公開日 2025年09月10日
〔遠藤 綾君質問席へ移動〕
○遠藤 綾君 おはようございます。遠藤 綾でございます。
私は、大綱2点について質問いたします。理事者の皆様には、市民の皆様に分かりやすい誠意ある答弁をお願いいたします。
まず、大綱第1「再生可能エネルギー普及と洋上風力発電の可能性について」であります。
長崎県の西方100キロメートルに位置し、152の島々で構成される五島列島、その南西部に位置する五島市では、浮体式洋上風力発電や太陽光発電を推進し、現在市内の電力需要の60%を再生可能エネルギーで賄える能力を持つとのことです。五島市は人口約3万3,000人ということで、当市より少し多いほどの人数であります。
東京電力福島第一原発事故が起きた2011年に、五島市は環境省による日本初の浮体式洋上風力発電の試験地に選定されます。2013年に1基(出力2メガワット)が実証実験を開始、2016年から商用運転が始まり、現在も運転中です。
それに加え、2026年1月からは、新たに8基が完成し、商用運転が開始する予定とのことです。これにより、市内の電力需要の80%を賄える発電能力になるとのことです。
また、浮体式洋上風力発電の建設には、準大手ゼネコンである戸田建設など、大手企業が出資する合同会社である五島フローティングウィンドファームというところが建設していますが、そのままでは地元は海を貸すだけで、利益は全部東京や大阪に流れていくのは面白くない、発電で生まれるお金を地元に残したいと、地元の経済界や漁業者、行政の連携で市民電力を立ち上げ、市内53の企業、団体、個人が出資して設立し、売電にも取り組み、地域密着の経営を行っているとのことです。
この浮体式というのは、海底に固定するのではなくて、海の上に浮いたような浮体式のものをつくって、そこに風力発電を設置するという発電方法です。
この浮体式洋上風力発電設備の製造は、当初長崎県本土で行う計画でしたが、それでは五島市のプラスにならないと、五島市内に建造拠点を誘致し、コンクリートや建造に必要な資材など市内で調達、風力発電の運転管理も市内の企業を採用、それによって新たな雇用が生まれています。
ただ、市民電力の市内における契約シェア率は、まだ20%程度で、依然として九州電力との契約が多いため、市民の再エネへの理解を広げ、今後100%を目指しているとのことです。
そして、さらに大規模なものをたくさん設置できれば、市の需要をはるかに超えて市外へも売電することが可能ということで、こちらも目指しているとのことです。
また、当初は風車による振動や騒音などによる漁業への影響について心配する声もありましたが、実証実験では、漁に与える影響がほとんどないことが分かりました。
そして、設置された浮体の下にはびっしりと海草やサンゴがついて、そこに小魚が集まり、それを狙って大きな魚が集まってくるようになった。浮体が魚礁のような効果を発揮していることが確認されたとのことです。
近年この五島の海でも地球温暖化の影響で磯焼けが広がっています。15年前には豊富に生えていたヒジキやワカメがほぼ全滅している状態とのことで、藻場がなくなり、稚魚の育成場所が失われた。地元の漁協では、この新しく設置される8基の風車の下を魚が育つ新たな海洋牧場にしたいと期待を込めているとのことです。
当市におきましても、磯焼けによる魚の漁獲量が減っていることが問題になっております。これも一つの解決の一助ではないかと思います。
そしてまた、五島市では、2020年にゼロカーボンシティ宣言を行い、2050年までにCO2の排出を実質ゼロにする計画を2023年に立てています。2030年までに2013年比の半減に、2050年までに実質ゼロにするというものです。
2023年にそれまであった地球温暖化対策と再生可能エネルギーの2つの協議会を統合し、五島市ゼロカーボンシティ実現協議会を設立、市と商工会議所、3つの漁協、農協、町内会などの地域団体が参加し、この協議会では、市民や若い世代への理解を広げるために、保育園や学校での紙芝居の出前講座も行っているとのことです。
ここまで五島市のこの取組を見てきましたが、当市においてもこのような取組が取り入れられるものがないか、伺いたいと思います。
まず、当市でもゼロカーボンシティ宣言をしていると思いますが、現在どのような取組をされて、どう実現していこうとしているのか、伺います。
○議長(佐々木加代子君) 市長。
○市長(大城一郎君) 本市は令和4年、2022年6月にゼロカーボンシティ宣言を行い、2050年までに温室効果ガスの排出量を全体として実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを表明しました。
ゼロカーボンシティ八幡浜を実現するために、市の事務事業に関して、脱炭素化を推進する第4次地球温暖化対策実行計画(事務事業編)、市域全域の脱炭素化を推進する地球温暖化対策実行計画(区域施策編)のそれぞれの計画を令和6年3月に策定したほか、令和7年3月には、環境行政の最上位計画である第2次八幡浜市環境基本計画、エネルギー施策の方向性を示す第2次八幡浜市地域エネルギービジョンを策定しました。
こうした各種計画に基づき、県と連携した、えひめ太陽光発電設備等共同購入事業など、再生可能エネルギーの導入促進に注力するとともに、家庭向けの蓄電池、電気自動車等を対象とした新エネルギー設備等導入補助事業、事業者向けの省エネ診断支援補助事業の実施など、家庭や事業所における省エネルギー化も推進しているところです。
また、環境イベントへの参加や脱炭素に関連した講演会の実施、市民、事業者及び児童向けの啓発冊子の作成など、市民への意識啓発にも取り組んでいます。
さらに、今年度は、行政、商工、金融機関等を核として、市民、民間事業者が広く参画できるゼロカーボンシティ実現に向けた共同事業体、いわゆるコンソーシアムの立ち上げを目指しており、多様な主体との協働により取組を強化していく予定です。
これらの施策を総合的に展開するとともに、国が推進する第7次エネルギー基本計画や愛媛県の動向も踏まえ、さらなる施策の検討を進め、ゼロカーボンシティの実現に向けて取り組んでいるところです。
○議長(佐々木加代子君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 県との共同購入などで新エネルギーの補助事業なども進めているなど、それからゼロカーボンシティのコンソーシアム、共通の目的のために複数の組織が協力する共同体、そのようなものも立ち上げる予定ということで、進めていただきたいなと私も期待しております。
温暖化対策の世界的枠組みであるパリ協定では、産業革命前の比で1.5度の上昇に抑えることを目標とされました。実際、1.5度以下に抑えることで気候変動の影響を回避できると言われています。
しかし、国連の気候変動に関する政府間パネルの2021年の報告書によれば、世界の気温は既に1.1度上昇したことが分かっています。
さらに、国連の世界気象機関は、2022年から2026年の間に1.5度以上上がる可能性が50%近いと発表しています。
日本でも既に異常気象の影響が、ゲリラ豪雨災害や海水温の上昇による海洋環境の変化など、様々に出ています。
私たちに残された猶予期間はそれほど残っていないのかもしれません。ぜひ当市におかれましても、あらゆる可能性を酌み尽くして、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
先ほど紹介した五島市では、市内の太陽光発電は600か所、発電容量は53メガワット以上とのことです。
当市において再エネの普及状況を伺います。
特に、太陽光発電の普及はどの程度進んでいるのか、伺いたいと思います。
○議長(佐々木加代子君) 生活環境課長。
○生活環境課長(岡本正洋君) お答えします。
再生可能エネルギーの普及状況について、資源エネルギー庁の「再生可能エネルギー電気の利用促進に関する特別措置法情報公表用ウェブサイト」によると、本市における発電を伴う再生可能エネルギーの利用設備の導入実績は、太陽光発電設備のみとなっています。
その導入量は、2024年3月時点で、住宅が2,996キロワット、事業所が2,667キロワット、合計5,663キロワットとなっており、ここ数年、毎年200キロワット程度増加しています。
以上です。
○議長(佐々木加代子君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 この八幡浜市でも事業所、住宅ともに年々増えているということです。
この太陽光発電、以前よりは安くなっていますが、まだまだ高額だと思います。私も住んでいる家の屋上に太陽光の設置を検討するために見積りを取ったことがありましたが、業者によって使用するメーカーや発電見込み量に大きな違いがあり、金額も100万円から200万円台と様々でした。ぜひ八幡浜市単独でも補助事業をやってほしいと思いますが、今、国や県の事業と連携する形で取り組んでいるということですので、今の事業をより多くの人が利用しやすいように、周知や説明にさらに力を入れてほしいと思います。
先ほどの五島市では、商工会議所を中心に、市内の企業や事業所で使用する電力の100%を再エネで賄うことを目指しています。かまぼこなどの水産加工業者において、五島産の電気を100%使用していることが、商品の買い付けをするバイヤーに評価され、取引につながった事例が生まれているとのことです。
当市では、ミカンを使ったマーマレードを今後全国にアピールしようとしていると思いますが、そこに再エネの市民電力を持つ町というブランドイメージをつけることで、さらなる付加価値をつけることが可能になるのではないかと思います。
また、この地域の自然を生かした発電のため、今後、海外で戦争やパンデミックが起こった際も、輸入状況の悪化で電気が値上がりするなどの悪影響を避けることもできます。地域循環型の経済で市の活性化にもつながります。魚の魚礁にもなるというので、漁業への好影響も期待できるということで、すばらしい取組だなと思います。
すぐには難しいと思いますが、この再エネのより一層の普及と浮体式洋上風力発電も含めた再エネによる市民電力、これを持つことを長期的ビジョンで研究していってほしいと思っておりますが、いかがでしょうか。
○議長(佐々木加代子君) 副市長。
○副市長(菊池司郎君) 再生可能エネルギーの普及は、環境負荷の低減やエネルギー安全保障の観点から重要性を増しており、国の第7次エネルギー基本計画においても、再生可能エネルギーの主力電力化を徹底し、地域との共生と国民負担の抑制を図りながら、最大限の導入を促すこととされています。
本市においても、その導入促進に取り組んでおり、特に太陽光発電は市街地を中心に導入ポテンシャルは高くなっています。
一方、洋上風力発電については、初期投資額が膨大であり、また適地選定、漁業権や航路への影響、景観への配慮など、解決すべき課題が多く、市単独での導入は困難な状況ですが、国は洋上風力発電を再生可能エネルギー拡大の柱に位置づけており、導入促進に向けた区域の指定や環境アセスメントの手続の迅速化などを進めています。
また、愛媛県では、洋上風力発電市場への参入を促すため、令和6年度に愛媛県洋上風力産業振興コンソーシアムを立ち上げており、本市としましても、国や県の動向を注視してまいります。
2050年ゼロカーボンシティ実現に向けて、重要な位置づけとなる再生可能エネルギーの普及促進に取り組む中で、市民電力の在り方、エネルギーの地産地消、地域経済の活性化など、様々な検討課題がありますが、市民や事業者と連携しながら、地域全体で持続可能なエネルギー社会の実現を目指してまいります。
以上です。
○議長(佐々木加代子君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 国も県もこの洋上風力位置づけているということで、今後の動向を見守っていくということですが、この浮体式というのは、景観や自然環境の悪影響も少ない実証もされておりますし、騒音なども遠く離れているので住民にも影響が少ないのではないかと思います。そして、場所を選ばないということで、いろいろな場所でできるんじゃないかと、私などは期待しております。可能性を含めてより検討していっていただきたいと思います。
今、洋上風力言いましたけれども、それ以外にも、住宅において省エネ、そしてエネルギーをつくることで年間のエネルギー収支を正味ゼロもしくはマイナスにする住宅、ZEHと言うそうですが、これを公的施設にも広げるZEBということが推奨されるとしておりますが、さらに市内で使うエネルギー自体も市内の自然環境を生かした再生可能エネルギーで賄えるように、そんな循環型社会をつくっていくことで経済も雇用も人も新たに増やせて、八幡浜の電力は八幡浜の自然でつくられています、その電気を使って事業をやっています、これが商品ですと胸を張れるような八幡浜市になるような、そんな社会、よそでは実現している町があるわけですから、ぜひ可能性を追求していってほしい、いくべきだと思います。
予算がかかるので、1市だけではできないというのも分かります。しかし、それが、魚が減り、漁獲高も漁師も減ってしまった当市にとって、新たな産業を興し、人を呼び込む起爆剤にもつながります。原発のない社会にもつながっていくと思います。そのような未来を実現するために、もっと私もできることをしていきたいと思いますので、市としても一層の御努力をお願いいたしまして、次に移ります。
次に、大綱第2「物価高騰で苦しむ市民の暮らしを支える温かい市政を」ということであります。
今、日本では、働く人の実質賃金が3年連続マイナス、物価高騰で可処分所得も実質的に下がり続けています。お米の値段の問題だけでなく、全てのものや電気代、サービスにも及び、暮らしが大変になっています。市民の現状と対策について質問いたします。
まず、市民の現状について、市民の暮らしぶり、今市民の現状がどうなっているか、直近の数字でお答えください。
○議長(佐々木加代子君) 税務課長。
○税務課長(二宮万裕美君) お答えします。
令和6年度の市民税、県民税の課税所得が発生している人数は、令和7年6月1日時点で1万3,551名、総額は225億8,983万5,000円となります。
所得金額ごとの内訳は、100万円未満の人数が6,331名、全体の46.7%、100万円以上200万円未満が3,756名、全体の27.7%、200万円以上300万円未満が1,628名、全体の12%、300万円以上400万円未満が956名、全体の7.1%、400万円以上が880名、全体の6.5%となっております。
以上です。
○議長(佐々木加代子君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 ありがとうございます。
今、市がつかんでいる指標としての令和6年度の課税総所得、年収から各控除を差し引いた額になると思いますが、こちらをお答えいただきました。
100万円未満が約46%、100万円から200万円未満が約27%、合わせると約7割の方が200万円未満であるということです。
市民の中でも多くの方が200万円未満の所得で、この物価高の中、とても御苦労されている姿が見えるのではないかと思います。
次に、物価高に苦しむ市民の暮らしを応援する対策について伺います。
子育て世代で生活に苦しむ市民への対策として、例えば就学援助金の対象者をもっと広げてはどうかと思います。
この就学援助金は、経済的理由で小学校や中学校への就学が困難な家庭に対して、学用品費や給食費などの一部を援助する制度です。
就学援助の基準が、当市は現在、生活保護基準の1.3倍の所得以下が対象ですが、直近の受給者数、対象になる所得額についてお答えください。
○議長(佐々木加代子君) 学校教育課長。
○学校教育課長(萩森久人君) お答えいたします。
直近の受給者数につきましては、令和7年5月現在において、就学援助の受給者数は216名です。
就学援助は所得のみで判断するものではございませんが、例えば父、母とも30代、小学生と未就学のお子さんがいらっしゃる4人家族ですと、就学援助の対象となる所得額はおおよそ250万円くらいが目安となります。
以上です。
○議長(佐々木加代子君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 これはあくまで本人が申請をして受給認定された方の人数で、対象になる方はもっと多いかもしれないと思っております。世帯の条件によっても対象になる所得が変わるため、事例を挙げていただきましたが、当市が現在、生活保護基準の1.3倍まで対象ということで、この枠の少し上あたりの方が最も苦しいのではないかと思います。
同じ南予でもこれを拡大しているところがあります。例えば、宇和島市では生活保護基準の1.4倍以下、内子町では1.5倍以下まで対象者を拡大しています。
この就学援助の対象を1.4倍、1.5倍に拡大すれば、それだけ対象者が増えて、助かる方が増えます。この物価高の中で、当市でも対象者の拡大を検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○議長(佐々木加代子君) 学校教育課長。
○学校教育課長(萩森久人君) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、本市の就学援助の基準よりも高い基準を設定している自治体もございますが、本市の基準は県下市町のほぼ平均値でございます。
今後も他市町の状況を勘案しながら、関係部署とも連携し、検討していきたいと思います。
○議長(佐々木加代子君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 県内の平均値ということですが、1.3倍から1.4、1.5と拡大することで、今対象の方よりももう少し所得が多い方も対象になり、その支援が受けられていない人がそれだけ助かるということで、同じ南予でもやっていますし、市が決断すれば、市長が決断すればできるわけです。物価が上がり、所得が低い世帯は今とても大変です。これだけ子供が減っている中で、額としてもそれほど多くないのではないかと思います。子育て世帯を応援する意味でもやるべきだと思います。市長どうでしょう。ぜひやっていただきたいんですが、いかがですか。
○議長(佐々木加代子君) 市長。
○市長(大城一郎君) 今、少子化、人口減の中で、子育て対策いろいろとやっていかなければならないと思っていますが、今国でも、国を挙げて少子化対策取り組んでおりますので、国の動向を見ながら、市がどのようなことをすればもっとよくなるかを考えながら、少子化対策、子育て施策、取り組んでいきたいと思います。
○議長(佐々木加代子君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 国の動向を見ながらということですが、ぜひこれはやっていただきたいと強く要望したいと思います。7割が所得の低い状態で物価高騰である大変な中、少しでも対象を広げること、大きな支援になると思いますので、御検討をよろしくお願いいたします。
そして次に、市内の各地で乗合タクシーの運行が進んでいます。今実現している地域、高野地や双岩、川之石以外にも、バスの停留所から離れた場所に住む市民、特に高齢者や車を持たない人が外出しにくい状態になっています。
例えば川之内の上のほう、そして五反田湯島の奥など、バスの運行がない地域で乗合タクシーの実現をしてほしいとの声を聞きます。
また、現在、乗合タクシーが運行している地域でも、運転手の人手不足が言われていますが、高齢化で地域の力も弱まっている中、地域任せにせず、市が率先してタクシー会社と連携し、市内のどの地域でも乗合タクシー、希望すれば予約することができるようにできないか、これを伺いたいと思います。
○議長(佐々木加代子君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) お答えします。
本市では、現在バス路線の廃止に伴う代替交通手段の確保として、双岩地区、津羽井・高野地・古谷地区、保内町川之石地区及び宮内の一部地区において、デマンド型の乗合タクシーを導入しております。
乗合タクシーは、運行するルートと時間が決まっており、1時間前に予約が必要なため、通常のタクシーと比べて手間はかかりますが、利用者からはおおむね好評で、人口が減少する中においても利用者数は一定の水準を維持しております。
新たな移動手段の導入に当たっては、地域住民の利便性の向上だけではなく、厳しい経営環境の中で、公共交通の維持に向け努力していただいている既存のバス事業者やタクシー事業者と共存共栄が図れるシステムでなければならないと考えています。
そこで、市としては、バス路線が廃止された地区に限り、乗合タクシーを導入することで、既存の事業者への民業圧迫とならないようにしてまいりました。
議員が言われるとおり、現在、乗合タクシーを導入していない地域においても、高齢者などの移動手段の確保が課題となっていることは承知しております。
しかしながら、タクシー会社では運転手不足が深刻になっているほか、市の財政にも限りがありますので、サービス重視で乗合タクシーの運行地区を無条件に拡大することは、結局は長続きしない可能性があり、現実的ではないと考えております。
本市では、国土交通大臣表彰を受賞した「にこにこ日土」のような全国的にも注目されている先進事例もございますので、それぞれの地域に合った方法を検討していきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(佐々木加代子君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 民業圧迫にならないように、既存のタクシー、バスとの共存共栄、それから運転士不足、財政、そういう課題があるということは私も理解しております。
ただ、こういうことをよそではやっていることも事例も聞きます。アプリを使って登録、予約をしていくというようなやり方で成功しているところもあると聞きますので、今後またさらに検討をお願いしたいと要望したいと思います。
現在、高齢者の外出を支える支援事業として、タクシー、バスなどで使えるチケットの支給の事業があります。年間1万3,200円、片道500円使ったとしても往復1,000円で、年に13回のチケットです。もらえる方は非常に助かっていると聞きます。
さらに、フジのお買物の車両が地域まで来てくれるようになり、以前よりもお買物が便利になり助かっているということで、一定の改善もあります。
しかし、病院に行くためにはやはり地域の奥に住んでいる方も外出しなければならず、バスの停留所までが遠く、そこへ行くまでが大変で、なかなか足が出なくなっているということが現実としてあります。
これを解消するためには、やはりこのデマンドタクシーという方法をもっと柔軟に運用して、今やっているところ以外にも対象を拡大していく必要がやはりあるのではないかと思いますので、さらなる改善を求めたいと思います。
次に、市内の公共交通会議について伺います。
この市内の公共交通会議、現在どのようになっているか、伺います。
○議長(佐々木加代子君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) お答えします。
本市では、公共交通政策の方針を明確にし、持続可能な公共交通体系の構築を図るため、平成25年1月に八幡浜市地域公共交通会議を設立しました。
会議には、交通事業者のほか、愛媛県バス協会や愛媛県ハイヤー・タクシー協会の代表者、地域住民、交通事業者の労働組合の代表者、四国運輸局愛媛運輸支局、道路管理者、警察署、学識経験者といった幅広い層の方々に委員として参画していただいております。
会議におきましては、地域公共交通計画に基づき、「わかりやすく、使いやすい」「みんなが知っている」「これからも使い続けられる」公共交通を目指して、机上の議論だけでなく、現地視察や乗車体験なども行っております。
また、昨年度は、利用促進の一環として、対象者の特性に応じた公共交通利用や楽しいお出かけの機会創出を行えるアドバイザーを養成するため、国の補助金を活用して、お出かけアドバイザー養成講座を開講し、受講されました市民をはじめ、事業者や行政機関の職員、交通会議委員など合わせて15名の方がアドバイザーとして認定されました。
今年度は、交通会議での意見を踏まえまして、JR八幡浜駅前バス乗り場の配置の見直しや、市中心部のバス運行経路及びバス停の名称の見直し、主要施設における公共交通の案内看板整備といった事業を、バス事業者と協力しながら進めているところです。
公共交通は、市民の皆様の生活を支える重要な基盤であり、持続可能なまちづくりに欠かせないものです。
今後も交通会議の委員や市民の皆様とともに知恵を出し合い、連携を深めながら、地域の公共交通を将来にわたって維持確保できるよう、全力を尽くしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(佐々木加代子君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 公共交通会議での様々な方々が参加しての取組、看板などの表示を分かりやすくすることなど、御努力されているところだということで、よく分かりました。私もできることに取り組んでいきたいと思います。
次に移ります。
市民の多くの方から、以前より暮らしが大変になったとの声を聞きます。特に国民年金のみで暮らしている方、夫婦2人12万円で何とか暮らしていたが、連れ合いを亡くして暮らしが今本当に大変になったとおっしゃっています。1万円を持って買物に行っても、今までは3回買物に行けたが、今は2回に減っている。同じものを買ってもお金の減りが本当にすごいとおっしゃっています。年金から国保や介護のお金を引かれ、水光熱費を引くと少ししか残らない。本当に大変だということです。
特に冷房費、ぎりぎりまで節約し、なるべく使わないようにしている。これから夏に向けて本格的に暑くなってくると熱中症が心配だ、電気代も水道代も上がったら暮らしていけないとの声を聞きます。
今年の夏も暑くなることが予想されます。市として低所得者のエアコン補助1人5万円の10件分で50万円の予算や、熱中症を予防するためのクーリングシェルターとして、スーパー、フジや公的施設の開放を行っているということですが、エアコンの使用が増える夏に向けて、この電気代の補助として現金給付を検討してはどうか。約1万5,000世帯としても1億5,000万円ということです。商品券ではなくて現金を給付してほしい。直接振り込むのが一番早くて安上がりだ。貯蓄に回す心配があるというが、暮らしに困ってる人ほどすぐに使う傾向があると思います。この電気代の補助についていかがお考えでしょうか。
○議長(佐々木加代子君) 政策推進課長。
○政策推進課長(松良喜郎君) お答えします。
令和7年度予算として計上した物価高騰対策としては、燃料価格の高騰により深刻な経営状況にある交通事業者に対し、車両保有台数に応じた額の補助金を交付する「交通事業者燃料価格高騰対策支援事業補助金」、水産資源の減少に加え、燃料価格の高騰によって厳しい状況が続いている水産業を支援する「漁業者支援事業費補助金」、給食食材の価格高騰により影響を受けている民間保育所や幼稚園、そして八幡浜市学校給食会に対して補助をする「給食食材価格高騰対策支援事業」などに総額約1億円を計上しました。
当初予算に計上した事業は、主に経済対策・事業者支援に関する事業ではありますが、生活者支援としては、令和6年度の繰越事業として、3月から5月まで使用可能な一人当たり1万円の商品券を配付した「やわたはま生活応援商品券事業」や、令和6年度住民税均等割非課税世帯に対し、一世帯当たり3万円と当該世帯において扶養されている18歳以下の児童一人当たり2万円を支給する「住民税非課税世帯支援給付金給付事業」を実施しました。
また、今議会には、「定額減税補足給付金支給事業」を計上しているところです。
熱中症対策の一環で、冷房代として全世帯に1万円を現金給付してはどうかとの御提案をいただきましたが、先ほど御説明しましたように、5月末まで一人当たり1万円の商品券事業を実施してきたところです。
生活者への支援については、現時点で具体的に決定しているものではありませんが、これまで同様、市民からの声を十分お聞きしながら、時期を逸することなく必要な対策を講じていきたいと考えています。
しかしながら、生活者支援は対象者も多く、予算規模も大きくなります。現在、国民一人当たり一律2万円、子供・低所得者には上乗せという現金給付案を検討しているとマスコミ報道もあり、今後も国・県の動向を注視し、国の臨時交付金などの活用も考えながら必要な施策を検討していきたいと思います。
以上です。
○議長(佐々木加代子君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 今おっしゃられたように、国もまた物価高騰対策の検討をしているということです。ぜひ夏の猛暑の前に少しでも市民の方に支援が届くように、さらに重ねて現金での給付をお願いしたいと強く要望したいと思います。
次に、ふるさと納税の寄附額が当市において増えています。30億円になったと聞いております。
市民から、このふるさと納税は一体何に使っているのか、分かりやすい形で市民に還元してはどうかという声をよく聞きます。
そこで、お尋ねします。
経費を差し引いた実質収入はどれくらいになるのか、お尋ねしたいと思います。
○議長(佐々木加代子君) 政策推進課長。
○政策推進課長(松良喜郎君) お答えします。
ふるさと納税の募集に要する経費には、返礼品の調達費用や運送料、インターネット広告、クレジットカード決済の手数料、返礼品をポータルサイトに掲載するための運営事業者に対する委託料などがあります。
令和5年度の寄附金額は23億423万9,000円、費用は11億5,690万6,000円であり、寄附金額から費用を差し引いた実質の収入は11億4,733万3,000円です。
令和6年度の寄附金額は30億9,422万5,000円、費用は14億645万6,000円で、実質収入は16億8,776万9,000円です。
以上です。
○議長(佐々木加代子君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 やはり30億円入ったといっても、その費用にかなり差し引きますので、約半分程度になるということ、よく分かりました。
それで、その使い道について伺いたいと思いますが、直近の事例でどのように使われていますか、伺います。
○議長(佐々木加代子君) 政策推進課長。
○政策推進課長(松良喜郎君) それでは、令和6年度はまだ出ておりませんので、令和5年度の使い道について答弁します。
寄附金の使い道については、本市では寄附申込みの際に、寄附者に「教育」「福祉」「医療」「産業」「市長におまかせ」の5つの分野の中から希望する使い道を選んでいただいているところです。
寄附金の割合としては、市長におまかせが約60%、教育分野が約19%、産業分野が約8%、医療分野が約7%、福祉分野が約6%となっています。
なお、市長におまかせについては、寄附者からの使い道の指定がないため、市長の判断により、教育、福祉、医療、産業の4つの分野の中で必要な事業に対し適切に振り分けて使わせていただいているところです。
具体的な活用方法については、市のホームページにも掲載していますが、令和5年度で説明すると、農産物加工施設保守業務、有害鳥獣駆除補助金、世界マーマレード日本大会開催補助金、みかんアルバイター確保緊急支援事業補助金、漁業者支援事業、中小企業振興資金対策補助金などの産業分野に約8億7,000万円。市立病院運営経費の医療分野に7億3,100万円。語学指導などを行う外国青年招致事業、教育支援室事業、学校教育活動指導員・学校生活支援員の経費、小・中学校の通学支援や運営費などの教育分野に約5億2,800万円。病児・病後児保育事業、児童センター運営費、保育所運営費の福祉分野に約1億7,500万円を充当しています。
以上です。
○議長(佐々木加代子君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 どれも大事な事業であり、それについてとやかく言うことはしませんけれども、どのように使うかということは市民が本当に注目しています。県下で一番のふるさと納税、自分たちの暮らしを支えるために使ってもらえないかという意見があります。
今言った様々な形で有効に使われているとは思うのですが、市民の暮らし応援のために使えないか、ぜひ検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(佐々木加代子君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) お答えします。
ふるさと納税による実質的な収入は、決算をすれば全て必要な事業に充当されており、余裕財源としてあるわけではございませんが、物価高騰の中で市民生活を守るために必要と判断した場合には、財政調整基金を取り崩してでも実施する考えでおります。
なお、先ほど政策推進課長からありましたように、今は物価高騰対策のために全国民に対して実施される新たな給付金の話も出ておりますので、その動向を注視してまいりたいと思っております。
以上でございます。
○議長(佐々木加代子君) 遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君 まとめます。
先日、八幡浜市で国内初の魚肉ソーセージを開発してこられ、70年以上たっている食品製造業者が、今年8月で生産を停止し、年内をめどに自主廃業することが報じられました。
その理由として、燃料や原材料の高騰で利益確保が難しくなったことが理由と上げられています。長年の事業を続けてこられた事業所にとっても、この物価高騰は大きな影響を与えているということです。
今年の夏には参議院選挙が行われる見込みですが、日本共産党は最も有効な物価高騰対策として、消費税の廃止を目指し、緊急に5%に減税することを求めています。
消費税を5%にすれば、平均的な勤労者世帯で年間12万円の減税になります。所得税、住民税の非課税の方も、子供からお年寄りまで誰もが減税になります。食料品を非課税にした場合の6万円弱と比べても、一律5%にすれば2倍の減税効果があります。税率を一律5%にすれば、小規模事業者やフリーランスを苦しめているインボイス制度の口実もなくなり、インボイスを廃止することができます。
その財源をどうするのか。日本共産党は、大企業富裕層への減税、優遇税制を正すことを柱に、恒常的な財源を提案しています。
政府も、これまで効果がなかったと国会答弁で認めてきた安倍政権以来繰り返されてきた大企業の減税、これは賃上げにも設備投資にもお金が回らず、株主の配当や内部留保を増やしただけの結果でした。
この大企業優遇の減税ばらまきをやめて、最も効果がある消費税減税の財源にすることを求めています。
赤字国債の発行では、一時的な財源にはなりますが、恒常的な財源にするには、投機マネーがひしめく金融市場で大量に売買される商品となっており、リスクがあります。国債増発で金利が急騰すれば、住宅ローンにも連動し、暮らしや営業にも影響します。
政府は、消費税は社会保障の財源のためとずっと言ってきましたが、もともと社会保障の財源だった所得税や法人税が置き換えられただけであり、社会保障は増えていません。むしろ減らされてきています。事実上、大企業や富裕層への減税の財源となってしまっています。これを正していけば、消費税減税の財源は生み出せます。
日本共産党はこれを何十年も言い続けていますが、最近ほかの野党も、自民党からも消費税の減税案が出てきております。
物価高騰対策への最大の対策は消費税の減税だと思います。
これは国政のことですが、当市におかれましても、苦しむ市民を少しでも支援するために、夏に向けての支援策をぜひ実施すべきと思いますので、そのことを強く求めまして質問を終わります。