公開日 2025年12月09日
〔攝津眞澄君質問席へ移動〕
○攝津眞澄君 おはようございます。
通告書に従いまして、大綱2点について質問させていただきます。理事者の皆様におかれましては、市民に分かりやすい答弁をよろしくお願いしたいと思います。
それでは、大綱1「市民にわかりやすい災害避難場所掲示板等の設置について」です。
八幡浜市は海と山に囲まれた自然豊かな町ですが、南海トラフ地震による津波、急峻な地形による土砂災害、近年各地で頻発する集中豪雨による洪水など、複合的な自然災害リスクを常に抱えております。
公表された南海トラフ地震における八幡浜市の新たな想定では、最大震度6強、30センチ以上の浸水は58分後に始まり、その浸水面積は前回より12ヘクタール減の455ヘクタール、八幡浜港では前回より0.4メートル減の8.7メートルの津波が72分後に到達するとされており、全体として以前の想定に比べ減少傾向を示しております。
しかしながら、まだまだ対策は万全とは言えず、現在の防災標識の状況を見ますと、海抜表示板や災害種別ごとの標識の設置が不十分であり、緊急時に市民が混乱する要因となっております。
災害時に命を守るための基本は、瞬時の避難行動であります。そのためには、自分は今どこにいて、どこへ逃げればよいのかが一目で分かる情報が必要不可欠です。
まず最初に、現状認識と課題についてお伺いいたします。
市内の防災標識や避難場所掲示板について、市民の皆様から様々な御意見をいただいておりますが、これらを効果的に活用するためには、まず現状の正確な把握が必要であると考えています。
そこで、現在、市内に設置されている防災標識や掲示板の種類と設置場所、また整備状況に関する認識と課題についてお伺いいたします。
○議長(菊池 彰君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) お答えします。
本市が整備した防災に関する表示板としては、海抜表示に関するものが259か所、津波一時避難場所及びその避難経路に関するものが300か所、避難所に関するものが72か所、津波避難ビルに関するものが38か所あり、このほかに日本宝くじ協会の助成事業で設置したものがございます。
今後の課題としましては、これらの表示板が設置されていることに対しまして、市民の認知度を高めていくことや、洪水、土砂災害、津波、地震などの災害種別によって避難所が異なることを市民に周知していく必要があると考えております。
そのため、今後は防災訓練などの機会を通じてこれらのことを繰り返し周知していくとともに、市としましても、その表示板を見たら災害種別による避難所利用の適否が分かるようにしていくなど、市民に分かりやすく示す方法を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(菊池 彰君) 攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 御答弁では、市内の避難所等、多くの表示板が設置されているということでした。
しかし、中には避難所近くに別の避難所の誘導の掲示があり、どちらに行けばよいのか分からないと市民から声が上がっています。設置場所の重複や混乱を招く表示については、再度点検をお願いしたいと思います。
次に、現況調査とデータ管理についてです。
先ほど防災標識や掲示板の状況をお伺いしましたが、これらの管理方法、また市民の皆様にさらに効果的に活用いただけるよう、GIS(地理情報システム)等デジタル技術を活用し、これらを地図上で分析・管理したり可視化したりする計画はあるのか、お伺いいたします。
○議長(菊池 彰君) 総務課長。
○総務課長(河野光徳君) お答えします。
現在は、海抜表示板、避難所表示板、津波避難場所表示板等の設置場所等を紙ベースとデータで管理しています。
今後は、管理が一目で分かるようデータに一元化したいと考えています。
今のところGIS等を活用し、地図上で分析・管理する計画はありませんが、各種ハザードマップや津波一時避難場所マップ等については、市民がいつでも見られるよう、市のホームページに掲載しております。
以上でございます。
○議長(菊池 彰君) 攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 GISは地図上に避難所の場所や方向、浸水想定区域など複数の情報を重ねて表示できる仕組みであり、災害時に今どこにいてどこに避難すればよいのかを直感的に把握できる大変有効なツールです。
標識や海抜、避難所の情報を一元的に見える化すれば、市民が自宅や出先から簡単に確認でき、災害時の状況把握や避難行動の迅速化につながります。今後はこうしたデジタル技術の積極的な導入を検討いただきたいと思います。
次に、海抜表示の整備状況と今後の方針についてです。
津波避難において最も重要な海抜表示についてお伺いします。
現在、市内には海抜表示板が何か所設置されており、海岸部からどの程度の範囲をカバーしているのでしょうか。
また、市民がどこにいても現在地の海抜を把握できるよう、主要道路や通学路に一定間隔で「ここは海抜何メートル」という表示板を設置する方針について、市のお考えをお聞かせください。
○議長(菊池 彰君) 総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君) 先ほどお答えしたとおり、本市では現在259か所に海抜表示板を設置しております。
沿岸部からどの程度の範囲をカバーしているのかとの御質問でしたが、それぞれの設置場所については把握はいたしておりますが、地域によって海岸からの距離が異なるため、一律にお答えをすることは難しいんですが、その設置場所につきましては、沿岸部の主要道路や通学路など、なるべく目につきやすいところに設置をしているところでございます。
次に、今後一定間隔で海抜表示板を配置していく考えはないのかという件につきましては、今のところは新たに海抜表示板を設置するということは考えておりませんが、今後自主防災会などから個別の要望がありましたら検討したいと思っております。
以上でございます。
○議長(菊池 彰君) 攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 259か所ということで、たくさん備えてあるということでした。
実際の避難場所は、職場や外出先等、住居とは限らず、今自分がいる場所からどう避難するのかを考えるとき、海抜表示はとても重要であると考えます。
先ほど御説明いただきました津波一時避難場所マップには海抜が記されていない避難所もありますので、全ての避難所には海抜を示し、浸水想定地域の色分けや施設の何階まで避難すればよいのかを追加していただくともっと分かりやすいものになるかと思っています。
地域からの要望があれば設置していただく旨、確認いたしました。自主防災会の皆さんに御意見、御協力をいただきながら、地域住民の要望に沿った海抜表示の設置をお願いしたいと思います。
次に、統一デザイン、災害種別ごとのガイドラインの策定についてです。
静岡県沼津市の500メートル間隔で設置されている海抜表示、和歌山県串本町の自立発光型標識、高知県黒潮町の災害種別色分けシステムなど、全国では様々な工夫を凝らした防災標識整備が進められております。
八幡浜市では、津波、土砂災害、洪水など複数の災害リスクがありますが、現在の標識では災害の種類が分かりにくく、避難所の判断がしづらい状況です。緊急時に市民が迷わず行動できるよう、津波は青色、土砂災害は茶色、洪水は水色といったように、色やピクトグラム、標識や文字サイズ、多言語表記などを統一した「防災サイン・掲示板デザインガイドライン」を策定し、今後の新設・更新時には全ての標識を統一すべきではないかと考えますが、市としてのお考えをお聞かせください。
○議長(菊池 彰君) 総務課長。
○総務課長(河野光徳君) お答えします。
議員が言われたとおり、現在の防災に関する表示板のうち、図記号(ピクトグラム)は統一されていますが、海抜表示板につきましては、その設置時期の違いなどから、表示方法が統一されていないものもあります。
しかしながら、平成25年災害対策基本法改正により、指定緊急避難場所や指定避難所の表示については全国で統一された図記号(ピクトグラム)の使用が望ましいとされ、平成28年3月に日本工業規格(JIS)の災害種別図記号等が改正されたことで、災害種別や避難場所等の表示が標準化されました。
そのため、今後の更新に当たっては、基本的には標準化された図記号(ピクトグラム)を使用するため、市独自で策定する防災サイン・掲示板デザインガイドラインではなく、標準化された図記号で市民に分かりやすい表示板としていきたいと思っております。
以上でございます。
○議長(菊池 彰君) 攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 現在設置されているのは平成28年以降、東日本大震災を受けて設置したということをお聞きしております。
国基準は最低限であり、市独自の分かりやすいガイドラインが必要ではないかと考えています。他自治体の先進事例を参考にしながら御検討いただきたいと思います。
また、ホームページで避難所等の確認はできますが、万が一携帯電話が使えない場合、このような標識の役割は非常に大きいため、早急に対応をお願いしたいと思っています。
次に、夜間・停電時の視認性確保対策についてです。
災害は昼夜を問わず発生し、停電により街灯が消える可能性もあります。夜間や停電時においても防災標識が確実に見えるよう、反射材や蓄光材の標準採用あるいは太陽光パネル付きLED照明など自立発光型標識の導入について、市としてどのような対策を検討されているのでしょうか。
○議長(菊池 彰君) 副市長。
○副市長(菊池司郎君) 南海トラフ巨大地震における愛媛県の被害想定で最も死者数が多いのは、冬の深夜とされています。
そのため、今後、表示板を更新する場合は、原則として反射材や蓄光材等を用いたものへの更新を考えています。
また、更新時には、より市民に目のつきやすい場所への移動も併せて検討したいと考えております。
以上です。
○議長(菊池 彰君) 攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 先ほど御答弁もありましたように、災害は冬場の夜間に発生すると最大の被害となり、多くの人命が失われる可能性があります。命に直結する部分は最優先で整備をお願いします。
反射材や蓄光材等、資材も年々高騰していることは重々存じておりますが、コストを理由に後回しするのではなく、計画的、段階的導入が必要であると考えますので、よろしくお願いいたします。
次に、多言語対応とデジタル技術の活用についてです。
2024年在留外国人の便利マップ調査では、八幡浜市の在留外国人は557人であり、国別内訳は、ベトナム142人、フィリピン94人、インドネシア93人、ミャンマー69人、カンボジア61人、中国42人ほか外国人住民の人口に占める割合も県下20市町で9番目に多い0.74%となっており、年々増加傾向にあります。
全ての標識にQRコードを設置して多言語対応の避難情報にアクセスできるシステムや、日本語、やさしい日本語、英語を基本とし、港湾や駅、観光地、商業施設や避難所では中国語、韓国語も併記するといった多言語対応について、市としてどのようにお考えでしょうか。
○議長(菊池 彰君) 市長。
○市長(大城一郎君) 本市におきましても、技能実習生などの多くの外国人の方が市内に居住していることは把握しております。
先日の防災訓練の際、自転車で走行されている外国人を見かけました。この人たちにどのように災害またその状況を伝えていくか、防災会議内で私のほうから訓示をしたところであります。
今後は、災害時に避難しようとする外国人が困ることのないよう、雇い側である企業・事業主に対して、携帯電話等における翻訳アプリの活用や、技能実習生が業務に従事する前の研修項目に防災研修を組み込んでいただいて実施していくなど、市としてもできる限りの取組を進めてまいりたいと考えています。
また、表示板の多言語対応につきましては、まずは他市町の状況を調査して考えていきたいと思っております。
○議長(菊池 彰君) 攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 外国人の方におかれましては、特に八幡浜市の海岸部に多く住まわれていると伺っております。外国の方々には言語や文化、制度の壁があり、日本語が分からない、宗教や食習慣の違いから避難所で戸惑うといったリスクも抱えています。
したがって、単に標識の多言語対応にとどまらず、雇用されている企業と連携し、防災教育の場を設けるなど、実効性のある支援が必要ではないかと考えています。
次は、段階的整備計画と優先順位についてお伺いいたします。
限られた予算の中で効果的な整備を進めるためには、優先順位を明確にした段階的な実施が必要であります。
整備される場合、沿岸部、学校周辺、病院、港湾地区、主要観光地など、どのエリアを最優先として整備を進めるお考えでしょうか。
また、もし分かれば、今後3年から5年程度の実施計画や整備目標についてお聞かせください。
○議長(菊池 彰君) 総務課長。
○総務課長(河野光徳君) お答えします。
沿岸部をはじめ、学校などの教育施設には、既に海抜表示板を設置しています。
しかしながら、各表示板は古いものでは設置から15年以上が経過していることから、昨年度より表示板の修繕料を予算化し、各地区自主防災会から修繕が必要な表示板の申請を受け付けているところです。
なお、修繕件数は、令和5年度が4か所、令和6年度が10か所となっています。
今後も経過年数等を確認しながら、修繕が必要な表示板については、順次更新していきたいと考えています。
以上でございます。
○議長(菊池 彰君) 攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 一度に全ての標識を整備することは難しいと思います。そのため、まずはモデル地区を定め、試験的に導入するなど、段階的に進めていただきたいと考えます。
そして、繰り返しになりますが、災害リスクの高さを踏まえると、整備に当たっては、コストよりも命の価値を最優先にしていただきたいと思っています。
最後に、予算確保と持続可能な維持管理についてお伺いいたします。
提案しました防災標識の整備に必要な予算の概算はおおよそどの程度と見込まれているでしょうか。
また、設置後の定期点検や老朽化対策を含めた持続可能な維持管理体制について、市としての基本方針をお聞かせください。
○議長(菊池 彰君) 総務課長。
○総務課長(河野光徳君) お答えします。
現在の防災に関する表示板を全面的に見直すことは現時点では考えておりません。
先ほども申し上げましたが、現在の表示板の耐用年数等を考慮し、計画的な更新を行い、持続可能なものとなるよう維持管理していきたいと思います。
以上でございます。
○議長(菊池 彰君) 攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 南海トラフ地震はいつ発生するか分からず、災害時には必ずパニック状態になります。災害時に市民の皆様が頼れるのは、目に入る標識と迷わない迅速な避難行動であります。足腰の悪い高齢者、小さなお子さんを連れた親御さん、八幡浜在住の外国人の方または観光に訪れた観光客等、誰一人として取り残さない防災対策は、災害が起こる前に準備できるはずです。
また、先般開催されたトロール会議の中で、大本敬久先生から、八幡浜市は埋立地が多く、災害リスクが高い。道が狭い上、歩道橋もなく、また多数の住宅倒壊の可能性もあり、避難路の確保が困難である。標識や海抜を示す看板が不十分である。液状化現象ではマンホールが突出し道路が通れなくなる。外国の方、高齢者、車椅子、障害のある方等、様々な方が10メートル以上の場所まで行けるにはどうしたらよいかを考える必要がある等の課題が提示されました。
また、観光客向けの津波避難動画を作成された大学生のお話もお聞きしました。
観光地の情報を知らない観光客は、発災時に正しく避難できにくい。動画を見ることで観光地の紹介ができるだけでなく、避難経路を把握することができると、このように高校生や大学生の視点で防災・減災を考えることも必要ではないかと感じました。
さらに、中村知事からは、被害想定の見直しを基準にしておけば命を救う可能性は高まる。各市町が活用して地域ごとにきめ細かくどうすればよいか検討してほしいとの提言もありました。
タブレットに配付されている資料を御覧ください。
この施設の海抜はどれくらいやろ、どの災害のときにどこに逃げたらええんかな、何階まで上がらんと津波が来るんかな、このような不安を少しでも払拭しようと自作させていただき、先日開催された防災訓練の際に地元住民の皆さんにお配りした資料になります。
片面は梅の堂、もう片面は棟山が避難場所になっている地区の資料で、江戸岡小学校、江戸岡公民館は同地区に共通の指定緊急場所となっており、海抜を明記、災害種別ごとにピクトグラムを使い、施設の何階以上に避難する必要があるのかを提示しています。文字の背景色を、地震はグレー、土砂災害は茶色、火災は赤、洪水は水色、津波は青にすればよかったと、まだまだ改善する余地は多くありますが、高齢者でも一目で分かり、よう分からい、冷蔵庫に貼っとこうと、大変喜んでいただけました。
自主防災組織として市民一人一人の呼びかけも大切だと感じております。
東日本大震災の実体験に基づく災害初動期の心得の中には「備えていたことしか、役には立たなかった。備えていただけでは、十分ではなかった。」との言葉が残されています。
あらゆる状況を想定し、どう対応するのか準備しておく。その一つとして、市民の命を守る「見れば分かる!防災に強いまち」の実現に向け、他自治体の優良事例やデジタル技術の活用を積極的に取り入れながら、スピード感を持って防災標識・掲示板の改善に取り組んでいただくことを強く要望し、大綱1の質問を終わります。
○議長(菊池 彰君) 休憩いたします。
午前10時53分 休憩
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午前11時04分 再開
○議長(菊池 彰君) 再開いたします。
攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 大綱2「ポイ捨て・不法投棄対策におけるデジタルシステムの導入と学校・企業との連携について」お伺いいたします。
八幡浜市の環境における重要な課題として、ポイ捨て・不法投棄対策について、デジタル技術を活用した先進的な取組を提案し、市としての導入を御検討いただきたく質問させていただきます。
まず、八幡浜市の現状についてです。
道路沿線や川沿い、川の中など人目の届きにくい場所において、家庭ごみや産業廃棄物が見受けられます。
まず、市内のポイ捨て・不法投棄の現状について、件数、場所別分布、撤去の方法や費用の実態をお伺いいたします。
○議長(菊池 彰君) 生活環境課長。
○生活環境課長(岡本正洋君) お答えします。
市に相談があった不法投棄の件数は、ポイ捨てなどの軽微なものも含めて年間約40件前後で推移しています。
不法投棄が多い場所は、双岩から西予市へ続く旧県道の市道双岩鳥越峠線や保内町から大洲市長浜町へと続く国道378号の沿道となっています。
撤去の方法については、市職員が不法投棄された土地の管理者などと現場確認を行い、その後、回収できるものを環境センターに運搬しています。
費用については、環境センターで処分できない家電4品目に限った費用になりますが、令和6年度は9万2,280円となっています。
以上です。
○議長(菊池 彰君) 攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 家電の廃棄にはリサイクル費用がかかることが不法投棄につながるのではないかと思っています。
また、町なかというよりは、やはり発見しにくい場所での投棄が多いということでした。
件数が少ないとはいえ、廃家電によるフロンガスや鉛等の有害物質の放出、発火、延焼の危険性もあることから、市として早急な発見、対応が必要であろうと思っています。
次に、パトロール、看板設置等による対策効果について、市として取り組んできた対策とその成果をお示しください。
○議長(菊池 彰君) 生活環境課長。
○生活環境課長(岡本正洋君) お答えします。
本市では、パトロールや警告看板、監視カメラの設置等により注意喚起を行っています。
対策の効果について、監視カメラを設置した箇所などは大型の不法投棄の量が減少傾向にあります。
また、警告看板の設置についても、一定の抑止力になっていると認識しています。
そのほか、不法投棄廃棄物の撤去活動として、毎年双岩地区の鳥越峠において、地域住民、市職員、県職員、収集運搬事業者約150人が作業を行い、空き缶、ペットボトル、粗大ごみなど、毎回700キログラムから1,000キログラム程度撤去しています。
以上です。
○議長(菊池 彰君) 攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 市内全域を行政のみで保全することは大変難しいため、ボランティア等を巻き込んだ清掃活動やパトロール、リサイクルの実施、たばこ対策、喫煙所の整備、ごみの調査、マイクロプラスチック流出等の対策をはじめ、学校での環境学習も必要であろうかと思っています。
ポイ捨てや不法投棄による、特にプラスチックごみの自然界への散乱・流出問題は、日本各地で日常的に発生しており、今や世界規模で問題となっています。
特に問題なのは、八幡浜市の港湾都市としての特性により、漁港周辺や道路沿線での散乱ごみ、川への投げ捨てが観光イメージを損ない、観光人口の減少につながるだけでなく、海洋プラスチック汚染の直接的な原因となっている点です。
世界規模では、製品使用に伴うごみとして年間約820万トンのプラスチック廃棄物が適切に管理できておらず、その一部が自然界に流出していると見られます。
プラスチックごみを野生動物や鳥獣、海洋生物が誤って摂取することで、体内へ蓄積されたり、体が挟まったりして死に至るケースが多数報告されています。
最新の科学研究によりますと、海洋ごみは700種以上の海洋生物に深刻な影響を与え、プラスチック摂取による死亡や漁獲量の減少、品質低下、生殖障害を引き起こすことが明らかになっています。
さらに、日光や水による劣化で温室効果ガスを排出し、海中ではサンゴの育成に悪影響を及ぼすなど、二酸化炭素濃度増加につながる可能性が示唆されており、気候変動等、様々な環境問題にも影響が与えられると指摘されています。
人体への影響も懸念されており、直径5ミリ以下のマイクロプラスチックを体内に取り込んだ場合、血管や脳の中にまで入り込み、心臓発作や脳卒中との相関関係も指摘されています。
また、通学路、川沿い、敷地内へのポイ捨てや不法投棄は、ごみが放置されていることで次のポイ捨てが誘発されるケースもあり、中でも喫煙、歩きたばこ、副流煙による火災、健康被害などの問題は関心が高い分野です。
国内水域で発見されたマイクロプラスチックの主な流出源は、全体の25.3%を占める人工芝と16.2%を占める農業用コーティング肥料であるそうです。
2025年の論文では、プラスチック汚染が深海生態系を変化させ、生物多様性を脅かすという警鐘も鳴らされており、港湾都市である八幡浜市にとって、この問題への対応は喫緊の課題と言えます。
次に、ピリカアプリの導入についてです。
まず御提案いたしますのは、ピリカアプリの自治体版です。このアプリは、デジタル技術を活用してごみ拾いを可視化、促進するための仕組みであり、どなたでも無料でダウンロードして活用でき、ごみ拾いの様子を写真つきで発信することで、記録、情報を共有できる仕組みになっています。
投稿された国、地域は130か国以上、参加人数は延べ300万人、ごみの回収量は4億個以上であると報告されています。
また、不法投棄等の通報管理システムが搭載されており、利用者は現場の写真や位置情報を投稿し、職員は正確な場所を地図上で把握でき、集計や分析がスムーズになります。
私も実際4年前からピリカ(個人版)を活用しています。どの場所でどんなごみが落ちているのかを地図上で確認できたり、八幡浜市に出張で来られた方がフェリーターミナルや宿泊施設近くでごみ拾いをしてくださっていることが分かりお礼を言ったり、全国のたくさんのユーザーから「お疲れさま、ごみを拾ってくれてありがとう」等のメッセージをいただいたりと、何か心まで満たされる活動になっています。
自治体版を導入すれば、通報情報が行政にリアルタイムで共有され、迅速な対応が可能となります。
2021年、環境スタートアップ大賞環境大臣賞、2023年、日経ソーシャルビジネスコンテスト大賞、2025年、経済環境省J-Startupに選出されるなど、国内外で多数の賞を受賞し、ごみ拾い・ごみ調査ナンバーワンアプリであります。
日本でも、全国68自治体で活用されており、ピリカを導入している自治体では、地域ごとに独自の清掃を見える化するページがつくられており、地域で活動する隠れたヒーローたちの様子がリアルタイムに分かり、感謝を送り合うことができています。
全国の導入事例を見ますと、岡山県では市町村単位で最も多く導入されており、累計が4万人以上の方が参加され、1,000万個以上のごみが回収されています。
東京都港区では、令和3年度の導入後、コロナ禍での清掃活動を活性化し、ごみ拾い件数が20%増加しました。
台東区では、令和7年度導入により、参加者交流を通じて美化活動が促進され、拾われたごみの総数が7万6,000個を突破するなど、市民参加型の効果が実証されています。
オンラインで一人でも1分1個からごみ拾いに参加でき、記録や運営などDXで職員の負担軽減、SNSやAIを活用し住民支援を誘導、データに基づく施策の取捨選択ができるなどの運営の効果が図られる取組であろうと考えます。
科学的研究では、ピリカアプリを活用した深層学習ベースの画像分析により、市街地の散乱ごみを定量化し、40%以上の無関係画像を排除して正確なごみ分布を把握できていることも実証されています。
次に、「タカノメ」システムについてです。
これは、ごみのポイ捨てや不法投棄を自動的に発見できる言わばドライブレコーダー型のAIごみ調査システムです。
車両に搭載したスマホを使って、走行しながら路上のごみを撮影し、AIが画像を解析して量や位置など自動で可視化します。
調査キットをレンタル、1分で設置でき、走行中に映り込んだポイ捨てや不法投棄をAIが自動的に検知し、データは1時間置きに自動で更新され、パソコンやスマホの画面からリアルタイムで確認できます。
これにより、従来、職員が現地に赴き目視や人力で行っていた業務を簡単・効率化し、代替えできるようになります。
走行距離200万キロメートル以上の実績があり、熊本県や山口県での導入では、ごみの傾向把握により、清掃活動が30%向上し、不法投棄ホットスポットの特定が可能となりました。
科学的根拠として、AIを活用した廃棄物検出は、走行距離を36.8%短縮し、コストを13.35%削減する効果がレビュー研究で確認されています。
また、自治体だけではなく、民間企業にも広がりを見せており、ごみ収集車、飲料水の自動販売機を補充する車両、バス、タクシー等、日常的に走る様々な業種の車両に搭載することで追加の人員や専門の車両の必要もなくなります。
以上の背景を踏まえ、ピリカアプリの自治体版とタカノメシステムの導入について、市としてのお考えをお聞かせください。
○議長(菊池 彰君) 生活環境課長。
○生活環境課長(岡本正洋君) お答えします。
不法に投棄されたごみは、投棄した者が不明の場合、最終的には土地管理者などの責任の下、処理されることとなります。
また、内容によっては、市、県、警察などの協力が必要となるため、通報者からは詳細な情報を得ることが重要となります。
本市における不法投棄の通報は、そのほとんどが電話連絡であり、メールやアプリを使用しての通報に比べ、簡単で素早く、詳細に相談できる手段だと認識しています。
一方で、市の道路における軽微な空き缶のポイ捨てなど、土地管理者やごみの内容が明確な場合、アプリ等のシステム活用は有効であり、加えて個々に率先してごみを処理してもらうとなれば非常にありがたいことだと考えます。
人口減少の中、ポイ捨て防止活動に誰もが気軽に参加し、活動の効率化や情報の共有を図る観点から、アプリ等のシステム活用について、既存の連絡体制や市の公式SNSの活用も含め、今後調査研究をしたいと考えます。
以上です。
○議長(菊池 彰君) 攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 市としてこれらのデジタル施策を活用するメリットは大変大きいと思います。
現在、八幡浜市において6袋以上の環境ごみは生活環境課へ撤去の電話が必要であり、どの辺にどれぐらいのごみがあるかをお伝えする必要があります。
このアプリを見れば、地図上で一目瞭然ですので、わざわざ電話対応の必要はございません。
ピリカの自治体版は市民の環境意識向上と行政の負担軽減を、タカノメは定期観測による清掃効果の検証を可能にし、さらには高い抑止効果も期待できます。
また、清掃が必要な場所を可視化し、ピリカを通じて企業やボランティアに情報を発信・共有することによって効率的、集中してごみ拾いができるのもこのアプリの特徴になっています。
導入コストは初年度で数百万円程度と見込まれ、ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン推進事業、デジタル田園都市国家構想交付金のほか、愛媛県限定の補助金・助成金の活用において、行政の負担軽減も可能だということです。
デジタル技術を活用することが、市民の環境意識向上と自発的な環境活動につながると同時に、行政の人的労力や手間を省き、市民の生活を守り、持続可能なまちづくりを実現するため、できるところから積極的な御検討をお願いしたいと思います。
次に、市民啓発と学校・企業との連携についてです。
本市における環境保全の取組において、市民啓発と学校・企業との連携は極めて重要な役割を果たしています。
特に、次世代を担う若者たちへの環境意識の醸成など、地域一体となった持続可能な取組の推進は、SDGs達成に向けた本市の重要な戦略の一つであります。
最初に、地域の教育機関との連携により、革新的な環境教育プログラムを展開されているオイスカ浜松国際高等学校の環境SDGsプロジェクトを御紹介いたします。
浜名湖では、アサリの漁獲量が、2009年の約6,000トンから2024年の約0.2トンへと激減するなど、深刻な環境悪化が進行しています。
この課題に対し、同校では約160名の生徒が参加する有志組織により、浜名湖の環境保全に取り組んでおられ、特に浜名湖ブルーカーボン未来創造プロジェクトでは、多くの成果を上げられております。
具体的な取組内容として、マングローブ植栽による水質・土壌浄化を30年間継続、アマモ育成実験による生態系回復への貢献、エコサップごみ拾い競争の開発・実施、中田島砂丘保全活動等があり、この取組は「THE TIME」や「真相報道バンキシャ!」で全国放映されるなど、大きな注目を集めました。
また、高校生が企画運営するエコサップごみ拾い競争には、子供から大人まで38名が参加し、30分という短時間で424本のペットボトル、缶、瓶と、総重量100キロを超えるごみを回収するというすばらしい成果を上げられております。
学校との連携による環境教育は、単なる知識の習得にとどまらず、実践的な課題解決能力の育成と地域愛の醸成を図る重要な取組となります。
特に、高校生が自ら企画運営する活動は、参加した市民にとっても新鮮な体験となり、環境問題への関心を高める効果的な啓発活動となっています。
また、地域企業との連携により、資材提供、技術的・経済的支援を得ながら環境保全活動を推進しておられ、多くの相乗効果が生まれているようです。
その結果として、企業の専門技術と高校生の柔軟な発想が融合することで、従来にはない環境保全手法の開発が実現、企業の経済的な支援により、一時的な取組ではなく、長期的な環境保全活動の基盤が構築されています。
地域企業にとっても具体的な成果が見える環境保全活動への参画は、企業が利益追求だけでなく、環境保全や地域貢献等、社会の一員としての自発的な活動(CSR活動)としての価値を高め、企業価値の向上に寄与しているそうです。
環境啓発活動において、私が特に注目したのは、楽しみながら環境改善に取り組むという新しいアプローチの導入であります。
従来の講演会や配布物による啓発から、体験型、参加型への活動の転換により、多くの市民の関心と参加を得ることに成功しておられます。
SUPは、スタンドアップパドルボードの略で、ボートの上に立ってパドルで水面をこいで進むスポーツですが、この人気スポーツとごみ拾いの組合せによって幅広い年齢層の参加の実現に成功されています。
陸上からでは拾えないごみが拾える、楽しみながら環境問題に取り組める、暗い気分にならないごみ拾いができる等、市民からも好評をいただいているとのことでした。
八幡浜市においても、学校・地域でのごみ収集や、ライオンズ、みなとライオンズ、四国電力等、各種団体・企業で川清掃が行われておりますが、川沿いを歩いていると、川へのごみの投げ捨て、たばこの吸い殻や食べ物の袋などが目につき、まだまだ課題はあると考えています。
市民、学校、企業での清掃活動についての活動と課題についてお伺いいたします。
○議長(菊池 彰君) 市民福祉部長。
○市民福祉部長(宮下栄司君) お答えします。
本市では、各地域において市民、学校、企業、各種団体による美化活動に年間延べ約2,500人の参加があります。
活動の一部を御紹介します。
企業や各種団体の皆さんは、県が主催している愛リバー、愛ビーチ、愛ロードのサポーター制度に登録し、清掃活動に取り組んでいます。
また、ロータリークラブの皆さんは、高校生の皆さんと連携した清掃活動を行っています。
地域住民の自発的な活動として、「喜木津風の会」が瞽女トンネルから喜木津トンネルの区間を、「五反田ホタルの川を守る会」が鯨橋周辺で自然観察と併せた清掃活動を行っています。
また、学校では、八幡浜工業高校が八尺神社、八代川などの除草等を行っているほか、八幡浜駅方面、みなっと方面などに向かっていろいろなルートを歩きながらごみを拾う清掃活動を行っています。
今後の課題としては、市民一人一人が環境問題への意識を高め、より広範な参加と継続的な活動につながるよう、市としましても新たな視点や工夫によって関係者に働きかけていきたいと考えています。
以上です。
○議長(菊池 彰君) 攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 企業や個人、高校生や団体の方がたくさん清掃していただけること、ありがたく思っております。
以前は学生や地域団体が川清掃をする姿がありましたが、コロナ禍や高齢化を受け、現在は県による一部のみの清掃が数回程度で、特に夏場は腰高までの草が生い茂っています。
このような状況で豪雨により川が氾濫すれば、大量の草やごみで通路を塞ぎ、水が町へ流れ込むのではとの恐怖しかありません。
川は県の管轄ではありますが、全て県任せではなく、市としても何か措置を講じてほしいところです。
環境問題解決に向けた琵琶湖うみのこプロジェクトについて、学習船「うみのこ」は1983年の開始から今年で43年目を迎え、今までの乗船児童数は63万人を超えました。
滋賀県の小学校5年生全員が「うみのこ」に乗船し、1泊2日の航海をしながら、自然の大切さや命の貴さを学習するこの取組は、2021年ニカラグア版「UMINOKO」等、国際的な広がりを見せ、現在開催されている大阪万博のポストカードにもなっているとのことです。
事業内容が幅広く、全てを説明することはできませんが、次代を担う若者や子供たちを巻き込み、アーティストやミュージシャンなど、様々なパートナーと共感の輪を広げながら、持続可能な地域社会の構築を目指しており、環境教育、観光、地域づくりの観点からとても大きな役割を果たしています。
八幡浜市はリアス式海岸、美しい漁港、段々畑など、「魚とみかんのまち」として発展してきましたが、地元の子供たちが海や山で遊び、学ぶ機会は年々減少しており、地引き網体験やミカン採り体験などは存じておりますが、観光面でも学びの要素を取り込んだ体験プログラムは少ないように感じます。
各地から修学旅行としての民泊も徐々に増えている現状を鑑み、もっと八幡浜の資源を生かした環境教育と観光の融合が必要ではないかと考えます。
本市において、八幡浜版「うみのこ」のように、学校、企業、地域が連携した体験型プログラムを創設するお考えはあるのか、お聞かせください。
○議長(菊池 彰君) 市民福祉部長。
○市民福祉部長(宮下栄司君) お答えします。
本市における環境問題の体験型プログラムは、唯一の有人島である大島でよく実施されており、市は回収作業などで主催者を後方から支援しています。
近年では、県の主催による「みんなでビーチクリーン」と題した海岸清掃と海洋ごみの学習会を合わせたプログラムや、「スポGOMI」と題した環境美化とスポーツを融合させたプログラムが行われ、高校生が参加しています。
また、今年度は大島交流館主催による「ビーチクリーン&BBQ」が開催され、家族連れが海岸清掃の後、海を眺めながらバーベキューを楽しんでいます。
そのほかにも、瀬戸内海の海洋ごみ問題に取り組んでいるE.Cオーシャンズの皆さんが、漂着ごみの清掃活動に合わせて昨年度Comican(コミカン)でトークショーや音楽ライブを開催し、県外からも参加者がありました。
また、八幡浜漁協と地方創生機構の共催による楽しみながら地域におけるSDGsを学ぶイベントが、昨年度魚市場で開催され、本市も民間企業の協力を得て手回し発電機とソーラー蓄電池の鉄道模型によるエネルギーの大切さについて学んでもらうブースを出展しました。
今年度も11月に開催予定の青少年のための科学の祭典において、手回し発電機による魚釣りゲームを出展し、エネルギー問題や環境問題について子供たちに学んでもらう予定です。
未来を担う子供たちが、本市ですばらしい体験ができるよう、地域と連携した宿泊型の環境プログラムを創設してはどうかとの御提案ですが、まずは各種団体による自発的な取組を尊重し、その活動を続けていくことで、やがて市全体に及ぶ大きなうねりになるものと考えています。
そうした体験プログラムも視野に入れながら、今後も市民、学校、企業、各種団体の皆様と連携し、環境問題の解決に向けた取組に努めてまいります。
以上です。
○議長(菊池 彰君) 攝津眞澄議員。
○攝津眞澄君 市内においてもたくさんの取組が行われているということを確認しました。
単発なものだけではなく、うみのこのように持続可能なプログラムをお願いしたいです。
例えば、毎年行われている少年式ウオークで、単に歩くだけではなく、道端で拾ったごみの量を競うとか、遠足に環境学習を組み込んだりすることもできるのではと考えます。
また、すばらしい取組をされていても、参加者が少なくもったいないと感じるイベントも非常に多いです。より多くの皆さんが参加いただけるよう、何かよい周知方法を考えていただきたいと思います。
小さな頃から遊びや体験を通じて環境を学び、ごみを落とす人ではなく、進んでごみが拾える人に育てていくことが、やがて地域を愛し、自分の町を守ろうという心につながってくると思います。
市として、市民一人一人が自発的に環境保全に関わることができるプログラムを構築し、持続可能で誇れる八幡浜市を次世代につないでいただきたいと強く要望いたしまして私の一般質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
