が税金に取られるということになります。
 公務員や会社員が加入する被用者保険、協会けんぽなどでは、会社の負担などがあり、加入者が払う保険料は、この国保に比べ半分程度安くなっております。国保加入者は負担が多く、そして所得も少ないということで、非常に構造的な問題があると言えると思います。
 次に、全国的な動きのことですけれども、平成30年(2018年)度から始まった国保の都道府県化に伴い、以前は市町が単独で所管していた国保財政が、県と市町が共同運営する仕組みに変えられました。
 市町は今までどおり加入者から保険料を集め、納付金として県に収め、医療機関などへの支払いは県が行います。県は各市町が分担すべき納付金の計算とともに、納付金を集めるために必要な保険料の水準として標準保険料を提示し、市町に提示するこの仕組みですが、都道府県化が始まって7年目に入り、新たな国保運営方針がちょうど今実施されるタイミングです。全国ではこの国保税、国保料の急激な値上げが強まっています。標準保険料率、これはあくまでも参考値であり、市町村が絶対にこれに従わなければいけないという法的なものではありませんが、この標準保険料率が保険料率値上げの「てこ」の役割を果たす結果となって、全国で今値上げが強まっています。
 都道府県化された当初は、県内の保険料の標準化の意味合いがあったため、最初の6年間は、もともと高かった自治体が値下げとなる事例も多くありました。
 また、政府は制度推進のための「あめ」として、若干の国庫の支出を増やしました。これまでの6年間は、国庫支出や国保財政の剰余金などを活用し、値上げを緩和する措置が行われてきました。
 さらに、新型コロナの流行期は受診抑制があり、医療費の支出が抑えられたこともあり、値上げが緩やかになっていました。
 そして、7年目を迎える今年度ですけれども、新たな運営方針の期間に入り、多くの都道府県でこれまで実施してきた負担軽減措置を縮小する方向を示しています。値上げが全国で急ピッチになっている。特に大阪府や奈良県では、2024年度から全市町の保険料率を同一にする統一保険料を実施するとのことで、この結果、大阪府では全市町が値上げとなり、昨年に比べ10万円以上値上げになる自治体も出ているとのことです。
 愛媛県のホームページ、国民健康保険運営方針に関する記述によりますと「国保は被保険者の年齢構成が高く医療費が高い反面、所得水準が低く保険料収入が少ないといった構造的な問題を抱えています。このため、2018年度から新たに始まった国保制度においては、国保への財政支援を拡充することにより財政基盤を強化するとともに、都道府県は、財政運営の責任主体として中心的な役割を担うことになった」と説明しています。
 県が責任を持っているということなので、この標準は示していますけれども、やはり県が責任を持って各市町急激な上昇にならないように責任を持つべきだと思います。
 今、物価高騰している中で、国は一方では定額減税を行っています。一方で介護保険料や国保料の値上げで、矛盾しているのではないでしょうか。今は国保税の値上げはすべきときではないと思います。
 標準保険料率はあくまでも参考値であり、全国には急激な値上げを防ぐために、一般会計からの繰入れなどで努力しているところもあります。
 当市においても、一般会計からの繰入れを増やしてでも国保財政を支え、値上げを回避すべきときではないでしょうか。その点についていかがでしょうか。
○議長(樋田 都君)  市民福祉部長。
○市民福祉部長(福岡勝明君)  お答えします。
 国民健康保険制度は、病気やけがをしたとき安心して医療機関を受診できるように加入する相互扶助による医療制度で、特別会計として独立採算で運営しています。
 本市では、令和6年3月末時点で、市民の26.5%が加入しています。
 議員の御質問にあった、一般会計からの繰入れには、法令を根拠とした法定繰入れとそうでない法定外繰入れとがあり、国保税の値上げを回避するための一般会計からの繰入れは、決算補填目的のための法定外繰入れとなります。
 国保特別会計を安定的に運営していくためには、国保が一会計年度単位で行う短期保険であるため、決算補填目的の法定外繰入れなどを行うことなく、必要な支出を保険税や国・県の交付金で確実に賄うことにより収支の均衡を図ることが重要です。
 そのため、国は法定外繰入れの解消を着実に進めるため、赤字市町村等に対し、赤字解消計画の策定を要請するなどしており、令和3年度時点となりますが、決算補填目的のための法定外繰入れをしている市町村は全体の14%の237まで減っています。
 こうした国の方針に加え、決算補填目的のための一般会計からの繰入れは、国保加入者以外の市民の方からも税負担を求めることになります。
 したがいまして、本市ではこれまでどおり、法令に定められた範囲で一般会計からの繰入れを行います。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  現在は法定内でやっているということですが、法定外をした場合に、何か交付金を減らされるようなペナルティーはあるのでしょうか。
○議長(樋田 都君)  市民福祉部長。
○市民福祉部長(福岡勝明君)  お答えします。
 決算補填目的のための法定外繰入れを行った場合、特別交付金2号交付金(保険者努力支援制度分)において加点を失い、交付金額が減額されることとなります。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  そのようなことがあっても、14%、237の自治体は法定外繰入れをして市民の負担を減らしているというのもあるわけです。
 それで、先ほども申し上げましたが、国保加入者は、協会けんぽの加入者などに比べると保険料が非常に高く、負担が重い状態なので、これに対してのやはり不公平感はあるのではないかと思います。
 先ほどから、これはやはり国や県に対して交付金をもっと増やすように求め、市民に対する負担増ではなくて、国や県に負担増を求めていくべきではないかと思います。
 現在の物価高の中、もともと国保税は高い状態であるのに、ここからさらに人によっては数千円から4万円、5万円の値上げになる方も多く、非常に負担が重い状態です。
 今、この物価高の中で、可処分所得という面で言いますと、この数年間、可処分所得は減り続けていますし、実質賃金の低下もあります。このような状態では、消費者マインドも伸びず、国内経済も伸びも期待できない、このような状態だと思います。
 安倍政権、菅政権、岸田政権のこの3代の政権の間、2013年度から今まで約2兆5,000億円も社会保障費を削ってきました。
 そして、さらに自然増を削っていくという方針でありまして、景気が上向いていく、そのような兆しが見えないと思います。
 一方では定額減税で減税をしながら、一方では負担を増やしていく、このようなちぐはぐなやり方ではいけないと思います。
 日本の経済、失われた30年を克服するには、国民の可処分所得が増えるような思い切った政策転換が必要だと思います。
 国保税の引上げではなくて、国庫負担金の引上げこそ求めるべきであると、そのことを強く求めて大綱2を終わります。
 次に、大綱3「高齢者外出支援事業の対象者の見直しを」というテーマで質問いたします。
 最初に、現行制度の内容と対象者の条件について、また財源も含めて説明を願います。
○議長(樋田 都君)  保健センター所長。
○保健センター所長(明礼英和君)  お答えいたします。
 高齢者外出支援制度につきましては、在宅の高齢者に対し、タクシー・バス・船舶の利用料金の一部を助成することにより、移動交通手段を確保し、高齢者の社会参加の促進及び在宅福祉の増進等に寄与することを目的として、平成14年度から実施しています。
 対象者の条件につきましては、65歳以上の者のみで構成される住民税所得割非課税世帯に属する75歳以上の高齢者とし、一人当たり年額1万3,200円分のチケットを配付しております。
 事業開始以降、希望する乗り物を選択し、その乗り物でのみ使用可能な助成券を支給していましたが、令和3年度から、タクシー・バス・船舶のいずれでも使用可能な共通券に変更、令和4年度からはタクシーの一回当たりの上限額を550円から1,000円に引き上げるなど、見直しを行い、利便性の向上を図っております。
 事業の財源ですが、平成21年度までは一般財源のみで実施しておりましたが、平成22年度より過疎対策事業の対象となったことから、一部ですが過疎対策事業債を充当しております。
 説明は以上でございます。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  これは何年からスタートされましたか。
○議長(樋田 都君)  保健センター所長。
○保健センター所長(明礼英和君)  平成14年度から事業を開始しております。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  ちょうど高橋市長のときにこの制度ができたと聞いております。それ以来、この内容については、今2つほど改善をされておりますが、基本的には高齢者外出支援事業の構成はずっと同じできていると思います。これを見直すときではないかという私の質問です。
 2つ目に、使用実績について伺います。この高齢者外出支援事業のチケットを交付した人数と使用の実績についてです。人数と実績について分かる範囲でお答えください。
○議長(樋田 都君)  保健センター所長。
○保健センター所長(明礼英和君)  お答えいたします。
 助成券の交付者数につきましては、令和4年度が1,533人、令和5年度が1,582人、令和6年度は5月末現在の数字になりますが1,496人です。
 使用実績につきましては、令和4年度が合計1,403万4,190円。内訳ですが、タクシーが1,138万3,140円で81.1%、バスが233万2,590円で16.6%、船舶が31万8,460円で2.3%となっております。
 次に、令和5年度が合計1,419万5,930円。内訳ですが、タクシーが1,157万7,970円で81.6%、バスが223万2,570円で15.7%、船舶が38万5,390円で2.7%となっております。
 以上でございます。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  圧倒的に、タクシーが8割近くということで、多いということが分かりました。
 次に、交付している人の特に多い地域など、特徴などございましたらお答えください。
○議長(樋田 都君)  保健センター所長。
○保健センター所長(明礼英和君)  お答えいたします。
 令和5年度末の数字になりますが、地区公民館単位で交付者の多い地域は、白浜地区273名、神山地区230名、松蔭地区203名となっております。
 地区公民館単位では、全ての17地区の方々に高齢者外出支援事業を利用いただいており、人口が多い市街地において交付者が多い傾向となっております。
 以上でございます。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  市街地のほうが人口が多いので、利用者が多いのはそうだろうなと思います。全地域で利用されている、タクシーが多いと、そういうことが分かったかと思います。
 次に、高齢化に伴い、免許返納ということもあり、車を持たない世帯の増加が予想されます。この八幡浜市のどこに住んでいても、車がなくても行きたいところに外出しやすい、そのような条件を公平につくっていくよう努めるべきではないかと思います。
 そこで、お伺いします。
 このチケットを必要とする人の推移、これを今後どう予想されますでしょうか。さらに需要は高まるのでしょうか。お答えください。
○議長(樋田 都君)  保健センター所長。
○保健センター所長(明礼英和君)  お答えいたします。
 本市の75歳以上の人口は、令和6年4月現在7,446人で、緩やかに増加しておりますが、今後5年以内には減少に転じると予測されております。
 先ほど、使用実績についてで答弁しましたとおり、交付者数は1,500人程度で推移しており、今後の見通しとしましては、現状維持もしくは減少していくものと考えております。
 以上でございます。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  ありがとうございます。
 高齢化が進む当市であっても、やはり5年以内には減少に緩やかに推移していくのではないかという見通しをおっしゃいました。
 さらに需要が高まるのではないかということに関しては、そのようなお答えであったということです。
 次に、75歳以上の親の介護のために、他県から子供さんがUターンしてきた場合に、それまでは高齢者外出支援事業でチケットをもらえていた方が、その息子さんが非課税ではなかったためにチケットの対象外になってしまったということで、ただしその世帯には車がないので、このチケット欲しい、どうしてもらえないのかという御相談がありまして、このような場合、Uターンしてきた息子さんというのはよくあるパターンではないかと思います。このような場合、その世帯に車がなかったら、やはりこのチケットはもらえるように条件を緩めていくべきではないでしょうか。
 また、もう一つのパターンとしては、親子が一緒に住んでいても世帯分離しているという場合、一般的には世帯分離の場合は別と見られることが多いですけれども、こういう方にも条件を緩めるということも検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(樋田 都君)  市民福祉部長。
○市民福祉部長(福岡勝明君)  お答えします。
 高齢者外出支援制度の対象者につきましては、65歳以上の方のみで構成される住民税所得割非課税世帯に属する75歳以上の高齢者としています。
 世帯状況につきましては、原則、住民基本台帳で確認しておりますが、住民基本台帳と生活実態が一致していない方がおられるため、民生委員に意見を求め、生活実態に即した公正公平な対応ができるよう努めています。
 当制度が開始されて以降、これまでにも「65歳未満の方と同居している場合でも支給対象としてほしい」などの御要望をいただくことがありましたが、同居実態がある以上は、世帯分離されていたとしても同一世帯とみなし、支給対象外としています。
 市としましては、交通弱者である高齢者がこの制度を利用し外出機会を増やすことで、介護予防、健康寿命の延伸につながるものと考えていることから、今後も民生委員の協力を得ながら、公正公平な制度の運用に努めていきたいと考えています。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  高齢者の外出のきっかけづくりということが目的にうたわれているんですけれども、閉じ籠もっている高齢者をなくし、外に出かけるきっかけをつくる目的でこの事業が始まったということは理解しているんですけれども、本当にこれを必要としている世帯が、車がないのにもらえないということで、ここを変えてほしいという声は結構聞こえます。
 本来の目的、高齢者の外出のきっかけづくりが目的であるなら、ここを改善することも今後検討すべきではないかと思います。費用としては1,500万円程度で、今後も同じくらいか緩やかに減っていく見通しということで、65歳以上の非課税ではなくても車がない世帯というのはそれほど多いわけではないと思いますので、財政的にもそれほど負担が増えるわけではないと思います。ですので、ぜひこの件御検討いただけないかと思いますが、いかがですか。
○議長(樋田 都君)  市民福祉部長。
○市民福祉部長(福岡勝明君)  車のあるないについてとか、非課税かどうかということについてなんですけれど、現状は今、民生委員に生活実態のほうを把握していただいております。例えば、住民票が同一世帯であったとしても、住民票だけ置いていって生活実態がない場合、単身の場合は認めるようにしております。
 ですので、車の実態については、現状そのようなことはしておりませんが、今後の検討課題としたいと思います。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  高齢者外出支援事業のチケット、使いたいという場合に使えないというのは、非常に市民にとっては改善してほしいという声をよく聞きます。
 平成14年につくられた制度ですが、これについてもう少し、高齢者が免許を手放して、最初だけ免許返納のチケットもらえますけれども、1回限りではやはり免許を手放そうという動機には弱いんじゃないかと思います。
 高齢者になって運転に自信がなく車を手放した世帯、それからもともと車がない世帯、そういう方にとってはタクシーに乗るのにこのチケット使いたいというのは要望が強いです。ぜひもう一度、使いたい人の声をよく聞いて見直しをしていただきたい、そのことを強く要望したいと思います。
 最後に、高齢者外出支援事業からさらに進んで、東京などでは「高齢者パス」「敬老パス」などと呼んでいる交通支援事業があります。そこに住んでいる住民の方で全員に申込みをすれば公共交通、主にバスに乗るときに実質無料になるというものです。非課税世帯、所得が135万円以下の方は1,000円を払ってそのパスを購入する。それ以上の方は2万円ほど払って、バスに乗るときに提示すれば無料になると、そういうものですけれども、例えばこういうものとか、高齢者の外出支援を支援するような、非課税に限らず、市民が高齢者であれば使えるような、こういうものをぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(樋田 都君)  市民福祉部長。
○市民福祉部長(福岡勝明君)  お答えします。
 高齢者外出支援事業は、市単独事業であり、予算は年間約1,500万円と多額であること、また県内の一部の市で実施している高齢者外出支援事業と比較しましても十分な内容であると考えていることから、新たな予算を伴う制度の変更等については、現在のところ予定していません。
 当面は、高齢者の社会参加の促進及び在宅福祉の増進等に寄与することを目的とする高齢者外出支援事業を継続し、利用者の御意見や他市町の状況を参考にしながら、よりよい制度となるよう努めていきます。
 以上です。
○議長(樋田 都君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  年を取っても車がなくてもこの八幡浜市に自由に外出して出かけていって社会参加をする、こういうことをよりやりやすくするという意味で、この高齢者外出支援事業のさらなる使いやすさ、対象になる方を少しでも増やしていただきたいという要望です。
 そのような町であれば、移住者にとっても、高齢者にとっても魅力的な町になると思います。ぜひこういったことも踏まえて御検討いただきたいと強く求めまして、私の質問を終わります。

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